臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
Print ISSN : 0009-918X
ISSN-L : 0009-918X
55 巻, 7 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
総説
  • 廣瀬 源二郎
    2015 年 55 巻 7 号 p. 455-458
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/24
    [早期公開] 公開日: 2015/05/15
    ジャーナル フリー
    上肢Barré試験の手技に関して種々のことなる記載があるが,その大きな原因はBarré論文で“Mingazziniの上肢試験”と紹介しながら彼の原著を引用してないため,彼がおこなったMingazzini上肢試験の写真がそのまま利用,流布されて恰も彼の検査法として不完全に伝えられたことにある.ここで今まで日本の論文には取り上げられてなかったMingazziniの原著からそのオリジナルとなる手法の写真を引用して,その手技の原法を説明するとともに,彼らの下腿(下肢)試験についても紹介し,これらの上下肢試験のpriorityを示したい.
症例報告
  • 宮腰 夏輝, 板東 充秋, 清水 俊夫, 川田 明広, 松原 四郎, 中野 今治
    2015 年 55 巻 7 号 p. 459-464
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/24
    [早期公開] 公開日: 2015/05/22
    ジャーナル フリー
    症例は21歳の女性.先行感染後,発熱,頭痛,痙攣発作を生じ入院.前向性健忘,逆向性健忘が残存したが,それ以外は生活に不自由のない状況であり痙攣再発もなかった.髄液で軽度の細胞数増加あり.脳波では左側頭部起源がうたがわれる鋭波をみとめた.入院5日目に初対面の医師や看護師,入院中の患者に対し会ったはずがないのに以前にみたことがあるように思うと訴え,この症状は約20日間持続した.既知の相貌に関する異常はなく,相貌失認もなかった.心理検査では言語性の記憶障害がうたがわれ,退院時も逆向性健忘は残存した.類例の検討では言語性記憶障害例もあるが記憶障害のない例もある.左側頭葉病変とhyperfamiliarityには関連が示唆される.
  • 永石 彰子, 成田 智子, 権藤 雄一郎, 中根 俊成, 福留 隆泰, 松尾 秀徳
    2015 年 55 巻 7 号 p. 465-471
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/24
    [早期公開] 公開日: 2015/05/22
    ジャーナル フリー
    症例は78歳の女性である.人物の顔の,向かって左側の眼と鼻の孔が小さくみえることに気付いた.顔の輪郭や景色にゆがみは感じなかった.頭部MRIで脳梁膨大部右側の新鮮梗塞をみとめた.顔の構成要素,とくに「眼」で変形視が生じ,動物の写真,人物の顔の絵でも同様の反応がえられた.顔の絵を90度回転しての呈示や単純な図形では左側に位置する部分に変形視が生じた.その他の神経症状や脳梁離断症候はみとめなかった.脳梁膨大部病変により視覚に関する情報伝達に障害が生じることで変形視が生じるが,顔および単純な図形は変形視の対象となりやすい可能性があり,それらは視覚情報の障害が知覚されやすいためではないかと考えた.
  • 岡崎 知子, 白石 翔一, 岩佐 直毅, 北村 絵未, 水谷 哲, 花田 有紀子, 柳原 武彦
    2015 年 55 巻 7 号 p. 472-477
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/24
    [早期公開] 公開日: 2015/06/04
    ジャーナル フリー
    症例は78歳女性,糖尿病治療中.右眼窩先端症候群を呈した後,右内頸動脈閉塞による脳梗塞を発症した.頭部画像で右後篩骨洞から眼窩先端部・海綿静脈洞にかけて腫瘤をみとめ,副鼻腔手術病理所見より侵襲性副鼻腔アスペルギルス症からの中枢神経アスペルギルス症,右内頸動脈閉塞症と診断した.髄液アスペルギルス抗原価を指標にボリコナゾール療法を継続し,発症から約2年再発なく長期生存がえられた.脳卒中を合併した中枢神経アスペルギルス症は致死率が高く予後不良例の報告が多い.髄液アスペルギルス抗原は治療指標として有用な可能性がある.
  • 松原 崇一朗, 渡邉 聖樹, 井上 泰輝, 安東 由喜雄
    2015 年 55 巻 7 号 p. 478-482
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/24
    [早期公開] 公開日: 2015/05/22
    ジャーナル フリー
    症例は81歳の男性である.右片麻痺・全失語をみとめ,頭部MRAで左中大脳動脈水平部(M1)近位部閉塞をみとめた.発症132分でrecombinant tissue plasminogen activator(rt-PA)静注療法を実施するも臨床症状に改善なく,緊急脳血管内血行再建術に移行した.Penumbra® systemにより部分再開通をえたが(TICI 1),発症376分より左レンズ核線条体動脈領域に血管外漏出所見をみとめ,複数の穿通枝へと拡大した.頭部CTで,左基底核領域に血腫をともなった出血性梗塞をみとめた.緊急脳血管内血行再建術中に血管外漏出所見を経時的に捉えた報告は少ない.本症例は血管炎の既往を有し,症候性頭蓋内出血に寄与した可能性を考慮し,報告する.
  • 西田 明弘, 緒方 利安, 工藤 仁隆, 福原 康介, 深江 治郎, 坪井 義夫
    2015 年 55 巻 7 号 p. 483-489
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/24
    [早期公開] 公開日: 2015/06/04
    ジャーナル フリー
    症例は54歳女性.入院1年前に齲歯の治療中断歴があり,今回頭痛と発熱,眼窩部の腫脹疼痛を主訴に当科入院.両眼瞼浮腫と眼球運動障害以外に神経学的異常をみとめなかった.血液検査では炎症反応,凝固線溶系マーカーが上昇し,MRI拡散強調画像で右上眼静脈から海綿静脈洞に高信号がみられ,造影CTで同部位に造影不良域をみとめたことから,感染性海綿静脈洞血栓症と診断した.血液培養の結果から齲歯による敗血症を原因とする海綿静脈洞血栓症(cavernous sinus thrombosis; CST)と診断した.抗菌薬と抗凝固療法で治療を開始し,症状は軽快,画像上海綿静脈洞内の血栓も縮小した.本症例はMRIと造影CTの画像所見からCSTを早期診断しえた貴重な症例である.
  • 河野 龍平, 石井 則宏, 高松 和弘, 下江 豊, 大田 慎三, 栗山 勝
    2015 年 55 巻 7 号 p. 490-496
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/24
    [早期公開] 公開日: 2015/06/04
    ジャーナル フリー
    大脳基底核に生じたまれな慢性脳内血腫の2症例を報告する.症例1は48歳の男性.高血圧性被殻出血で発症し,14日目に血腫増大をみとめ,28日目に内視鏡的血腫除去を施行した.血腫の被膜に血管増生をともなう肉芽組織をみとめた.症例2は54歳の男性.右被殻と左視床の脳出血で,11日以後に両血腫の増大をみとめたが,保存的に治療した.52歳から10年間に5回の再発性脳内出血を発症した.脳血管撮影で異常血管をみとめなかったが,潜在性の血管異常が推測された.脳出血から2週目以後に症状,画像所見の改善がない症例は,本症を考慮することが重要である.本症の発生頻度は全脳出血の0.04%,基底核出血の0.08%であった.
短報
Letters to the Editor
Reply from the Author
地方会抄録
会告
編集後記
feedback
Top