土木学会鋼構造委員会では,鋼道路橋の床版について1997年より小委員会を設置し,継続的に調査研究している。2017年からの道路橋床版の点検診断の高度化と長寿命化技術に関する小委員会では,その研究成果の一つとして2020年10月に,「道路橋床版の維持管理マニュアル2020」を鋼構造シリーズ35として出版した。道路橋において最も劣化の激しい部材の一つである床版の維持管理に特化したマニュアルであり,その構成は,道路橋床版の損傷と劣化,点検・調査方法,劣化進行過程の評価,対策工法選定,維持管理事例である。マニュアルの概要とともに主な改訂内容としてマニュアルの活用方法と点検調査技術の活用について解説している。
日本建築学会の「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説」は,1979年に初版が発表されてから,今年で42年になる。指針は,本年2021年に11年ぶりに改定され,第6版になる。本報は,本指針の活用がより広がることを期待して,ここに指針の概要を示す。なお,本報はこの指針の概要を紹介するもので,改定内容の解説ではない。
本報告は,小型容器を用いたコンクリートのブリーディング試験方法(小型容器法)の概要を紹介するとともに,小型容器法の試験結果に影響を及ぼすと考えられる要因について実験的に検討した例を既報を要約して報告した。試験に用いる容器,コンクリートの使用材料および配(調)合に着目して実験的に検討した結果,φ125-h 212.5およびφ150-h 255の寸法の試料であれば,実験水準の変化をJIS A 1123と同程度に把握できることを明らかにした。また,ブリーディング量については,両容器ともJIS A 1123に近似した結果の得られる一方で,ブリーディング率についてはφ125-h 212.5ではJIS A 1123に比べて若干大きくなることを明らかとした。
コンクリートポンプメーカがユーザ向けのサービスとして運用しているIoTを活用した車両管理支援システムによるコンクリートポンプの稼働記録と圧送技能者が記録した作業日報の内容を照合させることにより機械効率,実吐出量および管内圧力損失を求めることについて試みたものである。その結果,IoTによるコンクリートポンプの稼働記録と圧送技能者が記録した作業日報の内容を照合させることにより機械効率,実吐出量および管内圧力損失を求めることができる可能性を見いだした。
東京国際空港際内トンネル工事は,旅客の乗継ぎ利便性の向上を図る目的で,A滑走路を挟んで両側にある第1,第2ターミナル側と第3ターミナル側をシールドトンネルで接続し,供用中の滑走路下に空港用大型バスが対面通行可能な道路トンネルを建設するものである。本工事のシールドトンネル内部構築においては,施工上の制約や構造の特殊性を考慮した上で様々な部材にプレキャストコンクリートを積極的に採用し,施工の効率化と省力化を図った。本稿では,これらのプレキャストコンクリート部材の設計および施工の概要について報告する。