臨床神経学
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54 巻 , 2 号
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会告
原著
症例報告
  • 木下 朋実, 松嶋 聡, 佐藤 俊一, 星 研一, 岸田 大, 矢彦沢 裕之
    2014 年 54 巻 2 号 p. 124-129
    発行日: 2014/02/01
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は66歳女性である.くりかえす髄膜炎で入院した.10ヵ月で髄膜炎の再発は10回にのぼり,髄液検査では初期に多核球優位であり,しだいに単核球優位となった.髄液中にMollaret細胞をみとめ,髄液中IL-6は高値であった.抗生物質,抗ウィルス剤の投与は無効であったがコルヒチンの投与によって再発が抑制された.家族性地中海熱(familial Mediterranean fever; FMF)の可能性を考え施行した遺伝子検査では,MEFV遺伝子の変異をみとめた.診断に苦慮するMollaret髄膜炎ではFMFや神経Behçet病,神経Sweet病を鑑別として考え,コルヒチンの投与を考慮することが必要である.
  • 仲谷 利栄, 那波 一郎, 川﨑 裕子, 森谷 真之, 中野美佐 , 巽 千賀夫
    2014 年 54 巻 2 号 p. 130-134
    発行日: 2014/02/01
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は58歳男性である.1年前より認知機能障害が出現し他院にてアルツハイマー病と診断された.その後全身衰弱をみとめ当科入院となった.入院後突発的な発熱・炎症反応上昇・舌根沈下をともなう意識障害をくりかえし人工呼吸器管理を要した.髄液検査はしらべた範囲ではIL-6のみが22.2 pg/mlと増加していた.HLA(human leukocyte antigen)B54, Cw1が陽性であり,ステロイドを投与したところ,身体活動が著明に改善した.経過中皮膚病変はみとめなかったが,上記から神経Sweet病がうたがわれた.徐々に増悪する意識障害を主症状とし,髄液中の細胞,蛋白上昇をともなわず神経Sweet病のHLAタイピングを示した症例の報告は検索したかぎりみとめず貴重と考えられた.
  • 荒井 元美, 高木 大輔, 長尾 亮介
    2014 年 54 巻 2 号 p. 135-139
    発行日: 2014/02/01
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は48歳,右ききの女性である.インフルエンザワクチンを接種した20日後から異常行動,歩行障害などが現れた.頭部MRI検査で脳梁の膝部,体部から膨大部上部にかけての単一病変がみられ,急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis; ADEM)と診断した.単一物品の使用障害をふくむ観念性失行が左手だけにみられた.また,左手の一側性失書は漢字よりも仮名の障害が高度で,仮名の錯書と順序置換がみられたが仮名1文字の書取は可能であった.左中前頭回後部病変による純粋失書の特徴に類似しており,複数文字列の選択や配列に関する情報が脳梁を介して右半球に伝達される機序が示唆された.脳梁離断症状が前景に立つADEM症例はまれである.
  • 坊野 恵子, 仙石 錬平, 松野 博優, 森田 昌代, 松島 理士, 井口 保之
    2014 年 54 巻 2 号 p. 140-145
    発行日: 2014/02/01
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は76歳女性である.約2ヵ月の経過で右下肢の筋力低下が進行し,けいれん発作を呈した.入院時の頭部MRIで左頭頂部の髄膜に造影効果をみとめ,脳脊髄液検査は正常であった.入院後第15病日に硬膜脳生検を実施し,髄膜直下の脳組織に壊死をともなう炎症細胞浸潤とZiehl-Neelsen染色陽性の抗酸菌をみとめた.髄液,血液,硬膜いずれの培養も陰性であった.治療として抗結核薬,抗非結核性抗酸菌薬を選択し,副腎皮質ステロイドを併用した.抗酸菌感染症は起因菌の検出同定が困難な症例も多く,頭部MRIで髄膜が造影される症例では,侵襲度を勘案しながら硬膜および髄膜直下の脳組織生検を考慮すべきである.
