臨床神経学
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58 巻 , 5 号
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症例報告
  • 神林 隆道, 内田 雄大, 北國 圭一, 園生 雅弘
    2018 年 58 巻 5 号 p. 287-291
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/25
    [早期公開] 公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー

    症例は73歳右利き女性.左手が自分の手のような感じがせず,勝手に動くことを主訴に救急外来受診.左半身の表在・深部感覚障害および左半側空間無視,左上肢の肢節運動失行を認め,さらに左手が自分の手の感じがせず,自分の意思とは矛盾して勝手に動くという他人の手徴候の特徴を有していた.頭部MRIでは右中心後回に限局する脳梗塞を認めた.本症例では,左手の異常行動と思われた症状が,他人の手徴候か,感覚性運動失調かの鑑別が難しかった.Posterior variantの他人の手徴候では,体性感覚路の障害の関与が考えられているが,感覚性運動失調と他人の手徴候の厳密な鑑別は,用語の混乱を避けるためにも重要である.

  • 岩佐 真理子, 三間 洋平, 伊藤 絢, 安部 裕子, 上田 直子, 大坪 亮一
    2018 年 58 巻 5 号 p. 292-296
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/25
    [早期公開] 公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー

    症例は62歳,男性.ネフローゼ症候群に対しプレドニゾロンを内服していた.右三叉神経領域の帯状疱疹に罹患し,バラシクロビルで加療された.1か月後,頭部右側の疼痛と嘔吐が出現し,MRIにて右前頭葉の急性期梗塞巣と右頸部内頸動脈解離が判明した.外傷や他の誘因は認めなかったため,先行した水痘帯状疱疹ウイルス感染の関与を考え,未分画ヘパリンに加えアシクロビルを投与したが,左内頸動脈にも壁在血腫の出現,及びこれらの病変の進展がみられた.第5病日,プレドニゾロンを1 mg/kg/日に増量したところ,血管病変の進行を認めなくなった.頸部動脈解離と帯状疱疹との関連性を示唆する貴重な症例と考えられ報告する.

  • 林 智宏, 温井 孝昌, 高嶋 修太郎, 中辻 裕司, 島 さゆり, 武藤 多津郎
    2018 年 58 巻 5 号 p. 297-301
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/25
    [早期公開] 公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー

    症例は68歳の男性.上気道感染に引き続き,頭痛で発症し,発症3日後に眼球運動障害,球麻痺,四肢麻痺となり人工呼吸器管理となった.頭部MRIのFLAIR画像で両側の橋・延髄境界部に高信号病変を認め,神経伝導検査で運動神経優位の軸索障害を認めた.後日,血中抗ラクトシルセラミド(LacCer)抗体が陽性と判明し,急性散在性脳脊髄炎と多発神経炎の合併と診断した.ステロイドパルス療法,血漿交換,免疫グロブリン大量静注療法を行い,意識障害,眼球運動障害は改善しMRIで脳幹部病変は縮小したが,四肢麻痺は残存した.本例は,抗LacCer抗体が陽性で,急性散在性脳脊髄炎と多発神経炎を併発した稀な症例である.

  • 竹丸 誠, 下江 豊, 佐藤 恒太, 橋口 昭大, 髙嶋 博, 栗山 勝
    2018 年 58 巻 5 号 p. 302-307
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/25
    [早期公開] 公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー

    症例は32歳の女性.一過性の中枢性顔面神経麻痺,球症状が出現し,脳画像で大脳白質,脳梁膨大部,内包後脚に拡散強調像で高信号を認めた.兄2人が四肢遠位優位の末梢神経障害を示し,コネキシン32をコードするGJB1遺伝子点変異のX染色体連鎖シャルコー・マリー・トウース病(X-linked Charcot-Marie-Tooth disease; CMTX1)であり,本症例はヘテロ接合体である.神経伝導検査で脱髄型の軽度障害を示した.中枢神経(central nervous system; CNS)症状と画像変化は3症例とも極めて類似していた.CNS症状を示すCMTX1症例は数多く報告されているが,女性例は非常に少なく,本症例類似の女性例の報告例はない.一過性のCNS症状を示す例は,誘発因子が認められており,予防が重要である.

