臨床神経学
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50 巻 , 3 号
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原著
  • 下畑 享良, 柳川 香織, 田中 惠子, 西澤 正豊
    2010 年 50 巻 3 号 p. 137-140
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    予後が不良であった成人の細菌性髄膜炎の臨床的特徴を明らかにする目的で,当科で経験した細菌性髄膜炎27症例について後方視的な検討をおこなった.退院時の重症度をGlasgow outcome scale(GOS)にて評価し,予後不良群(GOS=1~4,15名)と予後良好群(GOS=5,12名)を比較した.予後不良群では,入院時の意識障害が高度で,脳浮腫,痙攣発作,脳出血,肺炎の合併頻度が有意に高かった.死亡例の解析では,臨床的特徴は予後不良群と同様であったが,髄液蛋白高値,糖低値が顕著であった.肺炎球菌感染症例も予後が不良であった.今後,多数例での前方視的研究が必要である.
  • 長岡 詩子, 清水 俊夫, 松倉 時子, 武田 眞弓
    2010 年 50 巻 3 号 p. 141-146
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    多系統萎縮症(MSA)患者28例において,栄養障害の状況を把握するために体格指数(BMI),上腕三頭筋周囲長(%AMC),上腕三頭筋皮脂厚(%TSF)を測定した.また10年以上の長期生存MSA患者13例の栄養状態の推移を後方視的に検討した.BMIと%AMCは経管栄養導入後の患者で有意に低下していたが,%TSFは逆に増加している症例がみとめられた.後方視的検討では,呼吸不全や嚥下障害出現時には栄養障害がいちじるしく,逆に気管切開・胃瘻造設後には低カロリー下でも皮下脂肪の蓄積傾向を示した.呼吸不全・嚥下障害出現前後ではより早期の経管栄養導入が望ましいが,進行期には体脂肪蓄積を回避する必要がある.
症例報告
  • 長谷川 典子, 嶋田 兼一, 山本 泰司, 前田 潔
    2010 年 50 巻 3 号 p. 147-150
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    長期に塩酸ドネペジル5mgを投与されていて頸部前屈が出現し,同剤中止後3週間で改善し,5カ月後再投与したところ短期で頸部左方側屈を呈したレビー小体型認知症(DLB)の78歳女性例を報告する.頸部MRI上,頸髄圧迫や傍脊柱筋の萎縮・変性をみとめず,末梢神経伝導検査,疲労試験,各種血液・髄液所見には異常なく,表面筋電図において持続性収縮がみとめられたため,これらの異常姿勢は頸部ジストニアと診断した.ふたたび塩酸ドネペジルを中止すると,3週間で症状は改善した.DLBにおいて,塩酸ドネペジルは,頸部ジストニアの出現に関与する可能性が示唆された.
  • 迫 祐介, 麻生 泰弘, 中村 憲一郎, 木村 成志, 熊本 俊秀
    2010 年 50 巻 3 号 p. 151-155
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    症例は71歳の男性である.1995年にパーキンソン病と診断され,抗パーキンソン病薬が開始された.2006年6月下旬より38℃~39℃台の発熱が出現し,9月中旬に自然に消失した.2007年7月上旬よりふたたび発熱し,持続するため当科に入院した.神経学的には前傾姿勢,小歩をみとめ,オフ時には著明な筋強剛,無動,静止時振戦をみとめた.血液検査や全身CT検査では異常はなかった.起立性低血圧,および発汗テストにて腹部以下の発汗低下をみとめた.発熱は周囲環境温度の調節により低下傾向を示し,発汗障害にともなううつ熱と診断した.パーキンソン病では様々な自律神経症状をともなうがうつ熱をきたした症例の報告はしらべたかぎりはなく,貴重な症例と考えられた.
  • 四茂野 はるみ, 栗崎 博司, 蛇沢 晶, 崎山 快夫, 齊藤 祐子, 村山 繁雄
    2010 年 50 巻 3 号 p. 156-162
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    パーキンソニズムを主症状としたSCA2の最初の剖検例である.12q23-24に38と40のモザイクCAGリピート延長がありSCA2と判明,母と息子も同病であった.自律神経障害,認知症を合併し,小脳症状は軽度であった.頭部画像では橋・延髄萎縮が著明でMSA-Cに似ていた.髄液HVA,5HIAAは減少,MIBG心筋シンチでH/M比低下をみとめた.剖検で橋核,下オリーブ核,小脳,黒質等に1C2陽性封入体をみとめSCA2に合致する一方,黒質,青斑核,迷走神経背側運動核,心筋交感神経等にリン酸化α-シヌクレイン陽性のLewy小体関連病理をみとめた.SNCAなどパーキンソン病関連遺伝子異常の合併はなかった.
  • 岩島 とも, 立石 貴久, 山崎 亮, 本村 今日子, 大八木 保政, 吉良 潤一
    2010 年 50 巻 3 号 p. 163-167
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/03/25
    ジャーナル フリー
    症例は80歳と79歳男性の兄弟例である.79歳と76歳発症の緩徐進行性の両下肢脱力を主訴に受診.神経学的には下肢の脱力をみとめたが,上位運動ニューロン徴候,球麻痺症候,呼吸障害はみとめなかった.臨床的には脊髄性進行性筋萎縮症を呈していたが,家族歴をみとめたため,弟に遺伝子検査を施行しSOD1L126S遺伝子変異をみとめた.これまで報告されたSOD1L126S遺伝子変異をともなう家族性筋萎縮性側索硬化症(ALS)では,初発症状は下肢の筋力低下が多く,経過中に上位運動ニューロン徴候は指摘されておらず,本兄弟例も同様の特徴を呈していた.高齢発症緩徐進行性で上位運動ニューロン徴候や球麻痺症状を呈さなくとも,家族性ALSの可能性を考慮する必要がある.
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