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特定性を人工的に操作した場合の検討
林 美都子
セッションID: P1-11
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
フリー
想起手がかりの特定性が自伝的記憶の検索に与える影響を検討するため、大学の講義を利用し、10週間に渡り、毎週提示する特定性の低い刺激と2回だけ提示する特定性の高い刺激とを作成した。これらを用いて、自伝的記憶を思い出させ、意図的な想起か否かを自己評定させる実験を行った。その結果、特定性の高い刺激では低い刺激よりも意図的想起の比率が高く、特定性の低い刺激では何も想起しなかったという反応の比率が高かった。特定性の高い刺激は、無意図的想起をもたらしやすいと同時に意図的想起をも駆使して、より詳細に自伝的記憶を検索するのではないかと推測された。また、特定性の低い刺激は、よくある刺激であるとも言え、刺激が与えられるたびに想起していると、他の認知活動の妨げとなる恐れがある。そのため、特定性が高まるつれ、検索自体を控えるようになるのではないかと推測された。
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感覚モダリティに関するオノマトペからの検討
坪井 寿子
セッションID: P1-12
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
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本研究では、お菓子に関する自伝的記憶について、特に感覚モダリティに関するオノマトペから検討した。大学生生78名(男性28名、女性50名及び平均年齢21歳)を対象に集団式質問紙法で施行した。まず、「お菓子」に関する印象に残るエピソードを挙げてもらい、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の各感覚モダリティに関する記述及びこれらのオノマトペからの表現も求めた。その結果、各感覚モダリティでの高頻度のオノマトペに関しては、同一のオノマトペでもさまざまなお菓子に関する記述が見られた。また、各エピソードでのお菓子に関して最も印象に残った感覚モダリティに関しては、味覚への回答が半数近く見られた。それ以外の視覚、聴覚、触覚に対する回答も比較的多くみられた。その一方でプルースト効果でも示されている味覚と密接に関係している嗅覚への回答は少ない結果となった。
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北川 悠一, 田中 孝治, 堀 雅洋
セッションID: P1-13
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
フリー
防災分野では,保有知識と避難行動の不一致を軽減させる学習教材が求められている。防災教材の一つである洪水ハザードマップには,掲載情報が多く,読み手が情報を活用できない情報過多の問題がある。そのため,少ない情報で知識定着と行動意図の生成に有効な教材にする必要がある。多くの学習教材では,理解促進のために説明文に加えて挿絵が用いられている。洪水ハザードマップの説明文と挿絵では,正事例,誤事例,両事例の組み合わせが利用されている。本研究では,説明文と挿絵が両事例の組み合わせから,説明文または挿絵の一方の事例を一つ省略することによる情報の削減と行動意図の生成に与える影響を検討した。その結果,説明文と挿絵の両方に誤事例を含むものが知識と行動意図の不一致が見られなかった。これは,説明文と挿絵の異なる方法で誤事例を提示したことで,危険性を強調して説得を試みる恐怖喚起コミュニケーションの影響が働いたと考える。
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田中 孝治, 北川 悠一, 堀 雅洋
セッションID: P1-14
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
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対象に関する知識を有していたとしても,その知識を行動として実行しようという行動意図が形成されなければ,行動を伴う知識を習得したとは言い難い。そのため,知識と行動意図の不一致を軽減させる仕組みが学習教材に求められている。本研究では,説明文と挿絵共に両事例を用いた学習素材(北川他,2013,JSCP11)の説明文と挿絵から正事例もしくは誤事例を一つずつ省略した学習素材を用いて,説明文と挿絵の組み合わせが行動意図の生成に与える影響について検討を加えた。その結果,説明文と挿絵が異なる事例を表す場合,両者が補完的な役割を果たす可能性も考えられたが,知識と行動意図の不一致が示された。しかし,説明文と挿絵の両方に誤事例が含まれている条件では,知識課題と意図課題の正答率は同等の水準であった。この理由として,異なる表現で誤事例を提示することが恐怖コミュニケーションとしての役割を果たした可能性が考えられる。
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事例による検討
上原 泉
セッションID: P1-15
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
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幼児期の想起状況と幼児期健忘の関係を探るため,7人の子どもを1,2歳頃から小学校入学頃までの5,6年間追跡した事例研究により,日常的な印象に残る出来事の想起の変遷過程について,記憶に関わる3つの言語的指標との関連から検討した。その結果,3つの指標に区切られた時期ごとの想起数の分析から,「記憶語の自発的使用の開始時期」以降の想起量がそれ以前よりも有意に多いことが示された。また,経過時間を考慮した記憶保持期間の分析から,「言語的再認開始時期」もしくは「記憶語の自発的使用の開始時期」以前に経験した出来事より,それらの時期以降に経験した出来事のほうが,後々まで想起されやすいことが示された。これらの結果に基づくと,「言語的再認開始時期」や「記憶語の自発的使用の開始時期」頃から,顕著な発達的健忘が生じている可能性が推測されるが,発達的健忘が生じる過程についてはさらなる検討が必要である。
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再生による検討
松田 崇志, 清水 寛之
