症例は53歳女性である.37歳時に健診にて肝機能異常を指摘,原発性胆汁性肝硬変と診断された.52歳ごろより頻回に転倒し,家事の段取りができなくなった.当院受診時,仮面様顔貌,四肢固縮,姿勢反射障害をみとめた.MMSEは28点,視覚性再生,符号,Trail Making Testなどでいちじるしい低下がみられた.MRI T
1強調像では両側淡蒼球のみならず広範囲に高信号をみとめ,肝脳変性症と診断し7カ月後に生体肝移植施行された.術後6カ月で歩行,認知機能は改善し,T
1高信号は軽減した.肝脳変性症にともなうパーキンソニズムと認知機能低下は肝移植により早期より改善しうると考えられた.
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