臨床神経学
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最新号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
依頼総説
  • 中原 仁
    2022 年 62 巻 7 号 p. 517-523
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/29
    [早期公開] 公開日: 2022/06/24
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    多発性硬化症(multiple sclerosis,以下MSと略記)は原因不明の中枢神経系脱髄疾患である.MSの原因はウイルス感染ではないかとする仮説に基づきインターフェロンβが試され,同製剤は史上初の病態修飾薬(disease-modifying drugs,以下DMDと略記)として約30年前に登場した.その後,実験的自己免疫性脳脊髄炎の研究を通じて新たに複数のDMDが登場したが,他方で当該モデルの限界も次第に明らかになり,近年ではMS患者自体の病態に迫り,新たな治療戦略を導こうとする動きが活発になっている.本総説ではMSの治療史を振り返りつつ,今後の展望について纏める.

原著
症例報告
  • 若生 翔, 遠井 素乃, 水野 貴文, 西村 絢子, 石塚 健太郎, 北川 一夫
    2022 年 62 巻 7 号 p. 541-545
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/29
    [早期公開] 公開日: 2022/06/24
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    症例は突発性の複視,構音障害,歩行困難を呈した85歳男性.入院時にwall-eyed bilateral internuclear ophthalmoplegia(WEBINO)症候群,中枢性右顔面神経麻痺および錐体路徴候を認めた.慢性心房細動があり,脳MRI上,中脳下部,小脳半球,前頭葉皮質にも梗塞巣が確認された.正面視時右眼の外斜視は改善したが,その他の眼球運動障害は持続した.眼球運動障害の機序に両側内側縦束および傍正中橋毛様体の障害が疑われた.WEBINO症候群を呈する心原性脳塞栓症の報告は少ないが,その特徴として眼球運動以外の症状が多彩であること,病変が多発性に見られることが挙げられる.WEBINO症候群の原因として心原性脳塞栓も考慮する必要がある.

  • 入江 研一, 立石 貴久, 平野 晋資, 上野 俊太郎, 菊池 真介, 谷脇 考恭
    2022 年 62 巻 7 号 p. 546-551
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/29
    [早期公開] 公開日: 2022/06/24
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    症例は36歳男性.4年前に潰瘍性大腸炎と診断.2020年10月に血便を来し,潰瘍性大腸炎再燃との診断で,サラゾスルファピリジン内服開始15日後に右下腿痛と腫脹が出現した.MRIで右下腿の筋膜や血管周囲にT2脂肪抑制画像で高信号,造影T1脂肪抑制画像で増強効果を認めた.右下腿の腫脹は自然軽快するも,左下腿にも腫脹,疼痛が出現した.MRIでは右と同所見で,筋生検では筋組織に異常所見は認めず,臨床経過から限局性筋膜炎と診断した.Crohn病に合併して限局性筋膜炎を来すgastrocnemius myalgia syndromeの報告が多いが,潰瘍性大腸炎では稀である.状況に応じて安静及びステロイドなどの治療が重要である.

  • 服部 香寿美, 松田 希, 吉澤 茉莉, 宇川 義一, 金井 数明
    2022 年 62 巻 7 号 p. 552-557
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/29
    [早期公開] 公開日: 2022/06/24
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    症例1は64歳女性,急性発症の瞳孔異常を欠く右動眼神経単麻痺を認めた.2回目の髄液検査で異型細胞が出現しており,体幹部CTで認められた卵巣腫瘍の病理所見から悪性リンパ腫と診断,neurolymphomatosis(NL)による動眼神経麻痺と判断した.症例2は63歳女性,下肢筋力低下と歩行困難で発症し,検査により悪性リンパ腫の診断で神経症状はNLと判断した.化学療法を行っていたが,経過中に瞳孔異常を欠く右動眼神経麻痺が出現し,右外転神経麻痺,右舌下神経麻痺も併発した.2例ともNLによる動眼神経麻痺を生じたが,瞳孔異常を伴わない点が特徴的であり,その機序について検討した.

  • 井関 真理, 中山 博輝, 渡邊 睦房, 内堀 歩, 千葉 厚郎, 水谷 真之
    2022 年 62 巻 7 号 p. 558-562
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/29
    [早期公開] 公開日: 2022/06/24
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    症例は43歳女性.コミナティ‍®(BNT162b2,ファイザー社)接種後に異常感覚と筋力低下,嚥下障害,高度の深部感覚障害を自覚し,当科を受診した.腱反射は消失,髄液検査は正常,抗ガングリオシド抗体は陰性で,神経伝導速度検査ではF波の出現率の低下を認めた.ワクチン接種による自己免疫性の末梢神経障害と考え血漿交換を行ったところ,症状は改善したが深部感覚障害は残存した.新型コロナウイルス感染(coronavirus disease 2019,以下COVID-19と略記)後およびCOVID-19ワクチン接種後に末梢神経障害を生じた既報例を本例と比較すると,深部感覚障害がめだつ点が特徴的だった.

短報
  • 藤田 尚宏, 石倉 照之, 永島 希, 西川 徹, 隅 寿恵, 中 隆
    2022 年 62 巻 7 号 p. 563-566
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/29
    [早期公開] 公開日: 2022/06/24
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    電子付録

    症例は51歳女性.2020年2月から下肢疼痛が出現し,しゃがむと腓腹筋が波打つように動くことに気がついた.6月から両上肢の疼痛,8月から両上肢挙上困難,左眼瞼下垂,複視が出現し入院となった.抗AChR抗体陽性であり重症筋無力症(myasthenia gravis,以下MGと略記)及びrippling muscle disease(RMD)と診断した.ステロイド内服により,筋無力症症状と筋痛が改善した.また造影CTで胸腺腫を認め,拡大胸腺摘出術を行った.その後再度筋痛が増悪しステロイドパルス療法で軽快した.RMDは遺伝子異常に伴う先天性とMGに併発する後天性が報告されている.後天性RMDは本邦では稀だが,免疫治療が奏功し留意すべきである.

  • 山本 萌乃, 滑川 将気, 石川 正典, 渡邊 浩之, 小宅 睦郎, 藤田 信也
    2022 年 62 巻 7 号 p. 567-570
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/29
    [早期公開] 公開日: 2022/06/24
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    症例は,片頭痛持ちの23歳女性.3日間の片頭痛発作後に左上肢麻痺が出現し,頭部MRI拡散強調画像(DWI)で右大脳白質に高信号病変を認めた.38°C台の発熱があったが,髄液所見は正常だった.第4病日に左片麻痺が増悪し,病変は右中心後回と両側島皮質に広がった.第6病日の髄液細胞数は54/μlと軽度上昇し,髄液HSV-DNA陽性で,単純ヘルペス脳炎(herpes simplex encephalitis,以下HSEと略記)と診断した.早期からのアシクロビルとステロイドパルス療法で,症状は改善した.片頭痛発作が先行したHSEで,症状や画像所見,髄液所見からは脳卒中を思わせる極めて非典型的な発症経過をたどったが,感染源不明の高熱の合併が早期診断に重要と考えられた.

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