セッションID: P1-16
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
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本研究は,DRMパラダイムを使用し,言語材料に位置情報を付加し,位置情報が虚記憶に与える影響について検討した。大学生414名を対象に,4リストからなるDRMリストを用いた記憶実験を行った。その際,言語材料に対して位置情報を付加して位置情報も記銘する群(位置情報記銘群),位置情報は無視する群(位置情報無視群),及び位置情報を付加しない群(位置情報なし群)の3群が設定された。学習の直後に自由再生テストを行い,さらにその1週間後に再認テストを行った。その結果,再生成績が高い順から位置情報無視群,位置情報なし群,位置情報記銘群となり,位置情報を記銘するという行為が記憶負荷の増大につながることが示された。虚再生数は位置情報記銘群と位置情報無視群の方が位置情報なし群よりも有意に低かった。つまり,位置情報の付加は記銘活動に対して負荷を増大させるが,虚記憶に対してはその生起を抑えることが明らかになった。
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再認による検討
清水 寛之, 松田 崇志
セッションID: P1-17
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
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本研究は,DRMパラダイムを使用し,言語材料に位置情報を付加し,位置情報が虚記憶に与える影響について検討した。大学生233名を対象に,4リストからなるDRMリストを用いた記憶実験を行った。その際,言語材料に対して位置情報を付加して位置情報も記銘する群(位置情報記銘群),位置情報は無視する群(位置情報無視群),及び位置情報を付加しない群(位置情報なし群)の3群が設定された。学習の直後に自由再生テストを行い,さらにその1週間後に再認テストを行った。その結果,位置情報記銘群の修正再認率は位置情報無視群よりも有意に低く,位置情報を記銘するという行為が記憶負荷の増大につながるということが示された。虚再認数では,位置情報無視群の虚再認数が位置情報なし群よりも有意に低く,位置情報のあるときに虚記憶が起こりにくいことが示された。
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4歳児を対象とした縦断的検討
堀田 千絵, 花咲 宣子, 多鹿 秀継, 堀田 伊久子
セッションID: P1-18
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
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本研究は、幼児が保育者とともに自己の身体部位を命名し触りながら記銘し、その後自己を描く際に、その身体部位を子ども自身に想起させることによる人物画描出の効果を縦断的に検討した。特に、反復型の想起は記憶の短期・長期保持に効果をもつことが知られているため、身体部位を記銘させるだけでなく部位の想起に焦点を置く。
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加藤 みずき
セッションID: P1-19
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
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情動を喚起する刺激や出来事は,そうでないものに比べよく記憶されることがわかっている。本研究は,情動喚起刺激を呈示し,その感情価と覚醒度が,再生成績の詳細情報に及ぼす影響を検討するものである。これまでの研究は,感情価や覚醒度により記憶成績に異なる影響がみられ,刺激に対する記憶の情報量が,言語ラベル程度なのか詳細に渡るのかが不明瞭であった。そこで,本研究では再生テストを二段階に分けて実施し,言語ラベルと詳細情報の両方を算出した。この二つの再生成績について,それぞれ感情価および覚醒度の影響を検討を行った。特に詳細情報については,刺激の主要な事物を示す中心情報と,それ以外の背景などを示す周辺情報とに分類して検討した。その結果,言語ラベルのみならず,詳細情報についても感情価・覚醒度によって記憶成績が異なることが示唆された。
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加藤 健二, 大竹 恵子
セッションID: P1-20
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
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食の記憶(これまでで一番おいしいと感じた経験、一番まずかったと感じた経験の記憶)、また、その想起にどのような特徴があるのかを、一般成人51名を対象に自作質問紙を用いて検討した。その結果、1)おいしかった食の想起時に幸福感を感じる傾向があること、2)おいしかった食の記憶が他者との共食と、まずかった食が孤食と結びつくことが多いことや、前者のほうが後者に比べ食の多様な側面の想起を伴うことが多いことなどから、おいしい食の記憶が食場面のさまざまな側面と結びついた複合的、総合的なものであるのに対し、まずかった食の記憶は特定の側面と特異的に結びついていると考えられること、などがわかった。これらの結果は、感情と記憶の関係、自伝的記憶の想起といった観点から検討された。
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兵藤 宗吉, 浅野 昭祐
セッションID: P1-21
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
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大学生を対象に「教師」と「先輩・後輩」を手がかり語として自伝的記憶の想起を行った。また、出来事の記述前後の気分変化を調べることにより、自伝的記憶の感情制御に関しても検討した。結果から、「教師」に関しても先輩・後輩」に関しても快エピソードの想起の割合が、不快エピソードと中立エピソードより有意に多いことが明らかになった。また、気分変化に関しては、「「抑うつ・不安」と「倦怠」に得点が記述前後で有意に低下した。
