郡山市立美術館は, 設計コンセプトに基づき, 人の手の痕跡や自然の風合いを大切にし, 密実で構造体段質量を素直に表現するため, 外壁や内壁そして柱などの建築構造を現わすことのできる部分は, すべて出目地を伴う杉本実化粧型わくを用いた白色セメントコンクリート (以下, ホワイトコンクリートとする) 打放し仕上げを採用している。美術館建設にあたり, 設計意図を具現化するため, 技術展開を行った。建築主である郡山市と設計監理にあたる柳澤孝彦+TAK建築・都市計画研究所のもとに, 施工関係者を含むホワイトコンクリート施工検討会を組織し, 材料の選定, 色調, 杉本実型わくの加工・組立てなどについて調査・検討し, 実物模擬部材を使った打設施工実験も行って, 実際の施工に反映させた。この結果, 設計の意図と仕様に合致した品質の高いホワイトコンクリートによる美術館を建設することができた。
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