  • 階堂 三砂子, 湯浅 義人, 池田 恢
    2018 年 58 巻 5 号 p. 308-313
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/25
    [早期公開] 公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー

    症例は50歳,女性である.20歳時にホジキンリンパ腫(Hodgkin lymphoma; HL)に罹患し,化学療法および放射線治療(radiotherapy; RT)で完治した.36歳時より後頸部の筋力低下が出現し,首下がり症(dropped head syndrome; DHS)のため50歳時に当科を受診した.RT照射野に一致する白斑症および頸部筋群・頸~腰部傍脊柱筋の萎縮・筋力低下があり,針筋電図で傍脊柱筋に筋原性変化を認め放射線筋症と診断した.遅発性放射線障害によるDHSはRTの有名な合併症として知られ,本邦でも高齢者の咽頭癌・肺癌などで症例報告があるが,若年時にRTを受けたHLの報告はない.DHS はHLサバイバーの長期経過後に生じる種々の問題の一つとして,十分な認識と配慮が必要である.

  • 水谷 浩徳, 稲富 雄一郎, 神宮 隆臣, 中島 誠, 米原 敏郎, 安東 由喜雄
    2018 年 58 巻 5 号 p. 314-319
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/25
    [早期公開] 公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー

    症例は72歳,男性である.加齢黄斑変性症に対し,血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor; VEGF)阻害薬であるアフリベルセプトが硝子体内に初回投与された約8時間後に,右上肢単麻痺が出現した.頭部MRIでは左放線冠,右上前頭回に塞栓症と考えられる虚血病巣を認めた.血液検査では軽度の線溶系亢進の他は異常なく,経食道心臓超音波検査では卵円孔開存を認めたが,深部静脈血栓は確認されず,その他にも塞栓源となりうる疾患は特定できなかった.本症例では,硝子体内に投与されたVEGF阻害薬が血中に移行し,短時間で血液凝固能が亢進した結果,脳塞栓症を来した可能性が推測された.

  • 中川 慶一, 角谷 真人, 松本 浩, 森内 浩幸, 池脇 克則, 海田 賢一
    2018 年 58 巻 5 号 p. 320-323
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/25
    [早期公開] 公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー

    症例は小学校の入学時検診で右感音性難聴を指摘され,原因不明の感音性難聴の診断で経過観察されていた15歳女子である.15歳時に聴覚器精査のため施行した頭部MRIで側脳室周囲深部白質に高信号病変を認めた.血液,脳脊髄液,全脊髄MRIに異常はなく,ウェクスラー成人知能検査では言語性IQ,動作性IQともに正常であったが,難聴,大脳深部白質病変の存在から先天性サイトメガロウイルス(cytomegalovirus; CMV)感染を疑い,保存臍帯を用いたPCR法でCMV-DNAが検出され診断が確定した.知能正常の先天性CMV感染は見逃されている可能性があり,難聴や深部白質病変が診断の契機となりうる.

  • 赤川 優美, 上野 晃弘, 池田 淳司, 石井 亘, 宍戸-原 由紀子, 関島 良樹
    2018 年 58 巻 5 号 p. 324-331
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/25
    [早期公開] 公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー

    症例1は59歳女性.特発性好酸球増多症に対しプレドニゾロンを内服中.脳MRI病変に軽度の造影効果が認められ,炎症の存在が示唆された.症例2は30歳女性.全身性エリテマトーデスに対し免疫治療中.脳生検が実施され,CD4およびCD8陽性細胞の均衡がとれたリンパ球浸潤を認めた.両症例とも神経症状発症早期に進行性多巣性白質脳症(progressive multifocal leukoencephalopathy; PML)と診断し,メフロキン,ミルタザピン,リスペリドンによる治療を行った.症例1は発症から24ヶ月,症例2は45ヶ月経過しているが,症状改善し生存している.PMLの予後は不良とされているが,JCウイルスに対する制御された免疫応答を有する症例では薬物治療が有効である可能性がある.

短報
  • 安藤 孝志, 荒木 周, 寺尾 心一, 勝野 雅央
    2018 年 58 巻 5 号 p. 332-334
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/25
    [早期公開] 公開日: 2018/04/28
    ジャーナル フリー

    症例はパーキンソン病の77歳女性.レボドパ内服治療中に左胸痛が出現し,左胸肋関節に圧痛を認めた.胸部CT,頸椎MRIで骨硬化,骨過形成がみられ,骨シンチグラフィでは胸肋関節と胸腰椎で集積の亢進を認めた.疼痛はSAPHO症候群によるものと診断し,非ステロイド性抗炎症薬内服で軽快した.胸痛がパーキンソン病の非運動症状として生じる頻度は低いとされており,緊急疾患や併存症の鑑別診断に留意する必要がある.パーキンソン病にSAPHO症候群を合併した既報告はなく,現時点では直接の関連性は明らかでないが,SAPHO症候群の全身性炎症はパーキンソン病の臨床経過に影響を及ぼしうると考えられた.

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