臨床神経学
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55 巻, 2 号
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会告
症例報告
  • 山城 亘央, 長坂 高村, 高木 隆助, 三輪 道然, 新藤 和雅, 瀧山 嘉久
    2015 年 55 巻 2 号 p. 81-86
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
    症例は54歳の男性である.2010年12月歩行障害を発症し,2011年2月には記銘力低下も出現した.頭部MRIにて脳室周囲のT2高信号と脳室壁,脈絡叢の造影効果をみとめた.髄液は細胞数・蛋白上昇,糖低下をみとめ,クリプトコッカス抗原陽性から,クリプトコッカス脳室炎と診断した.リポゾーマル・アムホテリシンB,フルコナゾールにて治療を開始したが,副作用が出現したためボリコナゾール,フルシトシン,イトラコナゾールに変更した.本症例では頭部MRIにおける側脳室後角の隔壁形成をみとめ,脳室炎診断の一助となった.クリプトコッカス髄膜脳炎においてはまれながら脳室炎で発症するものがあることに留意すべきである.
  • 菱澤 美貴, 立花 直子, 濱野 利明
    2015 年 55 巻 2 号 p. 87-90
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
    症例は70歳の女性である.某日起床後に鏡に映った自分の顔の左側が歪んでみえることに気づいた.この変形視はヒトとサルの左顔面にみられ,他の動物や風景,ぬいぐるみをふくめた静物,図形,文字などに歪みや大小の変化はなかった.変形視以外には神経学的,眼科的異常はみとめなかった.頭部MRIにて脳梁膨大部右側に拡散強調像で高信号域をみとめ,この部位の脳梗塞が変形視の原因と考えられた.本症例は半側相貌変形視の責任病巣を明らかにするうえで,貴重な症例と考えられる
  • 宮脇 統子, 古東 秀介, 石原 広之, 後藤 雄一, 西野 一三, 苅田 典生, 戸田 達史
    2015 年 55 巻 2 号 p. 91-95
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
    症例は31歳の女性である.小児期より長距離走が不得意で,23歳より易転倒,31歳より歩行時のふらつきが増悪し受診した.神経学的に小脳失調,下肢優位の四肢筋力低下,腱反射低下,振動覚低下,ミオクローヌス,感音性難聴,網膜色素変性症をみとめた.MRIで小脳脳幹の萎縮があり,血清・髄液中の乳酸・ピルビン酸が高値,針筋電図検査で慢性神経原性変化をみとめた.生検筋の組織検査ではragged-red fiberなどの所見はなく慢性神経原性変化のみで,neurogenic muscle weakness, ataxia, and retinitis pigmentosaと診断した.遺伝子検査でミトコンドリアDNA 8729 G>A変異をみとめ,呼吸鎖酵素複合体である複合体Vの活性低下を確認したため,本症例での病的変異と考えた.
  • 白石 渉, 岩永 育貴, 山本 明史
    2015 年 55 巻 2 号 p. 96-100
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
    症例は70歳の男性である.来院5ヵ月前から下肢の動作緩慢を自覚,症状は徐々に進行し,4週間前に独歩で前医入院,2週間前から歩行不能となり当院入院となった.下肢優位の脱力と感覚異常,歯車様固縮,ジストニアを呈し,起立性低血圧と膀胱直腸障害もみとめた.採血,髄液検査は異常なく,脳波検査で鋭波をみとめた.頭部,脊髄MRIに異常はなかった.自己免疫の関与をうたがい免疫治療を施行,症状の改善をえて,歩行可能となった.後日,抗Ma2抗体陽性が判明した.抗Ma2抗体陽性神経障害では辺縁系脳炎の他にレム睡眠時行動異常やパーキンソニズムを呈することがあり,積極的にうたがい,検査をおこなうことが必要である.
  • 光武 明彦, 金本 忠久, 鈴木 洋司, 酒井 直樹, 久力 権
    2015 年 55 巻 2 号 p. 101-106
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
    症例は66歳の女性である.回転性めまい,難聴で受診し,新規発症の多発性脳梗塞があり,心原性脳塞栓症と考え抗凝固療法を導入した.その後約1年間無症状で経過したが,左不全片麻痺を発症し再度多発性脳梗塞と診断された.左不全片麻痺は徐々に改善したが,失調性歩行,失行症状が出現し亜急性に進行した.血液検査で乳酸脱水素酵素,可溶性インターロイキン2受容体が高値で,悪性リンパ腫をうたがった.ランダム皮膚生検,開頭脳生検を施行し,血管内にB細胞系染色陽性の異型リンパ球の集簇をみとめ,血管内大細胞型B細胞リンパ腫の診断をえた.本疾患は急速に進行し予後不良だが,本症例は経過中約1年間進行が停止し,貴重な症例と考えた.
  • 上中 健, 濱口 浩敏, 関口 兼司, 古和 久朋, 苅田 典生, 戸田 達史
    2015 年 55 巻 2 号 p. 107-110
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
    症例は76歳の女性である.入院5ヵ月前より左上肢および両下肢の跛行が出現し,3ヵ月前より近医で炎症反応高値を指摘されたが原因不明であった.入院2ヵ月前に複視を自覚し,ステロイドで一過性に症状は改善したが再発したため,精査目的で紹介された.神経学的には右medial longitudinal fasciculus(MLF)症候群をみとめ,頭部MRIでは脳底動脈穿通枝領域に急性期脳梗塞巣が散見された.側頭動脈生検で巨細胞性動脈炎と確定診断した.脳梗塞の機序として,頭蓋外血管からの動脈原性塞栓あるいは頭蓋内血管への炎症の波及が考えられた.プレドニゾロン内服で炎症反応や跛行症状は改善した.
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