本論文は, セメント・コンクリートからの微量成分の溶出と水和物の溶脱についてまとめた。水和物の溶脱は, 長期の耐久性が要求される放射性廃棄物施設の人工バリアの建設と関連して重要な問題である。硬化コンクリートからの水和物の溶脱機構やモデルや促進試験について述べている。セメントやコンクリートの環境適合性に関連して, セメントやコンクリートからの微量成分の溶出の現状をまとめることは重要である。本論文では, セメントや混和材中の微量成分量や化学混和剤中の環境ホルモンについて概説した。また, セメントやコンクリートからの微量成分の溶出について述べた。例えば, 六価クロムはフレッシュコンクリート中では検出されるが, 硬化コンクリートからの溶出は見られない。加えて, 研究委員会から提案されているタンクリーチング試験方法について紹介している。
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