臨床神経学
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58 巻, 4 号
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原著
  • 東田 京子, 田中 智貴, 山上 宏, 泊 晋哉, 福間 一樹, 奥野 善教, 阿部 宗一郎, 長束 一行, 豊田 一則, 猪原 匡史
    2018 年 58 巻 4 号 p. 217-222
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/25
    [早期公開] 公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    脳卒中後てんかんの大規模研究は少なく,一定のコンセンサスが得られていない.今回,本邦での脳卒中後てんかんの診療実態を明らかにすることとした.2015年2~5月の脳梗塞治療症例数上位500施設を対象に患者数,検査,治療について,計14問のアンケートを依頼し,189施設から回答が得られた.てんかん入院症例の39%に脳卒中既往があった.検査については頭部MRIや脳波検査はそれぞれ99,97%の施設で施行されていたが,検査陽性率は低値であった.治療については発作の再発抑制にはカルバマゼピン,バルプロ酸,レベチラセタムの順に第1選択薬とされていた.

症例報告
  • 小西 宏史, 田口 芳治, 山本 真守, 温井 孝昌, 道具 伸浩, 中辻 裕司
    2018 年 58 巻 4 号 p. 223-228
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/25
    [早期公開] 公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    症例は63歳男性.左臀部から左下肢のしびれ,下肢筋力低下,膀胱直腸障害などの馬尾症候群を発症し,亜急性に症状が進行し入院した.腰仙髄造影MRIにて馬尾下部領域に造影効果を認め,神経伝導検査では両側脛骨神経の導出が不良で,腓骨神経はF波潜時の延長を認めた.M蛋白血症を認め,多発性骨髄腫を疑ったが,血清可溶性IL-2受容体が4,490 U/mlと著高で,FDG-PETにて椎体,馬尾の集積増加を認めた.L4椎弓根生検にてび漫性大細胞型B細胞性リンパ腫と診断し,R-CHOP(rituximab, cyclophosphamide, hydroxydaunorubicin, oncovin, prednisone(prednisolone))療法を行い症状の改善が得られた.M蛋白血症を伴う馬尾症候群の場合,悪性リンパ腫の可能性も考慮すべきである.

  • 吉村 賢二, 神吉 理枝, 中野 智
    2018 年 58 巻 4 号 p. 229-234
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/25
    [早期公開] 公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    症例は妊娠37週5日の25歳女性,発熱後に異常言動,記憶障害が出現し,辺縁系脳炎と診断した.後に奇形腫ではないことが判明したが,帝王切開の術中に両側卵巣腫瘍を認めた.不穏,口部ジスキネジア,薬剤抵抗性の全身性ミオクローヌス,中枢性無呼吸,自律神経障害を呈したが,免疫治療に良好に反応した.経過から抗N-methyl D-aspartate(NMDA)受容体脳炎が疑われたが抗NMDA受容体抗体は陰性,一方,抗SS-A抗体が陽性であり,唾液腺生検でシェーグレン症候群(Sjögren’s syndrome; SjS)と診断した.SjSに合併した辺縁系脳炎は過去に数例報告があるが,抗NMDA受容体脳炎様の経過を呈した報告はなく,辺縁系脳炎の鑑別を考える上で重要な1例と考え報告する.

  • 立山 佳祐, 志賀 裕二, 下江 豊, 水田 依久子, 水野 敏樹, 栗山 勝
    2018 年 58 巻 4 号 p. 235-240
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/25
    [早期公開] 公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    症例は55歳の男性.頭痛や脳卒中の既往なく,2年前から物忘れとうつ症状で発症.認知症,両側錐体路徴候を示し,脳MRIで深部大脳白質,皮質下,脳幹に多発性ラクナ梗塞(Lacunar infarction; LAI),多数の微小出血,大脳白質に広範な高信号病変を認めた.側頭極白質の変化は認めず,両側の基底核領域の脳血流が低下していた.NOTCH3遺伝子の第75アミノ酸がアルギニンからプロリンへのシステインが関与しない変異を認めた.塩酸ロメリジンを3年間投与したが,認知症は進行し,大脳萎縮も進行した.LAI,微小出血,大脳白質病変の進行は軽度で,脳血流はむしろ増加した.本症の認知症は大脳皮質の病態が関与する可能性がある.

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