臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
Print ISSN : 0009-918X
ISSN-L : 0009-918X
48 巻 , 10 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
原著
  • 細見 雅史, 松本 圭司, 影山 恭史, 市川 桂二
    2008 年 48 巻 10 号 p. 709-712
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    ジャーナル 認証あり
    頭位めまいを主症状とし,末梢性めまいとの鑑別が困難であった第四脳室外側壁の小梗塞3症例を報告した.すべての症例で急性期には特定姿勢により嘔気・嘔吐をともなう浮遊感が誘発された.一定時間の坐位保持で誘発される浮遊感,嘔気・嘔吐が発症後1∼2カ月にわたり持続した.第四脳室外側壁病変での中枢性頭位めまいの詳細な報告は脳梗塞ではこれが最初である.末梢性めまいとの鑑別が困難な中枢性めまいの原因のひとつとして,同部位の梗塞も念頭におくべきと考えられた.
  • 吉村 元, 今井 幸弘, 別府 美奈子, 尾原 信行, 小林 潤也, 葛谷 聡, 山上 宏, 川本 未知, 幸原 伸夫
    2008 年 48 巻 10 号 p. 713-720
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    ジャーナル フリー
    症例は76歳男性である.インフルエンザA型感染症発症直後に高度の意識障害を呈し,その後急激にDICやショック,多臓器不全も合併した.インフルエンザ脳症(IAE)と診断し,オセルタミビル投与,ステロイドパルス療法を施行するも効果無く,発症から24時間強で死亡した.剖検では大脳に著明な浮腫とアメーバ様グリアのびまん性増加をみとめたが,炎症細胞浸潤は無かった.また,インフルエンザウイルスA・H3香港型が剖検肺から分離され,保存血清中のIL-6は35,800pg/mlと著明高値であった.本症例の臨床経過,検査所見,病理所見は小児IAE典型例と同様であり,成人でも小児と共通した病態機序でIAEをきたしうる.
  • 清水 俊夫, 林 秀明, 井上 仁, 今村 和広, 小柳 清光
    2008 年 48 巻 10 号 p. 721-726
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    ジャーナル 認証あり
    筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者35例において,経皮内視鏡的胃瘻造設(PEG)時の呼吸機能と予後との関係を検討した.PEG時から死亡または呼吸器装着までの期間と,努力肺活量・動脈血二酸化炭素分圧との間に有意な相関がみとめられた.また,PEG後6カ月以内に死亡または呼吸器装着にいたったA群(20例)と,いたらなかったB群(15例)の比較では,努力肺活量・動脈血酸素分圧には差はなかったが,動脈血二酸化炭素分圧はA群で有意に高値であった(A群47.5±5.4mmHg,B群42.2±5.2mmHg).ALSにおいては呼吸機能の良好な時期,とくに動脈血二酸化炭素分圧の上昇する前にPEGをおこなうことが望ましい.
  • 平野 嘉子, 小国 弘量, 大澤 真木子
    2008 年 48 巻 10 号 p. 727-732
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    ジャーナル フリー
    若年性ミオクロニーてんかん(JME)は正確な診断で発作抑制可能とされるが,一方で治療抵抗例も報告されている.今回,治療抵抗因子を検討した.対象と方法:当小児科で経過観察した47例を後方視的に分析した.結果:I群:治療反応良好群(N=33),II群:真性治療抵抗群(N=1),III群:偽性治療抵抗群(N=13)に分類された.II群はいかなる抗てんかん薬でも発作抑制困難,III群は初期治療に反応するが再発した.III群の治療抵抗因子は病識欠如による怠薬4例,心理社会学的要因9例であった.JMEの約30%は治療抵抗性であり,その多くは偽性治療抵抗群にふくまれた.教育・心理療法・環境整備で発作軽減・QOL向上が期待された.
症例報告
  • 清水 文崇, 川井 元晴, 古賀 道明, 小笠原 淳一, 根来 清, 神田 隆
    2008 年 48 巻 10 号 p. 733-736
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    ジャーナル 認証あり
    症例は70歳男性である.66歳時,第3,第4腰椎後方除圧術後より左下肢に有痛性筋痙攣が出現した.69歳時,第12胸椎圧迫骨折後より筋痙攣は増悪し,強い疼痛をともない膝および足関節の自動的・他動的運動で誘発されようになった.左L3-S1神経根ブロックによる感覚入力の遮断で筋痙攣は消失したことから,責任病巣は左L3-S1神経根が考えられた.さらに,同期性筋痙攣を呈しGABA作動薬が有効であることから,脊髄内抑制性介在ニューロン障害の関与も推察された.腰部交感神経節ブロックにより筋痙攣および疼痛の持続的な軽快がみられ,交感神経の持続的入力が筋痙攣の増悪因子であったと考えられた.本例は薬物治療に抵抗性を示す一側下肢の有痛性筋痙攣に対し,腰部交感神経節ブロックが有効であったまれな一例である.
