建築物の耐震性向上や大規模化に伴い,従来のスランプ管理のコンクリートでは充填が困難になるケースが増加している。そこで流動性の高いコンクリートの利用促進によるコンクリート工事における生産性向上,不具合低減,高品質化を図ることを目的とし,日本建設業連合会では,「建築分野における高流動性コンクリートの普及に関する研究会」を発足し,20社が参加し,3つのワーキンググループで活動を行った。本報では,本研究会の活動概要,各WGの活動成果および本研究会の成果物として「現場添加型高流動性コンクリートの製造要領書」と「高流動性コンクリートの利用ガイドライン」について紹介する。
コンクリートの熱応力問題に対する簡便な解析手法の提案を目的として,平面ひずみ状態における熱弾性体の適合条件式を示した。この適合条件式を用いることにより,温度を唯一の未知項として応力状態を表現する4階の偏微分方程式が導出される。この偏微分方程式は楕円型と放物線型の偏微分方程式に分離して表現することが可能であり,それぞれの解を総和することにより熱弾性体の垂直応力の和(σxx+σyy),さらには,体積ひずみの評価が可能となる。
八戸長根屋内スケート場は,国際規格を満足する国内3つ目の屋内スピードスケート競技施設である。本施設の建設工事において,高品質なスケートリンクの実現に向けた取り組みの一つとして,目標表面精度±2mmという極めて高平滑なコンクリートスラブの施工を行った。人の目あるいは手に依存した従来の施工方法では目標表面精度の達成が困難と予想されたため,複数の機械を施工に導入し,目標表面精度の達成を目指した。本稿では,その施工方法の詳細および施工したコンクリートスラブの表面精度の記録を紹介する。
小田急小田原線の玉川学園前駅~町田駅間に架かる水路および架道橋の耐震補強において,既設盛土一体化橋梁工法を採用し,線路閉鎖間合いの短い都市部における施工を完了した。ここでは,耐震化工法の選定過程と,本工事における各種の制約条件および施工検討について紹介し,耐震化前後における鋼桁のたわみおよび列車通過時の騒音の計測結果について報告する。また本稿では,粉体量が多いコンクリートの再圧送により得られた知見と,加速度計を用いた既往の圧送性簡易評価手法を粉体量が多いコンクリートに適用した際の結果についても述べる。