2017年3月に日本建築学会から刊行した「鉄筋コンクリート基礎構造部材の耐震設計指針(案)・同解説」の概要を示す。本指針(案)は,大地震に対する鉄筋コンクリート基礎構造部材の耐震設計方法として,耐震目標性能と確認方法・耐震性能の判定・基礎構造部材の保有性能等をもとに,実務設計にも展開できるよう統一的かつ具体的な設計法を示している。
寒冷地のコンクリート構造物に生じる凍害を抑制するためには,コンクリート中に微細な独立気泡を連行することが有効である。AE剤により連行された気泡は,使用材料,配合条件および施工条件などによっては,硬化に至るまでに消失し,凍結融解抵抗性に有効な気泡が確保されない場合もある。著者らは,これまでに,アクリロニトリル系樹脂製の微細な中空球体である「中空微小球」に着目し,コンクリートの凍結融解抵抗性に関する実験的検討を行っている。本報では,中空微小球を用いたコンクリートについて,これまでに得られた知見を整理するとともに,実装に向けた施工実験により中空微小球の分散性を確認し,最終的に実構造物へ適用した結果について報告する。
平成29年7月に開催された日本コンクリート工学会年次大会の生コンセミナー部会(部会長:岩城一郎・日本大学教授)で検討した東日本大震災に対する生コン業界の取り組みをまとめたものである。設備面からみた被災の特徴,震災前からのコンクリートの各材料の供給,生コンの出荷量,需要増に対する対応,放射能汚染への対応のそれぞれを定量的にまとめている。被害の原因は,津波または地震に大別でき,復旧に3カ月以上を要したのは津波によるものであった。構造物の被害は太平洋側の3県に集中しており,復興の需要も3県が特に目立って増えた。この需要増に対して骨材不足が深刻となり,県外からの骨材で補った様子が明らかとなった。
国分工事は,東京外かく環状道路の千葉県区間のうち1.8 km区間の半地下構造の高速道路函体を築造するものである。本稿では,コンクリートの品質と函体構造物の水密性・長期耐久性の確保を目的とした現場専用コンクリート製造プラントの設置と,コンクリート表層品質の更なる向上への取組みについて報告するものである。
高松自動車道の四車線化工事に伴い,香川県東かがわ市伊座地区から帰来地区に計画される宮池橋は,SCBR工法において,新たにポストテンション桁を採用することでコストの縮減を図るとともに,支承部の維持管理性を向上させている。この詳細設計概要と工事概要および工事進捗中に特質した事項を報告する。
本報では,RC柱とCFT柱とを剛接合できる新しい接合構工法(iRSシステム)を開発・適用したことで実現した,超高層集合住宅と大スパン自由通路をもつ商業施設とを組み合わせた複合用途建築の概要を紹介する。