短報
  • 大石 知瑞子, 岡野 晴子, 上釜 和也, 小林 啓一, 永根 基雄, 千葉 厚郎, 作田 学
    2008 年 48 巻 10 号 p. 737-741
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    ジャーナル フリー
    症例は38歳の男性である.糖尿病性腎症で維持透析導入後より血圧が上昇し,約2カ月後から徐々に歩行障害,構音障害,嚥下障害が増悪した.頭部MRIで橋を中心とした脳幹部に血管原性浮腫を主体とする病変をみとめ,症状は約4カ月にわたって徐々に進行し,頭部MRIでも病巣が拡大した.ステロイドパルス療法に加え,厳重な水分管理と血圧コントロールで臨床症状,MRI画像ともすみやかに改善し,以後症状の再増悪なく経過したが,治療10カ月後の頭部MRI T1強調画像では高信号変化が残存した.本症例は急性発症せずに緩徐に発症,増悪するreversible posterior leukoencephalopathy syndrome(RPLS)の存在を示唆している.
  • 冨井 康宏, 近藤 正樹, 細見 明子, 永金 義成, 滋賀 健介, 中川 正法
    2008 年 48 巻 10 号 p. 742-745
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    ジャーナル フリー
    突然発症の記憶障害を呈し一過性全健忘をうたがった2例を経験した.日常生活における記憶障害はすみやかに消失したが,Wechsler Memory Scale-Revisedで記憶障害の遷延をみとめ,頭部MRI拡散強調画像で海馬に高信号域を確認し,海馬梗塞と診断した.1例は左海馬病変で言語性記憶が低下し,1例は右海馬病変で視覚性記憶が低下した.TGAうたがい例では遷延性記憶障害と海馬病変の検討が重要である.
  • 須貝 章弘, 小宅 睦郎, 梅田 麻衣子, 梅田 能生, 藤田 信也
    2008 年 48 巻 10 号 p. 746-749
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    ジャーナル フリー
    症例は75歳女性である.発熱と頭痛の後,左外眼筋麻痺と失明をきたした.蝶形骨洞炎と肥厚性硬膜炎をともない,β-Dグルカンが陰性で生検は未施行であったが,深在性アスペルギルス症を想定しボリコナゾール投与を開始した.治療開始後5日目から症状の改善がみられ,血清アスペルギルス抗原陽性が判明した.深在性アスペルギルス症による眼窩尖端症候群の既報告例では,ステロイド投与を先行させたばあい,きわめて予後が悪く致命的になっている症例が多い.ステロイドが奏効する疾患との鑑別も難しいが,確定診断が困難な症例に対してはステロイド投与に先行して抗真菌剤投与による診断的治療を検討すべきと考えられた.
  • 祢津 昌広, 鈴木 直輝, 水野 秀紀, 高井 良樹, 三須 達郎, 青木 正志, 中島 一郎, 糸山 泰人
    2008 年 48 巻 10 号 p. 750-753
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/01
    ジャーナル フリー
    症例は30歳の男性である.激しい頭痛,発熱および軽度の意識混濁を呈し救急搬送された.神経学的所見では髄膜刺激症状陽性,腰椎穿刺にて髄液圧亢進と多核球優位の髄液細胞増多をみとめた.MRIでは脳幹部に造影病変をみとめた他,粒状の病変を脳内に散在性にみとめた.数年前に神経ベーチェット病(NBD)の診断を受けており,NBDの再発を考えたが,細菌性髄膜炎の合併も当初否定できなかった.メチルプレドニゾロンパルス療法とメロペネム,バンコマイシンの併用により数時間の単位で症状の改善がえられ,経過から細菌性髄膜炎は否定された.また,本症例では細菌感染症で上昇するとされる血清プロカルシトニン値が基準値範囲内であり,両者の早期鑑別に有用と考えられた.
feedback
Top