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文章完成法を用いて
松本 昇, 望月 聡
セッションID: P1-22
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
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大うつ病患者などの抑うつ臨床群には自伝的記憶の概括化(OGM)がみられることが先行研究で明らかになっているが,一般大学生などの非臨床群の抑うつ傾向者にOGMがみられるかどうかは知見が一貫していない。本研究では,一般大学生を対象として,具体的な記憶の想起を任意とする教示法を用いて,新たに開発した文章完成法(PN-SCEPT)におけるOGMと抑うつ,反すうの関連を検討した。その結果,具体的な記憶の想起率と抑うつに有意な相関がみられた。具体的な記憶の想起率と反すうにも有意な相関がみられたが,抑うつの影響を統制すると両者の偏相関はみられなかった。以上のことから,非臨床群においても抑うつとOGMに関連があるとする知見が支持され,任意の教示法は文章完成法においてもOGMと抑うつの関連の検出に敏感である可能性が示された。また,非臨床群ではOGMと反すうに関連がないとする主張が支持された。
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柴崎 秀子, 時本 真吾, 小野 雄一, 井上 次夫
セッションID: P1-23
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
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本研究の目的は母語と第二言語の言語性作動記憶を測定するためのリーディングスパンテストを開発することである。作動記憶容量が読解の強力な説明変数であることが明らかになっているにも関わらず,第二言語読解研究においてリーディングスパンテストが実施されることは極めて少ない。リーディングスパンテストは個別に実施されるものであるため,英語習熟途上の中学生,高校生の所属する教育現場において大幅な実験時間を割くことが不可能に近いからである。本研究では,刺激文とターゲット語を言語面から統制した高校生用リーディングスパンテストの日本語版と英語版を作成し,CALLを使った集団式テスト方法を考案した。50分間3コマの授業で高校2年生120名に日本語版と英語版のテストに参加してもらったところ,テストの信頼性は英語版,日本語版ともα係数0.8以上となり,総再生数,正再生率,記憶個体数,総正答セット数の得点分布に正規分布が確認された。
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絵本『しろいうさぎとくろいうさぎ』を用いた眼球運動測定による検討
小島 隆次, 深田 智, 田中 哲平, 杉本 匡史
セッションID: P1-24
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
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これまで、絵本読解時における読者の視座や視線に対して、絵や本文がもたらす影響について、実証的な検討はあまり行われていない。そこで、本研究は、絵本『しろいうさぎとくろいうさぎ』を用いて、絵によってもたらされる読者の読解時の視座や視線と、絵と本文とによってもたらされる読者の読解時の視座や視線との異同について、絵本の各場面に対して読者が感じる距離感や視点などに関する判定課題と眼球運動測定による視線計測から検討することを目的とした。実験の結果、視座に関する距離感判定課題からは、絵本の本文が読者の視座に影響を及ぼすことが示された。また、眼球運動測定の結果、本文の有無によって絵の部分に対する停留位置や停留回数に差異が生じていた。以上の事実から、絵本の本文は、読解時の読者の視座や視線に影響をもたらすことが示唆された。
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平 知宏
セッションID: P1-25
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
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本研究では,「AはBのようだ」形式の比喩文の理解において,主題Aのみに含まれる意味が,喩辞B,直喩全体において,どのように処理されるかについて基礎的なデータを収集し,主題のみに含まれる意味が,比喩文の理解全体においてどのように処理さるかの示唆を得ることを目的とした調査を行った。調査では,比喩の主題,喩辞を主語とした比喩限定意味を記述した日本語の文,および「AはBのように……」に続く形で比喩限定意味を記述した日本語の文を対象に日本語の自然さ評定を行った。調査の結果,主題のみに含まれる意味は,比喩文の理解において利用されていないことが確認された。また比喩文の理解においては,主に喩辞との相互関係が重要となることが示された。
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大塚 翔, 関口 貴裕
セッションID: P1-26
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
フリー
本研究の目的は,マインドワンダリング生起中に外的な刺激を呈示することで,その生起に気づくかを明らかにすることであった。また,外的刺激の呈示が意識に上る(その呈示に気づく)ことがマインドワンダリングの気づきに必要かについて明らかにすることも試みた。実験では,参加者にGo/no-Go課題中,マインドワンダリングの生起に気づいたらそれを報告させた。また,課題中その呈示を意識できる閾上刺激と,その呈示を意識できない閾下刺激を呈示した。そして,それぞれの刺激呈示直後にマインドワンダリングの気づきの報告が多く見られるかを検討した。その結果,閾上刺激だけでなく閾下刺激においても,その呈示直後にマインドワンダリングの気づきの報告が多くなった。これは,外的刺激の呈示がマインドワンダリングの気づきを促すこと,また,その呈示が意識に上ることはマインドワンダリングの気づきに必ずしも必要でないことを意味している。
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新国 佳祐, 邑本 俊亮
セッションID: P1-27
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
