これまで, コンクリート構造物を解体して得られた解体コンクリート塊は, ほとんどが路盤材に使用されてきた。また, 最近では, 高度処理によって骨材表面に付着したモルタルやセメントペーストを除去し, コンクリート用骨材に適用される実績が増えつつある。本報では, 環境影響負荷を最小限にすることを目標にした解体コンクリート塊と産業副産物を用いた新たな再利用方法を技術提案し, 実際のコンクリート工事に適用した結果を報告する。解体コンクリート塊の品質は, ジョークラッシャ等で破砕しただけの品質であり, 産業副産物の有効利用を図りながら, 圧縮強度が数N/mm
2程度の極低品位コンクリート用骨材として適用する方法を技術提案した。また, 旧コンクリート構造物の解体から新設構造物の建設までの期間, 解体コンクリート塊を新設構造物の建設現場の近傍に保管できるという利点を活かして, 建設現場内でトラックアジテータ車を用いたコンクリートの製造方法についても技術提案した。これらの技術提案を実工事に採用することによって, 目標品質を満足するコンクリートを製造・施工できただけでなく, 約11500トンの解体コンクリート塊を再利用し, かっ大幅な環境影響負荷低減を実現することができた。
抄録全体を表示