臨床神経学
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55 巻 , 6 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
症例報告
  • 野中 俊章, 藤本 武士, 江口 勝美, 福田 安雄, 吉村 俊朗
    2015 年 55 巻 6 号 p. 389-394
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    症例は22歳,男性.10歳頃より走るのが遅くなった.2011年6月より歩行時のふらつきが出現し,当科紹介入院となった.入院時,四肢筋力低下や凹足,痙性歩行がみられた.MRIで大脳深部白質や脳幹,胸髄などに多発する病変がみとめられた.末梢神経伝導検査にて上下肢の運動神経伝導速度の著明な低下と腓腹神経生検にて脱髄所見をみとめた.治療はステロイドパルス療法を2クール施行し,その後インターフェロンβ自己注射を継続したが,症状は徐々に改善傾向がみられた.中枢ならびに末梢神経系に著明な脱髄をきたす中枢・末梢連合脱髄症の病態には未だ不明な点も多く,治療方針も確立してはいない.更なる症例の蓄積と検討が望まれる.
  • 西口 亮, 藤本 武士, 江口 勝美, 福田 安雄, 高橋 幸利
    2015 年 55 巻 6 号 p. 395-400
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,男性.2012年6月初旬より両側耳介の疼痛や腫脹が出現し,1ヵ月半後に記憶障害が出現した.記銘力低下や失見当識をみとめ,頭部MRIでは両側側頭葉内側の異常信号と同部の腫脹を呈した.髄液検査で単形核球優位の細胞増多をみとめ,髄液での単純ヘルペスウィルスPCR陰性などから,非ヘルペス性急性辺縁系脳炎と考えられた.両側耳介病変より再発性多発軟骨炎がうたがわれ,ステロイド内服治療により両側耳介腫脹ならびに記銘力障害の改善をみとめた.本例では血清/髄液ともにGluN2B-NT2抗体(GluRε2抗体)が陽性であった.両者の合併機序として血管のみならずニューロンも標的とした自己免疫的機序も示唆された.
  • 森 千晃, 齋藤 朋子, 齊藤 利雄, 藤村 晴俊, 佐古田 三郎
    2015 年 55 巻 6 号 p. 401-405
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    中年以後に発症した緩徐進行性の近位筋優位筋力低下・筋萎縮,四肢遠位のしびれ,四肢腱反射消失を呈し,神経伝導検査で感覚神経が導出不能であった男性2例を報告した.1例は祖父母が沖縄県,もう1例は両親が滋賀県出身で,常染色体優性遺伝と考えられる家族歴を有していた.また,1例では四肢や体幹に有痛性筋けいれんが頻発していた.近位筋優位遺伝性運動感覚ニューロパチー(hereditary motor and sensory neuropathy with proximal dominant involvement; HMSN-P)の遺伝子検査では,2例とも既報告の変異をみとめた.HMSN-Pは本邦では沖縄県と滋賀県に地域集積性のある疾患だが,患者およびその子孫は日本中に広がっていると考えられ,神経内科医が本疾患について熟知する必要がある.
  • 村松 倫子, 林 広美, 岸谷 融, 三浦 豊章, 新井 良和, 小林 康孝
    2015 年 55 巻 6 号 p. 406-411
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    症例は68歳男性.右眼神経帯状疱疹の加療2ヵ月後,右眼の眼球運動障害,右瞳孔散大あり.髄液中単核球・蛋白上昇,帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus; VZV)-IgM陽性,頭部MRIで右基底核に無症候性の新鮮小梗塞,MRAで右中大脳動脈に高度狭窄をみとめた.その後,脳梗塞再発.髄液検査に変化なくVZV髄膜炎と診断,アシクロビルとプレドニゾロン,アスピリンで左手指脱力・右眼瞼下垂・右眼球運動障害は改善,加療継続し1年後に右中大脳動脈狭窄も改善した.眼神経帯状疱疹後の眼球運動障害・脳血管障害はVZVの血管への直接感染や炎症波及が原因とされる.脳動脈狭窄に対する長期加療が,脳梗塞発症リスクを軽減すると考えた.
