臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
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50 巻, 9 号
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総説
  • 望月 秀樹
    2010 年 50 巻 9 号 p. 623-627
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/04
    ジャーナル フリー
    パーキンソン病は,頻度の高い変性疾患である.L-ドーパ療法自体は,短期間の使用では副作用も少なく,パーキンソン症状をもっとも改善させる薬剤であるが,長期使用により日内変動やジスキネジアを生じることがある.そのため早期パーキンソン病における治療法は,ドパミンアゴニストの使用が推奨される一方で,患者によってはドパミンアゴニストによる副作用も問題になっている.本総説では,パーキンソン病の初期治療,L-ドーパの毒性,嚥下障害,QOLについて述べる.現時点では,L-ドーパがやはり一番中心的な薬剤となるであろう.しかし,個々の患者でリスクとベネッフィトをよく検案し,治療方針を決定することが望ましい.
  • 長峯 隆
    2010 年 50 巻 9 号 p. 628-633
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/04
    ジャーナル フリー
    ヒト脳の持つ機能は,脳の局所に細分化した形で担われているという概念の確立は19世紀である.それ以降,脳局所それぞれの機能をあきらかにしようという試みが続いている.術中の脳皮質の電気による刺激/抑制反応が局所の機能検索の確実な方法として扱われているが,その侵襲性ゆえ,実際の応用には制約がある.近年,計測の高感度化により,脳機能の変容にともなう物理現象を頭蓋外よりとらえる方法が急速に広まっている.反復して複数の検査をおこなえることから,健常人にも応用することができ,従来にはない知見を提供している.それぞれの検査法の特徴,限界をしり,複数の方法を組み合わせることで,より多くの情報をえることができる.
症例報告
短報
  • 柿沼 佳渚子, 中島 雅士, 稗田 宗太郎, 市川 博雄, 河村 満
    2010 年 50 巻 9 号 p. 666-668
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/10/04
    ジャーナル フリー
    右小指球の感覚障害で発症,その後第2病日には鷲手,さらに第3病日には右上肢全体の筋力低下へと進行した脳梗塞の63歳男性を報告する.頭部MRIでは,左大脳半球半卵円中心の前大脳動脈・中大脳動脈境界領域に散在する梗塞巣をみとめ,その一部は手の運動領域であるprecentral knobの内側をふくんでいた.頸動脈エコーおよび頸部MRAでは左内頸動脈に高度の狭窄と不安定プラークをみとめた.手指の一部に限局した運動・感覚障害を呈する脳梗塞は,Roland動脈終末枝の塞栓性機序だけでなく,単麻痺へと進行しうる血行力学性機序によるものがあり,その病因の一つとして内頸動脈のアテローム性変化が重要である.
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