コンクリートポンプによる圧送では,事故の発生や圧送負荷の算定方法の統一化など課題が指摘されている。コンクリート圧送技術調査委員会では圧送技術に関する最新動向について情報収集を行い,安全性の検討として圧送に関わる事故の分析と輸送管の管理方法の実態,圧送計画の検討として圧送計画における課題と圧送性について,さらに学協会のコンクリート指針類などの相違についてそれぞれ調査を実施した。本稿では,2年間の委員会活動の成果として2019年6月にまとめられた「コンクリート圧送技術調査委員会報告書」に基づいてその内容を解説する。
暑中環境で施工されるコンクリートに生じる種々の不具合の対策方法に関する指針である,日本建築学会「暑中コンクリートの施工指針・同解説」が2019年7月に改定された。本稿では,近年ますます過酷化する暑中環境の気候特性を整理するとともに,同指針の制定の経緯から改定の背景,ならびに各章における改定の要点を述べた。
コンクリートの乾燥収縮は,使用材料,配合,施工条件,環境条件,形状などの様々な要因の影響を受ける。近年では,JIS規格に適合する粗骨材を用いたコンクリートでも過大な乾燥収縮ひずみを生じたことで大きな注目を集めた。コンクリートの乾燥収縮に対して,従来から指摘されている単位水量の影響よりも,使用する粗骨材種類の影響の方が卓越することが報告されている。そこで筆者らは,粗骨材の乾燥収縮特性に着目した検討を通じて,ひずみゲージによる粗骨材の乾燥収縮率の測定法の確立や,コンクリートの乾燥収縮率と粗骨材の各種品質指標との関係性を明らかにしてきた。本稿ではこれまでに得たデータを再整理した結果について報告する。
本技術は,コンクリート製造設備への材料供給,コンクリート製造(練混ぜ),運搬台車(トランスファーカ)によるコンクリート運搬,ケーブルクレーンによる運搬・打設までの一連作業を完全自動化するものである。打設開始に先立ち,コンクリートの運搬先となる打設位置の3次元座標,打設する配合種別,数量等の打設計画を作成し,本システムに入力すれば,各設備が連動して,完全自動で繰返し作業が可能である。簗川ダムでは,軌索式ケーブルクレーンをコンクリート運搬・打設設備として選定しており,本技術による生産性の向上の効果が大きいと考え,本技術を適用した。