症例は60歳の男性である.54歳時に左上下肢の麻痺にて来院.頭部MRIにて右放線冠に新鮮梗塞を,両側基底核や大脳深部白質に陳旧性脳梗塞をみとめた.抗血小板薬を投与したが,4度脳梗塞をくりかえした.家族歴からcerebral autosomal dominant arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy (CADASIL)をうたがい,
Notch3遺伝子検査をおこない診断にいたった.CADASILに対して脳梗塞抑制効果が報告されているロメリジンを2009年12月から投与開始し,以後3年間脳梗塞の再発をみとめていない.通常CADASILには抗血小板薬の投与がおこなわれているがエビデンスはなく,脳出血を増加させるとの報告もあり注意が必要である.ロメリジンは治療の一つの選択肢として考慮する必要があると思われる.
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