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両義文の聴覚処理においては,ポーズやピッチ変化等の韻律情報がその両義性の解消に寄与するが,読みにおいてもそれらの韻律情報がカンマによって内的に喚起され,文処理に影響することが指摘されている。本研究では,主に可能な2通りの解釈の選好性に関して意味的なバイアスを有する両義文に,そのような意味的バイアスと一致するような位置にカンマを挿入にして視覚呈示し,カンマによる文処理への影響をself-paced readingによる読み時間の測定によって検討した。その結果,主に両義性の解消が行われる領域でのカンマの挿入による読み時間の減少が確認されたが,読み時間の減少の程度はカンマの挿入位置によって異なっていた。同様に意味的バイアスと一致しているにもかかわらず,なぜ位置によってカンマの影響に違いが生じるのかについてが今後の検討課題である。
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佐藤 浩一, 細川 菜摘
セッションID: P1-28
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
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2人の参加者が同じ空間でWasonの2-4-6課題に取り組む際に、互いの仮説を共有したり統合することが問題解決に及ぼす影響を検討した。参加者は2人1組で2-4-6課題に取り組んだ。空間共有群では二人は交互に仮説検証のための事例(例:1-3-5)を提出し、事例とフィードバックを共有した。仮説共有群では二人は事例とフィードバックを共有し、互いの仮説を見せ合った。仮説統合群では二人は互いの仮説を見せ合った上で、ペアとしての仮説を一つ決め、それを検証するための事例を相談して提出した。参加者は確信が持てた時点で答を提出した。仮説統合群は他の2群に比べると、問題解決(正答の提出)までの時間が長かった。しかし解決までの試行数は最も少なかった。また、いったん正しい仮説に気づいたら、その後の早い時点で正答を提出することが見出された。
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日中対照研究
盛﨑 俊浩
セッションID: P1-29
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
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本研究では田村・赤須・木藤(2008)と盛﨑・高・木藤(2010)における問題点を指摘し,日本人に関しては新たにデータを取り,中国人のデータと合わせて分析をし直すことで日本語オノマトペの言語音と喚起される図形的なイメージの関連を検討した。日本人と中国人それぞれにオノマトペと図形の合致度を評価してもらい,類似度を算出した上でクラスター分析によってオノマトペを分類し,各クラスターにおいて合致度の高い図形を抽出した。その結果,日本人では3つのクラスターが,中国人では2つのクラスターが得られ,日本人のクラスターのうち2つについては意味的なまとまりが見られた。直線性・規則性・複雑性・振幅の大きさの4つの属性軸のうち,直線性は言語音から喚起されるイメージとして母語とする言語によらず普遍的である可能性,および日本人の回答にはオノマトペの表わす対象からの印象が反映されている可能性が示唆された。
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確率的判断課題における強力な現状維持バイアス
生駒 忍
セッションID: P1-30
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
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反直観的な確率的判断課題として、モンティ・ホール・ジレンマ(MHD)が知られている。そこでは、「ヒント」を受けて選択を変更した場合には2/3、しない場合には1/3の勝率となるが、多くの人は変更しない。これに関して、内容は似ているが変えても変えなくても勝率が1/2である偽MHD課題が、三好他(2004)によって考案されている。本研究では、それとはまた異なる偽MHD課題を作成し、そこに変更しない方向への偏向がみられるかどうかを検討した。大学生153名を対象として、この偽MHD課題を提示し、選択の変更の有無、そこで自身があたる確率の評定などを求めた。その結果、変更しないと回答したのは129名、変更すると回答したのは24名となり、変えない方向への強い偏向が認められた。これは現状維持バイアスの一種であると考えられ、今後の検討課題について考察された。
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相馬 正史, 千葉 元気, 菊地 学
セッションID: P1-31
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
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本研究では,少ない募金額を重要視するか,被災者数を重要視するか,という葛藤する募金場面で,各おとりの選択肢(以下,Dと略す)により,社会福祉的に望ましい選択が増加すると予測し,検討した。各おとり選択肢は,(a)魅力効果でのD(Tに類似しているが,それよりも劣る選択肢),(b)妥協効果でのD(Tが,3つの選択肢の中間に位置させるようなおとり選択肢),(c)幻効果でのD(Tと類似していて,それよりも優れているが,利用できない選択肢),である。質問紙調査の結果,魅力効果や幻効果でのDは,社会福祉的に望ましい選択を増加させることがわかった。この結果は,選択が困難な募金場面において,おとり選択肢が,社会福祉的に望ましい選択肢を促すのに有効であることを示している。しかし,妥協効果でのDはそのような結果は得られなかった。
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語彙探索処理段階における検討
李 承玉, 柳生 崇志, 高野 陽太郎
セッションID: P1-32
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
