臨床神経学
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52 巻 , 3 号
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症例報告
  • 松島 理明, 高橋 育子, 保前 英希
    2012 年 52 巻 3 号 p. 147-151
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    症例は53歳の女性である.貧血に対する1カ月の鉄剤内服でHb 3.5g/dl が8.9g/dl と改善した.入院当日頭痛や痙攣を主訴に救急搬送され,搬入後痙攣重積となった.高血圧を呈し,脳MRIで両側後頭葉などに異常信号をみとめた.髄液蛋白は上昇していた.人工呼吸管理下のチアミラール持続静注で痙攣は収束し,意識状態の改善,脳MRI異常の消退をみとめ,posterior reversible encephalopathy syndrome(PRES)と診断した.PRESの背景として高血圧や薬剤性などがあるが,本症例のように比較的急速な貧血補正で発症するばあいもある.貧血補正の際は慎重さを要する症例が存在する.
  • 林 聖也, 菅野 直人, 西山 修平, 長谷川 隆文, 青木 正志
    2012 年 52 巻 3 号 p. 152-155
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    症例は79歳男性である.77歳時に顕微鏡的血尿,MPO-ANCA陽性を指摘され全身性血管炎の診断の下,ステロイドなど内服にて加療中であったが,右視力障害が出現し当科受診した.初診時は右眼耳側半盲のみであったが,左側頭部痛と同時に左眼視力低下が新たに出現した.頭部MRIでは,左側頭葉下面に硬膜肥厚と右蝶形骨洞内海綿静脈洞近傍に腫瘤性病変をみとめた.左眼の視力障害は多発暗点であり肥厚性硬膜炎による虚血性機転を考えたが,右眼に関しては一側の耳側半盲であり蝶形骨洞の腫瘤性病変による影響がうたがわれた.両側共にステロイドパルス療法に対し良好な反応をみとめたが,左右の視力障害の機序がことなると考えられる点が特徴的であった.
  • 岩崎 靖, 森 恵子, 伊藤 益美, 三室 マヤ, 吉田 眞理
    2012 年 52 巻 3 号 p. 156-160
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    症例は死亡時79歳の女性である.55歳時に歩行障害で発症し,筋強剛や静止時振戦をみとめ初期にはパーキンソン病と診断された.きわめて緩徐な進行を呈し,易転倒性がめだつようになったのは発症後約17年,胃瘻造設されたのは発症後約22年,全経過は約24年だった.神経病理学的に淡蒼球,視床下核,黒質,脳幹被蓋の高度変性と,神経原線維変化およびtuft-shaped astrocyteなどの嗜銀性構造物を広範囲にみとめた.長期経過に比して大脳皮質病変やタウの沈着は比較的軽く,従来報告されている進行性核上性麻痺のいずれのサブタイプにも分類されない臨床病理像を呈していると思われた.
  • 竹田 淳恵, 藤堂 謙一, 山本 司郎, 山上 宏, 川本 未知, 幸原 伸夫
    2012 年 52 巻 3 号 p. 161-165
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    症例は25歳男性である.小児期からくりかえす鼻出血の既往があった.臥位で読書中に突然の頭痛と共に視野欠損を自覚し,救急受診した.左上同名性四分盲があり,MRI拡散強調画像で右後頭葉内側に高信号領域をみとめ脳梗塞の診断で入院となった.経食道心エコーで右左シャントが確認され,胸部造影CTで左下葉の肺動静脈瘻をみとめ,奇異性脳塞栓症と診断し,肺動脈コイル塞栓術を施行した.既往歴・家族歴から遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)にともなう肺動静脈瘻と診断した.本邦ではHHTの頻度が欧米にくらべて低いと考えられているが,脳梗塞の原因疾患として肺動静脈瘻が発見されたばあいには,HHTを念頭に病歴・家族歴聴取をおこなう必要がある.
  • 堀内 一宏, 山田 萌美, 白井 慎一, 高橋 育子, 加納 崇裕, 金子 幸弘, 秋沢 宏次, 梅山 隆, 宮崎 義継, 矢部 一郎, 佐 ...
    2012 年 52 巻 3 号 p. 166-171
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    症例は37歳女性である.子宮頸癌術後,胸部CTにて腫瘤影をみとめ,クリプトコッカスを検出した.脳MRIで多発腫瘤影をみとめ脳,肺クリプトコッカス症と診断し,抗真菌薬を投与したが効果なく意識障害が出現した.抗真菌薬脳室内投与をおこない意識状態は改善,脳病変の縮小をみとめた.その後脳病変の再増大をみとめ,遅発性増悪と考えステロイドを投与し改善した.難治性経過のため菌株の同定検査をおこないCryptococcus gattii (VGI型)と判明した.C. gattii 感染症では強毒株による健常人症例も報告されている.難治性症例ではC. gattii の検索,ステロイド併用,脳室内投与をふくめた積極的な治療法を検討すべきである.
  • 竹内 朗子, 白井 慎一, 堀内 一宏, 高橋 育子, 松島 理明, 廣谷 真, 加納 崇裕, 矢部 一郎, 松本 昭久, 佐々木 秀直
    2012 年 52 巻 3 号 p. 172-177
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    免疫グロブリン大量静注療法(IVIg),ステロイド治療,血漿交換療法(PE)では再発抑制できずシクロスポリンA(CYA)により寛解期間が延長した慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)症例を経験した.症例1は58歳女性,症例2は35歳男性,IVIgにPEとステロイド治療の併用をおこなったが短期間で再発寛解をくりかえした.IVIgとCYAの併用療法に切りかえ,いずれもトラフ値200ng/ml 以下,血中濃度下面積(AUC)2,500ng/ml ・hを目標にCYA投与量を調整し,寛解期間は数カ月まで延長した.本症例はCIDPでのCYA至適用量決定にトラフ値やAUC測定が重要であることを示唆している.
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