臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
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60 巻, 1 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
総説
  • 葛原 茂樹
    2020 年 60 巻 1 号 p. 1-19
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/30
    [早期公開] 公開日: 2019/12/17
    ジャーナル フリー

    日本神經學會は1902年に神経学・精神医学の合同学会として創設されたが,神経学部門の衰退により1935年に日本精神神經學會に改称された.第二次大戦後に,神経学は内科学と精神医学の狭間から復活して興隆し,困難を克服して1960年に日本臨床神経学会を設立し(1963年に日本神経学会に改称),1975年に「神経内科」が医療法の診療科名として認められた.その後の発展はめざましく,2018年に会員数は約9,000名,専門医数は5,500名以上に達した.当面する神経内科専門医基本領域化も神経学のアイデンティティ確立の一環と見做すことができる.歴史の教訓を今日の課題解決に活かすという観点から,本学会の116年を顧みる.

  • 永田 栄一郎
    2020 年 60 巻 1 号 p. 20-26
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/30
    [早期公開] 公開日: 2019/12/17
    ジャーナル フリー

    片頭痛病態に関する研究は,脳血管が原因で起こるとする血管説,皮質性拡延性抑制現象(cortical spreading depression; CSD)を中心とした神経説が提唱され,その後三叉神経節を中心とした血管や神経原性炎症を起源とする三叉神経血管説が提唱され,現在まで広く受け入れられている.近年,画像検査の進歩により片頭痛発生時期を前兆期より前の予兆期にすでに視床下部での活動性が上昇していることがfunctional MRIやPETなどで明らかとなった.また,光過敏症に関しては内因性網膜神経節細胞(intrinsically photosensitive retinal ganglion cells; ipRGCs)が発症に関与していることも明らかとなった.近年の分子生物学および画像診断の目覚ましい進歩により,過去に提唱されていた病態仮説が次第に明らかとなりつつある.

原著
症例報告
短報
  • 佐藤 健朗, 大本 周作, 恩田 亜沙子, 坂井 健一郎, 三村 秀毅, 井口 保之
    2020 年 60 巻 1 号 p. 57-59
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/30
    [早期公開] 公開日: 2019/12/17
    ジャーナル フリー

    症例は69歳男性.類天疱瘡の発症と同時期に右手掌,左上肢の異常感覚,および両下肢筋力低下を認め入院した.腰部MRIでは馬尾神経根の腫大を認め,電気生理学的検査から慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチーと診断し,免疫グロブリン大量療法を2回施行した.治療により症状は緩徐に改善した.しかし各治療後に,血小板減少を認め,いずれも開始の約2日目から始まり,約10日から14日で最低値に達し,終了後10日から15日より自然に改善し始めた.透析時の止血困難を認めた.その機序として,IgG-血小板複合体の関与が推定され,活性化したFcγ受容体が病態に関与する複数の炎症性疾患の併存はリスクとなる可能性があった.

  • 矢田 知大, 三輪 隆志, 荒木 克哉, 木田 亨, 豊岡 圭子, 西野 一三, 巽 千賀夫
    2020 年 60 巻 1 号 p. 60-63
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/01/30
    [早期公開] 公開日: 2019/12/17
    ジャーナル フリー

    症例は69歳男性.1年前から緩徐に進行する易疲労性があり,初診時に下肢優位の四肢近位筋の筋力低下と嗄声,軽度の嚥下障害を認めた.三角筋の筋生検でring fiber様の構造を有する筋線維と血管壁におけるアミロイド沈着があり,アミロイドミオパチーと診断した.血中,尿中でκ型Bence-Jones蛋白を検出し,骨髄検査で異形形質細胞の増加を認め,多発性骨髄腫によるALアミロイドーシスと診断した.上部下部消化管でも生検でアミロイド沈着を認めた.化学療法を行ったが,筋力低下が進行し誤嚥性肺炎で死亡した.筋生検を契機に全身性ALアミロイドーシスの診断と治療を経験した1例だった.

地方会抄録
会告
編集後記
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