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本実験は,すでにその存在が証明されている外国語副作用が,複雑な言語処理プロセスのどの処理段階で生じるかを明らかにするため行われたものである。今回はそのプロセスのうち,語彙探索処理過程に焦点を当てている。実験の結果、語彙検索処理段階で外国語副作用が生じることが確認できた。しかし,本実験で用いられた言語課題は聴覚呈示された音声に対して語彙性判断を行うという課題であったため,語彙検索処理だけでなく音声を分析する音韻的処理も必要な課題であった。しかし,どちらの処理段階で外国語副作用が生じたのかは本実験の結果だけでは判断できない。だが,統語的処理を含まれない処理段階でも外国語副作用が生じることは明らかである。
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井上 雅勝
セッションID: P1-33
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
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(a) 藤田が今井を殴った吉田を誉めた。
という固有名詞を含む構造的曖昧文の理解において、関係節主要部(e.g. ,吉田を)での再解釈のための処理負荷(ガーデンパス (GP) 効果)が大きくなる現象 (井上, 2008) については、語句間の何らかの共起関係が高いことによって単文が選ばれやすくなったことに基づくという説明も可能である。この可能性を排除するため、本実験では、
(b) A男が今井を殴った吉田を誉めた。
のように、共起関係をもち得ない仮名の固有名詞を含む (b) 文と、(a) 文のGP効果量を比較した。その結果、GP効果の指標となる「吉田を」の読み時間に、(a)–(b) 間で差はみられず、同程度のGP効果があらわれていた。以上の結果から、(a) におけるGP効果は、共起関係が高さに基づくものではないことが示された。
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尺度構成と大規模調査による検討
杉本 匡史, 津田 裕之, 梶村 昇吾, 川崎 遥奈, 岩元 彩絵, 佐藤 勇希, 小島 隆次, 楠見 孝
セッションID: P1-34
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
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空間情報の学習・想起の際にサーベイパースペクティブ(AはBの東にある)とルートパースペクティブ(Aを通り過ぎると右にBが見える)を使用できる。本研究ではこれら2つのパースペクティブへの選好を測定する質問紙を作成し(調査1),それを用いて加齢と性差がこれらの選好に与える影響について検討した(調査2)。調査1の結果,サーベイとルートという2つの選好に加え,これらの両方に影響する要因の存在が明らかになった。調査2の結果,男性は女性に比べて,また年齢が高いほどサーベイ選好が強いことが明らかになった。また女性は男性に比べて強いルート選好を示した一方,年齢はルート選好に影響を与えなかった。これらの結果は性別や加齢が空間認知に与える影響について示すとともに,2つの選好の非対称性について言及しているといえる。
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浅川 伸一
セッションID: P1-35
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
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本研究では,ホップフィールドモデルが人間の意味記憶をシミュレートできるか否かを検討した.よく知られているとおり,ホップフィールドモデルの結合係数は,記憶痕跡として解釈できるばかりでなく,特徴間の類似性を示す指標としての役割も果す。また,概念形成やカテゴリー判断における神経心理学的証拠においても,外的刺激と内的な記憶表象との相互作用とが影響していると考えられる。このような観点から,ホップフィールドモデルと人間のカテゴリー形成,弁別のモデルを数理的に検討した。さらに,現在の刺激と過去に入力された記憶の痕跡の概念形成における役割ついて検討を加えた。
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本間 喜子, 川口 潤
セッションID: P1-36
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
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街中で常に携帯やタブレットなどを使用している姿が多く目につくようになった。慢性的なメディアマルチタスカーは,認知能力が低下することが指摘されており (Ophir et al., 2009),インターネットへの依存も社会問題になっている。インターネット依存によって引き起こされる様々な問題は自己を制御することができなくなったために生じていると考えられる。インターネットへの依存は,自己を制御するための制御能力が充分に機能しないために生じる可能性がある。そこで,制御能力を測定するエフォートフル・コントロール (EC) の低さとインターネットへの依存度が関連しているかどうかを検討した。その結果,ECの下位尺度とインターネット依存度に負の相関が認められた。特に,行動の始発制御と関連しており,抑制制御に失敗しているのではなく,行動を切り替える制御が充分にできず依存が生じていることが示された。
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藤枝 政矩, 実吉 綾子
セッションID: P1-37
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
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本研究では,眼球運動測定装置を用いて,展望的事象に対する人の肯定的期待により,瞳孔径が変化するかどうかを検討した。参加者に本実験プログラムが予め決定した2桁数字を予測,入力させ,正解・不正解を待機させた。両者の数字は桁ごとに正誤の照合を行い,各照合が開始する合図として数字のカウントダウンを呈示した。期待喚起の条件として,十桁側数字を照合する際のカウントダウン呈示中の瞳孔径を期待低条件とした。また、十桁側数字が不一致の場合の一桁側数字を照合する際のカウントダウン呈示中の瞳孔径を期待なし条件とした。さらに十桁側数字が一致の場合の一桁側数字を照合する際のカウントダウン呈示中の瞳孔径を期待高条件とした。その結果,瞳孔径平均値は,期待あり条件が,期待なし条件よりも大きくなった。しかし,統計的有意差はみられなかった。瞳孔径が期待度を測定し得る生理的指標となる有用性について考察する。
