2016年4月にJIS A 5011-2「コンクリート用スラグ骨材-第2部:フェロニッケルスラグ骨材」およびJIS A 5011-3「コンクリート用スラグ骨材-第3部:銅スラグ骨材」が改正された。この改正では,スラグ骨材の環境安全品質についての規定が導入され,フェロニッケルスラグ粗骨材が新たに規格化された。本稿は,今回のJIS改正に対応し,さらに最近の研究成果を取り込んで改訂された土木学会の「フェロニッケルスラグ骨材を用いたコンクリートの設計施工指針」および「銅スラグ細骨材を用いたコンクリートの設計施工指針」の概要を示したものである。
1991年度の「自然環境下のコンクリート性能研究委員会」(委員長:鎌田英治北海道大学教授),2003年度の「自然環境下のコンクリート性能評価研究委員会」(委員長:佐伯昇北海道大学教授)の後継委員会として,2016年度に「自然環境下のコンクリート劣化研究委員会」(委員長:湯浅昇日本大学教授)が設置されたことに関連して,自然環境下の劣化を紹介するとともに,過去2つの研究委員会で浮き彫りになった暴露試験の問題から作成に至った「コンクリートの長期暴露試験マニュアル」をその考え方から解説した。また,日本大学が進める暴露試験について,暴露場および試験の概要,運用に際し構築した無線およびLANによる環境情報・試験データの入手システムを紹介した。
地上25階程度以下,地下2階以上の鉄骨(以下,Sと略記)造建物の地上階コンクリート充填鋼管(以下,CFTと略記)柱の軸力を地下階の鉄筋コンクリート(以下,RCと略記)造柱に伝達させる場合,一般的に地上階柱の構造種別を地下2~3層にわたって鉄骨鉄筋コンクリート(以下,SRCと略記)造柱に切り替えることが多く,建設コストの上昇や工期長期化の一要因となっている。著者はこれらの解決策として,地上階のCFT柱を任意の地下階1層のみで地下階のRC造柱に接続させるために,地上階から延伸するCFT柱をこの部分で一回り大きな断面のCFT柱で囲繞し定着させるハイブリッド構造柱を開発した。本稿では,本柱の構造性能を確認するために実施した各種構造実験の概要と結果について紹介する。
北海道横断自動車道において,現在新設事業を進めている余市IC~小樽JCT間は,厳冬期の月平均気温は0℃を下回り,また年間の累計積雪深が5mを超える気候的条件に立地する高速道路である。この区間においては,橋長600mを超える2橋のPC橋があるが,工程的な制約条件から積雪寒冷期間においても施工を進めている。そのため,このような気候的な条件に配慮したコンクリートの品質管理ならびに施工上の工夫が必要となってくる。本稿では,PC橋2橋で実施した寒冷期におけるコンクリートの品質管理ならびに施工上の工夫の取組み事例について紹介する。