  • 永田 龍世, 稲森 由恵, 髙田 良治, 池田 賢一, 渡邊 修, 髙嶋 博
    2014 年 54 巻 2 号 p. 146-150
    発行日: 2014/02/01
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は80歳男性である.両側性末梢性顔面神経麻痺,四肢筋力低下,四肢末梢・会陰部の感覚障害,尿閉,便秘,四肢腱反射消失をみとめた.バゾプレシン分泌過剰症(syndrome of inappropriate antidiuretic hormone secretion; SIADH),脳脊髄液細胞増多・蛋白上昇をみとめ,セフトリアキソンおよびステロイドパルス治療にて神経症状はすみやかに改善した.脳脊髄液CXCL-13上昇,血清抗ボレリアIgM抗体陽性より神経ボレリア症と診断した.経過中,SIADHの再燃と全身状態の悪化をみとめ,骨髄検査でT細胞型悪性リンパ腫が判明した.近年,ボレリア感染とリンパ腫の関連が報告されており,本例においてもボレリア感染がリンパ腫の発症機序に関連した可能性が考えられた.
  • 徳元 一樹, 上田 進彦
    2014 年 54 巻 2 号 p. 151-157
    発行日: 2014/02/01
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は68歳男性である.ゴルフスウィング後に項部痛と両肩の脱力を自覚した.意識清明で脳神経系に異常なく両側の三角筋と上腕二頭筋の筋力が低下していた.頭部MRI,頸椎MRIで脳幹梗塞や頸椎硬膜外血腫はみとめず数時間後に両上肢筋力は軽度改善し脊髄震盪と診断された.翌日,高度四肢麻痺を呈し入院した.去痰困難,呼吸筋麻痺も出現し人工呼吸器管理となった.入院後の画像検査で頸髄病変が顕在化し右椎骨動脈は起始部から描出されず血管腔に解離所見をみとめた.一側椎骨動脈解離による頸髄梗塞は後方循環系脳梗塞にくらべると非常にまれだが報告例があり本症例もゴルフによって生じた右椎骨動脈解離が頸髄梗塞の原因と考えた.
短報
  • 岩波 弘明, 加藤 大貴, 大中 洋平, 中島 雅士, 河村 満
    2014 年 54 巻 2 号 p. 158-161
    発行日: 2014/02/01
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は73歳男性である.1週間で進行する複視と左眼視力低下で入院した.左眼は全盲で,かつ眼瞼下垂と全外眼筋麻痺をみとめた.MRIで眼窩先端近傍に異常をみとめず,右上顎洞と左乳突蜂巣に異常T2高信号をみとめた.血液検査では赤沈の亢進とMPO-ANCA陽性をみとめた.メチルプレドニゾロン・パルス治療によって複視はすみやかに改善し,MRI異常信号は消失した.本症例は,Wegener肉芽腫症または顕微鏡的多発血管炎がうたがわれた.同疾患において肉芽腫の圧迫によらない神経局在症候群を呈することはまれであり,本症例の特徴であった.眼窩先端症候群の鑑別としてANCA 関連血管炎を考慮に入れる必要がある.
  • 崎間 洋邦, 伊佐 勝憲, 仲地 耕, 城間 加奈子, 渡嘉敷 崇, 大屋 祐輔
    2014 年 54 巻 2 号 p. 162-165
    発行日: 2014/02/01
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は82歳男性である.朝食後,座位でいる際に意識低下と右片麻痺を呈する一過性脳虚血発作を発症した.頭部MRIで急性期脳梗塞の所見はなく,安静と補液で症状は約1時間で改善した.左総頸動脈高度狭窄と,ECD-アセタゾラミド負荷脳血流シンチで左大脳半球の脳循環予備能低下を確認した.さらに,24時間血圧測定で,毎食後に収縮期血圧が90 mmHgを下回る食後低血圧をみとめた.食後低血圧はαグルコシダーゼ阻害薬の内服で改善した.以後,再発作はない.左総頸動脈高度狭窄に食後低血圧が合併した血行力学的機序による一過性脳虚血発作と診断した.食後低血圧は高齢者に多く,虚血性脳血管障害発症を誘発しうる注意すべき病態である.
地方会抄録
編集後記
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