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池田 和浩, 佐藤 拓, 荒木 剛, 菊地 史倫
セッションID: P1-38
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
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本研究は、否定的な思考への対処力が日常的なしあわせ感への認識を促進するどうかを明らかにすることを目的とした。136名の参加者は、幸福感測定尺度の33項目、TCAQの20項目、RS-14の14項目にそれぞれ回答するよう求められた。制御感からしあわせの認識への影響を検討するためにパス解析を行った結果、思考不能感を制御することが、逆境を乗り越えるための力であるレジリエンス評価の向上につながり、主観的多幸感を増強させ、ついで些細な幸せの認識率を向上させることが確認された。しかしながら、思考コントロール感の低さは思考の制御不能感を助長し、自己否定感の拡大につながり、現実からの逃避のための些細な幸せを増加させ、多幸感を減少させうることが確認された。以上の結果に基づき、思考コントロール感としあわせの認識の関係性について考察を行った。
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総務省「ICT街づくり推進事業」柏の葉スマートシティにおける取り組み
阿久津 靖子, 野澤 満恵, 石垣 祥次郎, 松浦 倫子, 安達 直美, 八村 大輔
セッションID: P1-39
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
会議録・要旨集
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我が国は超高齢化社会を迎えており、健康で活力に満ちた長寿社会の実現のために心身の健康や体力の保持増進が課題となっている。本研究では健康づくりに関する意識や取り組みの変化を促し、自発的・継続的に、かつ楽しく健康管理、健康づくりを実現するための方策を検討することを目的とし、健康づくりのプログラムとともに、日常の健康データを簡単に計測、閲覧できる「健康見える化サービス」の有効性について検討を行った。20~70代の151名を対象とし、健康づくりのプログラムと活動量計や体組成計を用いた計測を5週間実施した。プログラム実施の有無と健康見える化サービスの有無について3群を設け比較した結果、プログラム実施が健康づくりのための行動変容の起因・継続要素となり、健康見える化サービスがその有効性を高める可能性が示された。本研究は総務省平成24年度「ICT街づくり推進事業」の採択事業の一環として行われた。
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顕在記憶における精緻化の役割および糖度判断課題による潜在記憶の実証
後藤 靖宏
セッションID: P2-8
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
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味の記憶について実験的に検証した.実験1では,味の顕在記憶について精緻化の観点からその影響を検討した.実験の結果,他の感覚における記憶と同様に,精緻化が有効な役割を果たし,また,マルチ記銘処理がなされることもわかった.実験2では,独自に開発した“糖度判断課題”を用いて,味の潜在記憶が見られるかを検討した.実験の結果,その存在が証明された.また,他の感覚の潜在記憶同様,知覚的な情報が潜在記憶として表象されていることが明らかになった.
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猪股 健太郎, 野村 幸正
セッションID: P2-9
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
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生体が物体の描画を認知処理する際には,視覚的な典型的大きさ(canonical visual size)という最も最適な面積比率があることが示唆されている。この最適な面積比率は,実世界における物体の大きさに比例するとされている。先行研究では,背景が描写されている写真などの画像の認知処理における視覚的な典型的大きさの影響は検討されていない。写真のように背景が描写されている画像を想起する際,実際よりも広い範囲の見えを想起する現象は境界拡張として知られている。そこで本研究では,視覚シンボルと写真という異なる呈示媒体において,想起される画像の面積比率に視覚的な典型的大きさがどのように影響するのかを検討した。視覚シンボルとは異なり,写真では境界拡張が生起し,視覚的な典型的大きさはその程度を規定する可能性が示された。これは,境界拡張が撮影距離のエラーではないことを示唆していた。
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池田 鷹優, 漁田 俊子, 漁田 武雄
セッションID: P2-10
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
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反復学習の文脈の異動(SCR vs. DCR,実験参加者内要因) × 文脈手がかり負荷(1 vs. 3 vs. 12,実験参加者間要因,各群20名)の2要因混合計画で,マルチ文脈パラダイムにおけるビデオ文脈の効果を調べた。個別実験で,大学生に24対のイタリア語とその日本語訳の項目対を意図学習させた。24対のうち12対は同じビデオ文脈(SCR条件)で,残り12対は異なる文脈で2度学習させた。各項目対は,1対ずつ,5秒のビデオ文脈の中央に赤文字で提示した。1つのビデオ文脈に対し,条件ごとに1対,3対,12対の項目対を組み合わせた。手がかり負荷3,12条件では,同じビデオ文脈を連続提示した。反復間隔と保持期間では2分の計算課題をさせた。テスト用紙にイタリア語24個の刺激項のみを提示し,筆記再生テストを行わせた。実験の結果,全ての手がかり負荷条件で,SCR条件の成績がDCR条件よりも高かった。
