近年, アルカリ骨材反応 (ASR) による膨張により, 鉄筋の曲げ加工部などの一部で鋼材が破断する事例が複数報告された。一方, 実際にASRによる劣化を受けているコンクリート構造物の多くは鉄筋の破断まで至っておらず, 適切なモニタリングを行いながら供用することが可能と思われる。本報告では, 全国の高速道路橋においてASRで劣化した構造物の鉄筋ひずみの実態を調査するとともに, ASRで膨張した梁試験体を用いて交番載荷実験を行い, 耐震性能の検証を行った。その結果, ASRにより変状を起こした構造物の鉄筋ひずみは500-1500μ程度であり, このうち, 1000μ以下の範囲であれば鉄筋の破断が確認されない限り, 鉄筋コンクリート構造物では耐震性能の明確な低下は見られないことを示した。
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