日本口蓋裂学会雑誌
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原著
  • 板垣 祐介, 金髙 弘恭, 五十嵐 薫
    42 巻 (2017) 3 号 p. 177-186
    公開日: 2017/12/07
    ジャーナル 認証あり
    口唇裂患者の顎顔面部における形態と機能の成長発育変化には未解明な部分が多いのが現状である。成長期患者における顎顔面部での形態と機能との関連性を包括的に明らかにすることで,より効果的な治療方法,治療タイミング等を決定する一助となると考えられる。本研究では,乳児期に口唇形成手術を受けた5~9歳の片側性口唇裂と片側性唇顎裂の患者を対象に,形態評価として三次元顎顔面形態計測および咬合関係評価(5-Year-Olds’ Index),機能評価として口唇圧,舌圧,咀嚼能率の測定を行い,それらの関連性を評価した。結果として,三次元顎顔面形態計測では年齢間での有意差は認められなかった。咬合評価では,5-Year-Olds’ Indexの値が平均で1.73であった。機能評価では,平均値がそれぞれ口唇圧2.21kPa,舌圧20.09kPa,咀嚼能率16.02mg/sであった。片側性の口唇裂と唇顎裂患者において,三次元顎顔面形態,咬合関係および口腔機能の相互関連については,①口角角度と5-Year-Olds’ Index,②キューピッド弓頂点の比と口唇圧,③赤唇表面積と咀嚼能率において,それぞれ有意な関連もしくは相関が認められた。すなわち,口角の傾きが大きくなるほど咬合関係が不良になり,キューピッド弓頂点の偏位が大きいほど口唇圧が高くなり,赤唇表面積が大きいほど咀嚼能率が良好であることが示唆された。以上の結果から,成長期の片側性口唇裂患者において,顎顔面部での形態と機能との間には一定の関連性があることが明らかとなった。
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  • 松中 枝理子, 北尾 美香, 古郷 幹彦, 池 美保, 熊谷 由加里, 植木 慎悟, 新家 一輝, 藤田 優一, 藤原 千惠子
    42 巻 (2017) 3 号 p. 187-193
    公開日: 2017/12/07
    ジャーナル 認証あり
    【緒言】口唇裂・口蓋裂患児の親の医療ニーズは多様であり,患児の発達段階によっても異なるため,親が期待する支援を実際に受けられているかは不明である。さらに,父親と母親との間で医療ニーズが異なることが予想されるが,父親を対象とした研究は数少ない。
    【目的】父親を対象に医療者への期待と実際に受けた支援の内容を明らかにし,今後さらに充実すべき支援への示唆を得ることを目的とした。
    【方法】A病院に定期的に通院する口唇形成術あるいは口蓋形成術の終了後から小学校在学中までの患児の父親235名に質問紙調査を行った。
    【結果】105名(回収率44.7%)から回答を得た。父親が期待する支援として最も多かった項目は「治療や手術について,親が理解しやすいように説明してくれる」,「手術後の注意や食事などの具体的な助言をしてくれる」,「手術を受けるまでの哺乳・離乳などの具体的な助言をしてくれる」であり,実際に受けた支援も同様であった。医療者への期待と実際に受けた支援の差については,ほとんどの項目で期待通りの割合が最も多かった。4割以上の父親が期待以下だと回答した項目は「園や学校に対して必要時に専門的な説明や注意事項などの連絡をしてくれる」,「医療費や医療制度の相談にのってくれる」,「親族や友人などに子どものことを尋ねられた時の対応を助言してくれる」であった。
    【考察】父親は治療や手術の説明や手術前後の食事に関する助言を期待していた。これらの支援に関して,約7割の父親が期待通りもしくは期待以上だと回答したことから,父親のニーズに沿った支援が提供されていることが示唆された。しかし,園や学校と医療機関との連携,医療費や身近な人への対応に関して,4割以上の父親は受けた支援が期待以下であったと認識していた。これらに関する具体的な父親のニーズを今後さらに検討していくとともに,これらに関する支援の充実を図る必要がある。
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  • 岡部 早苗, 鈴木 恵子, 上野 寛子, 杉本 孝之, 山崎 安晴, 石渡 靖夫, 牧 敦子, 大原 卓哉, 瀬崎 晃一郎
    42 巻 (2017) 3 号 p. 194-200
    公開日: 2017/12/07
    ジャーナル 認証あり