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秋山 舞亜, 小早川 達, 小林 剛史
セッションID: P2-11
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
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本研究では、視覚/嗅覚/視覚・嗅覚刺激によって誘発される自伝的記憶想起の反応時間と想起内容の関係に着目した。その結果、嗅覚および視覚手がかりを同時提示した群、視覚手がかりのみを提示した群、嗅覚手がかりのみを提示した群の順に自伝的記憶を想起するまでに要した反応時間が短いことが示された。
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近江 政雄
セッションID: P2-12
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
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漢字の記憶における有用性が明らかにされている空書行動の、画像イメージの記憶における有用性について検討した。記憶対象として画像イメージを使用し、イメージの記銘課題と想起課題における空書行動の有用性と、手指の運動そのものの有用性について検討した。その結果、画像イメージを記銘する場合において空書行動が有用であり、想起する場合には有用ではないことを明らかにした。これは、空書行動は漢字のみではなく、イメージの記憶においても有用であり、その記銘プロセスにおいて普遍的な役割を果たしていることを示唆するものである。
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寺内 宏樹, 坂本 竜太, 蒲池 みゆき
セッションID: P2-13
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
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本研究は,オブジェクトの特徴を彩色性の有無や心的空間次元で区別し,知覚的複雑性の変化を検証すると共に,オブジェクトの特徴と視覚的短期記憶容量との関連性について検証することを目的とした.オブジェクトの特徴として,彩色性の有無と心的空間次元における二次元オブジェクトと三次元オブジェクトを用いた.オブジェクトの特徴と知覚的複雑性,視覚的短期記憶容量との関連性については視覚探索課題や変化検出課題を用いて検証した.本研究では,知覚的複雑性の高低は心的空間次元の違いによる変化はせず,彩色性の有無によって変化することが示唆された.オブジェクトの特徴と視覚的短期記憶容量との関連性についても同様に,彩色性の有無によって視覚的短期記憶容量が変化することが示唆された.これらの結果から,視覚的短期記憶容量には心的空間次元のような高次の要素ではなく,彩色性のような低次の要素が影響を及ぼすことが示唆される.
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岩崎 遥香, 岩崎 智史
セッションID: P2-14
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
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本研究では、熟知性の高い上位2種類、熟知性の低い下位2種類の計4種類を選出し、熟知性の高低によって自伝的記憶の想起時期、想起内容に違いがみられるか、幼少期の記憶想起に着目し検討した。58名を対象に、ニオイ・想起内容の印象評価、ニオイを手がかりとした自伝的記憶の想起を求めた後、ニオイの命名を求めた。その結果、熟知性の高いニオイ刺激では、ニオイの同定がしやすいと、ニオイの印象評価もよく、記憶も、より鮮明で心地よい想起がなされることが明らかになった。一方、熟知性の低いニオイ刺激では、現在なじみがなくてもイベントに特化し、記銘時の符号化が強い刺激の場合、記憶の想起は、熟知性の高いニオイ刺激と同様に想起内容の鮮明さは高く、懐かしいと感じることが明らかになった。これらの結果は、ニオイ手がかりの熟知性が低く、ニオイの命名がなされていないことが幼少期の自伝的記憶想起の促進につながった可能性を示唆している。
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菅沼 和也, 漁田 武雄
セッションID: P2-15
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
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Olsenら(2004)は、一定であるとされていたワーキングメモリ(WM)の容量を、トレーニングにより強化した。しかし、トレーニングに1ヶ月余りを要し、実験参加者にかかる負担が大きいという問題があった。そのため、本研究では短期間で実施可能なトレーニング課題を発案し、その効果を実験により検証した。
実験ではback digit課題を2回行い、成績の変化を見ることでWMの向上を検証した。その際、2回の成績評価課題の間にN-back課題を行うトレーニング群と、別の課題を行わない統制群との比較を行った。
back digit課題成績を分析した結果、トレーニング群の成績のみ評価2回目に向上した。実験の結果から、短期のトレーニングに効果があることが判明した。しかし、トレーニング効果をより大きくする方法や、影響が及ぶ範囲について、今後詳細な検証が必要と考えられる。
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森田 泰介
セッションID: P2-16
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
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本研究の目的は,未来事象の無意図的想起が有する特徴を,意図的想起との比較をとおして明らかにすることであった。37名の大学生に単語連想課題を課した上で,そのなかで経験される意図的想起・無意図的想起について報告・評定するよう求めた。実験の結果,意図的想起条件においては,無意図的想起条件よりも多くの想起が報告されることが示された。また,想起のために要した努力の程度や,想起された記憶の詳細さの程度においては,意図的想起と無意図的想起との間に差が見られないことも明らかとなった。ただし本研究の実験手続きでは,意図的想起条件と無意図的想起条件の間に課題要求における複数の相違があるように思われるため,実験手続きをより洗練させたものとした上で,同様の検討を行うことが必要であることを提案した。
