FRPは, 高強度, 軽量, 非腐食, 非磁性などの特徴を有し, 鋼材に代わり得る補強材としてその普及が期待されてきた。そして, 我が国で実構造物に使用されて以来, ほぼ十年が経過しようとしている。当初は, 工場製作のプレストレストコンクリート部材への適用が多かったが, 施工実績を積むにしたがって現場打ちコンクリート構造物にも用いられ, さらにグランドアンカー, 補修補強などへと用途は拡大している。また, 緊張力が大きいマルチタイプの利用も多くなっている。FRPの利用目的は, 非腐食性のみではなく軽量性や電磁波透過性など, 多目的化してきた。しかし, 補強材としての期待は現在も世界的に大きいにもかかわらず, 普及のスピードは遅いと感じざるを得ない。本稿では, FRPの経緯と海外を含めた現状を検証し, 現在かかえている経済性などの課題と将来展望について述べる。
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