    Furlow法は1986年に発表され,顎発育と言語成績の両方を満足する可能性のある術式として注目された。我々は原法に改良と工夫を加えた術式をFurlow変法とし,ほぼ全例に行っている。本稿では,Furlow変法による口蓋形成術後の52例の言語成績について報告する。【対象】1996~2011年にFurlow変法で初回口蓋形成術を受けた52例(男25例,女27例)。手術月齢は平均12.4ヶ月(SD3.3ヶ月),裂型の内訳は両側口唇口蓋裂11例,片側口唇口蓋裂15例,硬軟口蓋裂19例(うち5例は不全唇裂を伴う),軟口蓋裂7例。最終評価時期は,系統的な構音訓練を受けずに良好な構音を習得できた症例は会話レベルで正常構音が安定した時期,訓練を要した症例では訓練開始時とし,平均5歳4ヶ月(SD16.5ヶ月)であった。すでに報告を行った粘膜移植粘膜弁法群48例を対照群とした。【方法】診療録より瘻孔の有無,鼻咽腔閉鎖機能,言語症状について後向き研究を行った。【結果】1)瘻孔を52例中3例(5.8%)に認めた。2)鼻咽腔閉鎖機能は良好例が52例中49例(94.3%)であった。3)構音障害を52例中20例(38.4%)に認め,構音訓練を要した。内訳は,置換12例(23%),口蓋化構音7例(13.4%),側音化構音2例(3.8%),声門破裂音2例(3.8%),鼻咽腔構音1例(1.9%)。4)粘膜移植粘膜弁法群との比較では,口唇口蓋裂例と口蓋裂単独例に分けて言語症状の分析を行い,瘻孔の有無,鼻咽腔閉鎖機能良好例の割合,構音障害の発現率の比較のいずれにおいても両群間に有意差を認めなかった。【考察】Furlow変法術後の言語成績は粘膜移植粘膜弁法術後の言語成績と有意差を認めなかった。側音化構音の発現率が3.8%であり,粘膜移植粘膜弁法術後の2.1%と同様に低率であるという特徴を認め,顎発育と言語成績の詳細な検討が今後の課題である。
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  • 大湊 麗, 小野 和宏, 飯田 明彦, 児玉 泰光, 小山 貴寛, 永田 昌毅, 高木 律男
    42 巻 (2017) 3 号 p. 201-207
    公開日: 2017/12/07
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    新潟大学顎顔面口腔外科では1983年より二段階口蓋形成手術法を施行しており,顎発育による分析から,2010年より硬口蓋閉鎖時期を5歳半から4歳へ早期移行した。本研究では,言語機能による分析から,硬口蓋閉鎖時期の5歳半から4歳への早期移行が4歳時から6歳時における言語機能獲得に与える影響を検討した。その結果,5歳時において,鼻咽腔閉鎖機能では良好例の有意な増加および異常構音の種別では口蓋化構音の有意な減少が示され,言語機能獲得に肯定的な影響が示された。顎発育および言語機能による両者の分析を統合すると,当科の二段階口蓋形成手術法における硬口蓋閉鎖時期の妥当性が示された。
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  • 長谷川 紘也, 真野 樹子, 土屋 隆子, 土肥 洋介, ダシドンドク オトゴントヤ, 豊田 亜希子, 品川 令, 藤本 舞, 須田 直人
    42 巻 (2017) 3 号 p. 208-214
    公開日: 2017/12/07
    ジャーナル 認証あり
    唇顎口蓋裂児の術前顎矯正に用いる口蓋床やHotz床の作製は,乳児や新生児へのアルジネートなどの印象材を用いた印象採得後に石膏模型上で行われてきた。しかしながら,このような印象材の使用は,唇顎口蓋裂の患児に対し,嘔吐や誤嚥のリスクを生じ全身管理を必要としてきた。
    近年,口腔内スキャナーを用いた光学印象が汎用化され,我々は唇顎口蓋裂児の術前顎矯正でも活用している。しかしながら現在市販されている口腔内スキャナーは,有歯顎の撮像を目的とし,無歯顎の新生児や乳児を対象として開発されたものではない。また新生児や乳児は成人と異なり,唾液流出量が多く,撮影中の体動も大きい。今後術前顎矯正におけるさらなる効率的な口腔内スキャナーの臨床活用を行う上で,基礎的検討が必要と考えた。そこで唇顎口蓋裂を有する乳児や新生児の光学印象における種々の条件が,撮像時間と精度に与える影響を検討した。
    資料として,明海大学病院矯正歯科を受診した生後40日の右側唇顎口蓋裂児(顎裂幅と口蓋裂幅は各々3.0mmと11.5mm)から作製したエポキシ樹脂製口腔模型を用いた。光学印象はワンドが小さな口腔内スキャナーを用いて行い,1)水道水および人工唾液による模型表面の湿潤,2)シェーカーによる模型の8の字立体振盪,3)シリコーン印象材による顎裂部へのランドマークの付与,の3条件が撮像時間と撮像精度に与える影響を検討した。
