症例は29歳男性である.27歳頃より頸部の筋力低下を自覚し,健診にて高CK血症を指摘され,当院を受診.頸部と上肢帯の高度の筋力低下と筋萎縮をみとめ,血中CK値は9,159IU/
l と上昇していた.四肢近位筋で実施した針筋電図は,当初,筋疾患に典型的な低振幅MUPがめだたなかったが,経過中に徐々に低振幅MUPとなった.血中抗SRP抗体陽性で,三角筋生検は壊死性ミオパチーの所見であり,多発筋炎と診断した.プレドニゾロンとタクロリムスにより,症状は軽減した.本症例は,慢性の経過で頸部と両上肢帯の高度の筋力低下・筋萎縮をみとめながら,下肢はほとんど障害されておらず,過去の報告例と比較し,特徴的な症例と考えられた.
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