臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
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49 巻, 8 号
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原著
  • 今村 久司, 田中 正美, 北川 尚之, 田原 将行, 大野 美樹, 田中 恵子, 小西 哲郎
    2009 年 49 巻 8 号 p. 457-462
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/08
    ジャーナル フリー
    再発を抑制しきれないneuromyelitis optica(NMO)3例に対して,抗CD20ヒト―マウスのキメラモノクローナル抗体であるrituximabの投与をおこなった.年間再発率は3例ともに減少し(4.8回/年→1.1回/年),EDSSも改善(8.7→8.0)した.有害事象はみとめなかった.効果の検証にはより多くの症例の蓄積や長い観察期間が必要ではあるが,ステロイド持続内服に抵抗性の難治例に対しては試みても良い治療法と考えられた.
  • 岩崎 靖, 三室 マヤ, 吉田 眞理, 祖父江 元, 橋詰 良夫
    2009 年 49 巻 8 号 p. 463-467
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/08
    ジャーナル 認証あり
    愛知医科大学加齢医科学研究所において剖検検索された孤発性Creutzfeldt-Jakob病(CJD)61例の疫学的データを検討した.発症年齢は27歳から89歳(平均66.0歳)であった.医療従事者が2例あったが,CJD患者との明らかな接触歴は確認できなかった.出所病院は愛知県42例,岐阜県12例,三重県7例で,居住地は名古屋市が22例であった.神経内科で診療された症例は54例であった.プリオン蛋白遺伝子の解析がされた39例のcodon129多型はMet/Met 36例,Met/Val 3例,codon219多型は全例Glu/Gluであった.当地区の最近のCJD剖検率は50%以上と推定された.
症例報告
短報
  • 千原 典夫, 山本 敏之, 林 幼緯, 塚本 忠, 小川 雅文, 村田 美穂
    2009 年 49 巻 8 号 p. 493-496
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/08
    ジャーナル フリー
    パーキンソン病の82歳女性.66歳から高度の脊柱後彎.82歳から体幹屈曲が悪化し,易転倒が出現.Levodopa 100mg/carbidopa 10mg合剤2錠を空腹時に内服後4時間までの評価では,レボドパ血中濃度は二峰性に推移し,濃度変化に遅れてパーキンソニズムが変動した.体幹屈曲は変化なかった.食道造影と上部消化管内視鏡で食道裂孔ヘルニアと食道の蛇行をみとめ,食道での薬剤通過障害がうたがわれた.同量の薬剤を,飲水量を増やして内服し,内服後,体幹を伸展させた.レボドパ血中濃度は一峰性になり,ピーク値は上昇し,体幹屈曲とパーキンソニズムが改善した.体幹の姿勢異常がレボドパの吸収に影響していたと考えられた.
  • 能登 祐一, 滋賀 健介, 藤並 潤, 水野 敏樹, 中川 正法, 田中 惠子
    2009 年 49 巻 8 号 p. 497-500
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/08
    ジャーナル フリー
    症例は59歳男性である.四肢の異常感覚,神経根痛と深部感覚低下が3カ月で進行し,独歩不能となった.感覚神経誘発電位は低下・消失し,亜急性感覚性ニューロノパチー(SSN)と考えた.悪性腫瘍検索にて,気管支入口部および気管分岐部リンパ節生検より肺扁平上皮癌と診断した.抗神経抗体は陰性であったが,化学療法と放射線療法施行後に神経根痛の消失・深部感覚の改善をみとめたため,傍腫瘍性SSNと考えた.傍腫瘍性SSNは肺小細胞癌に合併することが多く肺扁平上皮癌に合併することはまれであり,原発腫瘍の早期発見と治療がSSNの症状改善に寄与することが示された重要な症例と考え報告する.
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