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漁田 武雄, 木下 拓哉, 漁田 俊子
セッションID: P2-17
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
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文脈手がかりの負荷(1 vs. 18,実験参加者間要因,各群20名)×テスト文脈効果(新 vs. 旧,実験参加者内要因)の2要因混合計画で,再認におよぼすビデオ文脈の効果を調べた。個別実験で,大学生に36個の項目(名詞)を意図学習させた。各項目は,4秒のビデオクリップの中央に赤文字で提示した。負荷1条件では,項目ごとに異なるビデオで提示した。負荷18条件では,2種類の文脈を用い,最初の18項目と後半の項目を,1種類のビデオで連続提示した。5分間の計算課題の後,学習時の項目(旧項目)および文脈(旧文脈)と同数の項目(新項目)と文脈(新文脈)を新たに加え,旧文脈でテストする条件と新文脈でテストする条件を設けた。旧項目を旧文脈でテストする条件では,学習時と同じ文脈を用いた。HitとA'では,負荷1条件でのみ文脈効果が生じた。FAでは負荷にかかわらず文脈効果が生じた。
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隠匿情報検査の枠組み
小川 時洋, 松田 いづみ, 常岡 充子
セッションID: P2-18
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
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ポリグラフ検査は,心理学を応用した科学捜査技術の一つである。本発表では,現在の日本の警察で実施されているポリグラフ検査の手法である隠匿情報検査の概略を紹介する。隠匿情報検査は,事件に関する記憶の有無を,質問に対する生理的変化に基づいて調べる手法である。ポリグラフ検査は,しばしば「ウソ発見」の名で呼ばれることもある。しかし,日本のポリグラフ検査は,記憶に焦点を当てた隠匿情報検査を用いている点が特色である。隠匿情報検査は科学的検査法としての妥当性が高く評価されているが,実際の応用場面での利用は世界的にみても珍しい。また,記憶を扱う認知心理学は,隠匿情報検査にとって重要な背景領域となるはずである。しかし,現状では,両者の関係は必ずしも密接とはいえない。そこで本発表では,記憶の認知心理学が隠匿情報検査を含めた犯罪捜査への貢献の可能性についても論じる。
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隠匿情報検査の正確性
松田 いづみ, 小川 時洋, 常岡 充子
セッションID: P2-19
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
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隠匿情報検査は,犯罪捜査で実際に用いられている記憶の検査手法である。事件に関する項目と関係しない項目を被検査者に示し,両項目に対する生理反応に違いがあれば,“被検査者は事件に関する項目を知っている”と判定する。本研究では,隠匿情報検査がどの程度の正確性をもつのかについて,実験データを用いて調べた。実験では,参加者80名がゆびわを模擬的に盗み(記憶あり群),72名は何も盗まなかった(記憶なし群)。その後,すべての参加者が模擬窃盗事件に関する隠匿情報検査を受けた。この検査データを,参加者がどちらの群に属するかを知らない実験者36名が判定した。判定結果と実際の記憶の有無を照らし合わせたところ,False positive率が5%,False negative率が14%であった。また,ロジスティック回帰分析により,判定に有効な生理指標は心拍数・皮膚伝導度反応・呼吸速度であることが分かった。
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水野 りか, 松井 孝雄
セッションID: P2-20
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
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水野・松井 (2012a, b) は,単語の文字数,モーラ数を操作し,日本語母語者の単語のメモリスパンへの視覚情報と音韻情報の影響を調べた。その結果,作業記憶に単語を保持する際にメモリスパンが比較的大きい参加者は視覚情報に,小さい参加者は音韻情報により大きく依存することが示唆された。我々は,他に類を見ないほど多くの同音異義語が存在する日本語の単語を処理・保持する際には視覚情報に依存する方略の方が有利で,音韻情報に依存する方略は不利なのではないかと考えた。そこで本研究では,同音異義語のある単語とない単語を,音韻情報だけに依存して処理させるために聴覚提示し,両者のメモリスパンを測定・比較した。その結果,同音異義語のある単語のメモリスパンはない単語より有意に少なく,音韻情報に依存する方略は同音異義語の多い日本語単語の処理と保持には不利であることが確認された。
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メタ記憶研究のために
金敷 大之, 山本 晃輔
セッションID: P2-21
発行日: 2013年
公開日: 2013/11/05
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本研究は,メタ記憶研究を行うための材料の外的基準として,大学受験英単語および日本語訳語の対に関する熟知価を標準化することが目的であった。大学生および成人500名が,英単語-日本語対450対のそれぞれについて見たり聞いたりした頻度を,5段階で評定した。大学入試の英語のテストを受験したかどうか,教科としての英語の得意不得意,現在の英語の勉強頻度で熟知価評定の個人差は見られるものの,これらの変数間に交互作用は見られないため,各単語対に関する熟知価の平均値は,現在の大学生および大学卒業者という母集団の代表値と見なすことができると考えられる。
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