1970年代の高度成長期につくられた多くの土木構造物も2020年代には50代を迎え, 高齢化し, 老朽化してくるものもある。そのため, 既設土木構造物の長寿命化が強く叫ばれてきている。また, 近年, 多発したコンクリート構造物からのコンクリート片の落下事故のように, 直接的に構造物の安全性能や使用性能を脅かすものではないが, 第三者に被害を及ぼす可能性が高い損傷が社会から注目を浴び, コンクリート構造物の耐久性を向上させる技術に大きな関心が寄せられている。このため, 既設コンクリート構造物に対しては, 適切に点検を行い, 構造物のこのような性能に甚大な影響を与える可能性の高い損傷や第三者被害につながる損傷を早期に発見し, 必要に応じて詳細な調査を行ったうえで適切な対策を講じ, 長寿命化や耐久性向上を図ることが必要とされている。ここでは土木コンクリート構造物に対する点検・調査方法, それらの結果に基づく診断に関する技術の現状や非破壊検査の適用について実務面から解説することとする。
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