臨床神経学
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51 巻 , 9 号
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総説
  • 重藤 寛史
    2011 年 51 巻 9 号 p. 661-668
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/26
    ジャーナル フリー
    てんかんは総人口の約1%が罹患するありふれた疾患である.てんかん診断のためには発作症候を知り,正しい脳波判読をすることが大切である.治療の基本は抗てんかん薬治療であり,ここ数年で日本での処方が可能となった新規抗てんかん薬もふくめ副作用や相互作用を良く知って処方する必要がある.一方,海馬硬化を有する側頭葉てんかんなど,早めに外科治療を考慮すべきてんかんもある.成人てんかん患者は就労,結婚,妊娠・出産,合併疾患など様々な要因をもっている.本総説では新規抗てんかん薬,てんかん手術,女性のてんかん,高齢者のてんかん,などのトピックもふくめ神経内科医として必要なてんかん診療の基本を概説する.
  • 西野 一三
    2011 年 51 巻 9 号 p. 669-676
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/26
    ジャーナル フリー
    筋病理は,筋疾患診断において中心的な役割を果たしている.検体採取・固定・運搬の際,人工産物が入りやすい.ヘマトキシリン・エオジン染色は,構築の変化,筋線維大小不同に加えて,壊死・再生線維,内鞘線維化,リンパ球浸潤などを評価する.ゴモリ・トリクローム変法はタンパク質凝集体などの異常構造物の同定にもちいる.NADH-TR染色は,筋原線維間網を描出するため,筋原線維の乱れを評価するのに適している.ミオシンATPaseは,筋線維タイプの評価にもちいる.タイプ1線維の選択的萎縮は筋原性変化を,筋線維タイプ群化は神経再支配を反映する.すべての染色での所見を総合して,筋原性か神経原性変化かを判定する.
原著
  • 松村 剛, 木村 卓, 穀内 洋介, 久保田 智哉, 高橋 正紀, 佐古田 三郎
    2011 年 51 巻 9 号 p. 677-682
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/26
    ジャーナル フリー
    筋強直性ジストロフィー患者の受療動向を検索する目的で,大阪府下の循環器・糖尿病・産婦人科・眼科全専門医に無記名アンケートを実施し,20.7%から回答をえた.33.8%の専門医は診療経験を有し,10.1%は診断経験があり,患者が様々な科を受診していること,神経内科以外の科を先に受診する症例も多いことが確認された.周産期・周術期トラブルでの発見も多く,非専門科での診断能力向上が課題だが,診断経験を持つ医師は筋強直現象や顔貌など特徴的症状への関心が高く,簡易スクリーニング法の開発が有効と思われた.患者の病識不足や専門医との連携困難を指摘する意見もあり,患者・医療者双方への啓発と情報共有が重要である.
症例報告
  • 北田 茉里, 鈴木 秀和, 市橋 珠里, 三井 良之, 田中 惠子, 楠 進
    2011 年 51 巻 9 号 p. 683-687
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/26
    ジャーナル フリー
    免疫療法が有効であった抗NMDA受容体脳炎の2例を報告する.症例1は38歳女性で,全般性強直間代発作にて入院後,高次脳機能障害が判明し脳炎と診断した.ステロイドパルス療法に抵抗性であったが,免疫グロブリン大量療法(IVIg)が奏功した.症例2は71歳男性で,季節性,新型インフルエンザワクチン接種後,痙攣発作,高次脳機能障害にて入院した.ステロイドパルス療法1クールにて奏効えられた.2症例とも腫瘍非合併で,免疫療法にすみやかな反応がえられたことは興味深く,抗NMDA受容体脳炎が従来報告されるより多様なスペクトラムをふくむ疾患であることが推測された.
  • 景山 卓, 後藤 容子, 佐野 史絵, 加藤 竹雄, 南部 光彦, 岡田 務, 末長 敏彦
    2011 年 51 巻 9 号 p. 688-693
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/26
    ジャーナル フリー
    症例は7歳女児で,亜急性に進行する傾眠傾向と自発性の低下および右手足の運動機能障害を呈した.頭部MRIでは左前頭葉に腫瘤性病変がみられ,造影後T1強調画像では同部にopen ring signがみられた.1H-magnetic resonance spectroscopyでは,病変内部のコリンの上昇,N-acetylaspartateの低下に加え,短エコー時間をもちいた撮像でグルタミン酸およびグルタミンの複合ピークの上昇が確認された.以上の結果からこの病変はtumefactive demyelinating lesionであると診断した.ステロイドパルス療法により病変は縮小し,症状も軽快した.
  • 原 賢寿, 大内 東香, 北原 真紀子, 柴野 健, 宮内 孝治, 石黒 英明
    2011 年 51 巻 9 号 p. 694-698
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/26
    ジャーナル フリー
    症例は49歳男性である.発熱と両側腓腹部の疼痛,発赤,腫脹と歩行障害をみとめた.高度の炎症反応と高CK血症,高エンドトキシン血症をみとめ,血液培養でEdwardsiella tardaE. tarda )が検出された.CTでは両側腓腹筋の筋膜下に膿瘍と皮下の浮腫をうたがう所見をみとめた.E. tarda による敗血症,筋膜炎をうたがい抗生剤を使用し第43病日に退院した.E. tarda 感染による壊死性筋膜炎の報告はまれであり,敗血症をともないかつ基礎疾患を有しているばあいは,致死率がきわめて高いことが知られているため注意すべき菌種である.本例では基礎疾患のなかった点が良好な転帰をとった要因と考えられた.
  • 守谷 新, 門脇 傑, 菊地 サエ子, 榎本 雪, 望月 仁志, 宇川 義一
    2011 年 51 巻 9 号 p. 699-702
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/09/26
    ジャーナル フリー
    突然疼痛をともない,両側体幹と下肢の深部感覚優位の感覚障害,錐体路障害と膀胱直腸障害で発症した後脊髄動脈症候群の2例を報告した.後脊髄動脈は左右1本ずつ存在するが後脊髄動脈症候群の症状は本症例のように両側性のばあいが多い.後脊髄動脈は吻合が多く,側副血行路が働き,1対の独立した血管支配ではなく1つの血管のネットワークで補われているのが原因と考えられる.本症例は2例とも高血圧,脂質異常症と虚血性心疾患の既往があり,高度な動脈硬化にともなうアテローム硬化性の機序により血管のネットワークが破綻したためと考えられた.
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