    撮像時の湿潤と立体振盪は,いずれも撮像精度に影響を与えなかったが,撮像時間を有意に延長した。一方,顎裂部へランドマークを付与すると撮像時間は有意に短縮され,ランドマーク以外の部位の撮像精度に影響を与えなかった。
    以上より,唇顎口蓋裂児の術前顎矯正に用いる口蓋床やHotz床の作製にあたり,新生児や乳児の顎裂部にランドマークを設け,体動を最小限とし,唾液の管理を行うことが効率的と考えられた。
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  • 山本 奈加子, 金髙 弘恭, 板垣 祐介, 五十嵐 薫
    42 巻 (2017) 3 号 p. 215-224
    公開日: 2017/12/07
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    口唇口蓋裂に関連する問題は多岐にわたり,なかでも,コミュニケーション障害となり得る言葉の問題は,個人のQOLを考える上で重要な部分を占める。しかしながら,これまでの研究では,口唇口蓋裂患者における口蓋化構音の発現要因について充分な検討がなされていなかった。
    そこで本研究では,客観的な評価指標を用い,口蓋化構音発現と口蓋形態や咬合状態,鼻咽腔閉鎖機能との関連性を音声言語学的観点から総合的に明らかにすることを目的とした。
    対象は東北大学病院・唇顎口蓋裂センターにて,治療・管理を行う片側性唇顎口蓋裂36例とした。口蓋形態計測のために,各対象者の4~5歳時の歯列模型を非接触3次元計測装置によりスキャンし,3次元計測ソフトウェアにより3次元的計測を行った。加えて,咬合評価および鼻咽腔閉鎖機能検査を実施し,口蓋化構音発現との関連性について統計学的に検討を行った。
    その結果,本研究では以下の点が明らかとなった。
    ①口蓋形態の計測結果
    長径,幅径,高径,表面積,容積,いずれにおいても,正常構音群と比較し口蓋化構音群で小さい傾向を示した。特に,口蓋後方の幅径と高径で有意差を認めた。
    ②咬合評価
    咬合については,正常構音群と比較して,口蓋化構音群では半数以上が不良傾向にあり,特に,患側臼歯部の頬側咬合では,有意な悪化が認められた
    ③鼻咽腔閉鎖機能評価
    両群とも良好例が多く,口蓋化構音発現との有意な関連性は認められなかった。
    本研究結果より,特に,口蓋後方における幅径の狭窄や高径の浅化と,それに伴う患側の臼歯部頰側咬合の悪化が,口蓋化構音の発現に関与している可能性が示唆された。これらの研究成果を口唇口蓋裂患者の治療に反映させることで,患者個人のQOL向上に寄与するものと期待できる。
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症例
  • 藤田 亜矢子, 真野 樹子, 平川 崇, 髙戸 薫, 槇 宏太郎, 須田 直人
    42 巻 (2017) 3 号 p. 225-233
    公開日: 2017/12/07
    ジャーナル 認証あり
    著しい中間顎の前方突出を伴う両側性唇顎口蓋裂症例において,早期に行った中間顎外科的整位後に生じた永久中切歯歯根形成不全に対し下顎小臼歯の自家移植を行い,矯正歯科治療により天然歯のみで良好な咬合を獲得した1例を報告する。患者は矯正歯科初診時年齢が3歳7ヶ月の男児,主訴は上顎前歯の前突であった。中間顎の著しい突出に対して,4歳9ヶ月時に中間顎外科的整位を行った。その後,8歳8ヶ月時に両側顎裂部への二次骨移植を施行した。中間顎外科的整位後に歯根形成不全を認めた上顎左側中切歯を予後不良と判断し,12歳4ヶ月時に抜歯した。同部に下顎歯列の叢生改善を目的として抜歯した下顎左側第一小臼歯の自家移植を行った。その1ヶ月後よりマルチブラケット装置により歯列の排列を開始した。15歳8ヶ月時に動的治療を終了し,可撤式装置を用いて保定観察を開始した。治療結果として,上顎の突出は改善され,良好な咬合が確立された。歯の移植後11年4ヶ月(動的治療終了8年)を経過しても,移植歯の経過は良好であり,機能的咬合が保持されていた。
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国際委員会報告
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