  • 黒羽 泰子, 他田 真理, 河内 泉, 西澤 正豊, 松原 奈絵, 小池 亮子
    2015 年 55 巻 6 号 p. 412-416
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    症例は19歳女性である.既往,家族歴に特記事項はない.15歳時に易疲労性,18歳時に,両下肢筋力低下,筋痛を発症した.筋原性酵素,血清,髄液中の乳酸値が上昇し,筋組織上,Gomori trichrome染色で赤色ぼろ線維をみとめ,ミトコンドリアm.3271T>C点変異が検出された.ビタミンB1,B2,コエンザイムQ10,L-カルニチンを内服し,筋原性酵素は低下したが,易疲労性と筋痛,高乳酸血症が残存したため,ピルビン酸ナトリウム療法を開始した.血清乳酸値はすみやかに改善し,筋痛,易疲労性,筋力低下も軽快した.成人のミトコンドリア病における同療法の有効性について,症例の蓄積が必要である.
短報
  • 遠藤 浩信, 千原 典夫, 関口 兼司, 古和 久朋, 苅田 典生, 戸田 達史
    2015 年 55 巻 6 号 p. 417-420
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    症例は46歳女性.14年前に多発性硬化症と診断し2001年からinterferon β-1bを開始したが精神症状で2006年に中断した.以後年に1~2回再発しEDSSは2.5から6.5となった.2012年4月の再発時,methylprednisolone pulse療法後からfingolimod(FTY)投与した.導入20日後から構音障害と下肢脱力がみられ,脳MRIで側脳室周囲,皮質直下白質,小脳半球に数mm程の20ヵ所以上のGd造影効果をともなう病変をみとめた.再発頻度の多い症例へのFTY導入は慎重にし,早期はとくに注意して経過観察をする必要がある.
  • 小川 朋子, 田川 朝子, 橋本 律夫, 加藤 宏之
    2015 年 55 巻 6 号 p. 421-423
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    麦角剤による薬剤性髄膜炎の29歳女性例を経験した.患者は27歳時流産し,子宮収縮剤メチルエルゴメトリンを処方された.その3日後無菌性髄膜炎で入院した.2年後にエルゴタミン酒石酸塩を服用し,その翌日無菌性髄膜炎を生じた.2回とも服薬中止と安静のみで急速に症状は改善した.メチルエルゴメトリンに対するDLST(drug lymphocyte stimulation test)の結果は180%であった.薬剤性髄膜炎はまれな再発性髄膜炎である.原因薬剤はNSAIDによるものがもっとも多いが,その他さまざまな薬剤例が報告されている.これまで麦角剤による薬剤性髄膜炎の報告はなく,貴重な症例であるため報告する.
  • 髙 紀信, 髙木 隆助, 三輪 道然, 長坂 高村, 新藤 和雅, 瀧山 嘉久
    2015 年 55 巻 6 号 p. 424-427
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    症例は74歳男性.構音障害,歩行障害で発症し,頭部MRI検査,髄液検査の結果からCreutzfeldt-Jakob病(CJD)と診断した.遺伝子検査でV180I変異およびM232R変異の複合ヘテロ接合性変異をみとめた.V180I変異は緩徐進行性であり,ミオクローヌスやPSDの出現が低頻度で非典型的な経過をたどることが多い.M232R変異は急速進行性の孤発性CJDに似た経過をたどるものと,緩徐進行性で非典型的な経過をたどるばあいとがある.V180I変異とM232R変異の複合ヘテロ接合性変異はこれまでに4例の報告があるが,いずれも緩徐進行性の経過をたどっており,本例も同様であった.
  • 小池 佑佳, 酒井 直子, 梅田 能生, 梅田 麻衣子, 小宅 睦郎, 藤田 信也
    2015 年 55 巻 6 号 p. 428-431
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/24
    ジャーナル フリー
    症例はベーチェット病の30歳男性である.発熱と陰部潰瘍の出現後,一過性の右上下肢の脱力をきたし,頭部MRIで前大脳動脈領域の脳梗塞をみとめた.翌年,右被殻梗塞を発症し,その6日後に発熱と陰部潰瘍をみとめた.いずれも髄液IL-6(interleukin-6)値は上昇していた.頭部CTアンギオグラフィーで,脳梗塞の初発時には主幹動脈の病変はなかったが,再発時には右前大脳動脈の閉塞と左前大脳動脈の狭窄をみとめた.ベーチェット病患者の脳梗塞はまれだが,本例は発熱,陰部潰瘍,髄液IL-6値の上昇をともなって脳梗塞をくりかえした点が特徴で,ベーチェット病の増悪が血管炎の機序を介し,脳梗塞発症に関与したと考えられる貴重な症例である.
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