日本調理科学会誌
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43 巻, 3 号
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総説
報文
  • 下坂 智惠, 古根 康衣, 下村 道子
    2010 年 43 巻 3 号 p. 160-167
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    サメ皮の食用としての利用を拡大するために,異なる溶液中で加圧加熱したときの適切な調理条件について調べた。サメ皮は0.2%炭酸カリウム,1%酢酸溶液,脱イオン水のいずれかの液で加圧加熱した。最大荷重は,レオメーターによる破断強度の測定値である。サメ皮の最大荷重値は,5分間の加熱で急激に低下し,1%酢酸溶液での低下が最も大きかった。サメ皮を溶液で加熱すると軟化し,タンパク質が溶液に溶出した。加熱したサメ皮が軟化したのは,タンパク質が溶出し,サメ皮の構造が変化したことによると考えられる。サメ皮を各溶液中で加圧加熱することは,テクスチャー及び加熱時間の点で効果的であった。
  • 平島 円, 高橋 亮, 廣江 美佳, 西成 勝好
    2010 年 43 巻 3 号 p. 168-175
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    澱粉の糊化および老化に及ぼす微結晶セルロース(MCC)の影響について,示差走査熱量測定,ゲルの一軸圧縮試験および動的粘弾性測定により検討した。澱粉とMCCの総濃度を15wt%に固定し,MCCを0~3wt%添加した。MCC添加濃度が高くなるにつれて澱粉ゲルの破断応力は小さくなった。また,5℃で14日間保存すると,MCCを添加した澱粉ゲルの老化率はMCC無添加の澱粉ゲルと比べて小さかった。これらの結果は澱粉濃度の減少によるものとわかった。すなわち,MCCは澱粉と直接相互作用することはなく,糊化と老化に影響を与えなかった。しかし,初期弾性率や貯蔵ヤング率の値はMCCを添加することにより大きくなり,微小変形下ではゲルは強い構造を持つようになるとわかった。これはセルロースの剛直な構造が影響していると考えられた。また,MCCを添加したゲルは,弾性率の値が温度に依存せず,熱に対する安定性のあることがわかった。
  • 宮下 朋子, 伊藤 寿江, 長尾 慶子
    2010 年 43 巻 3 号 p. 176-183
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    シロップの砂糖濃度がイタリアンメレンゲの性状や嗜好性に及ぼす影響について検討した。イタリアンメレンゲに砂糖濃度の異なるシロップを加えた。
    シロップの加熱温度と濃度はA:105°C(89.0wt%),B:110°C(90.1wt%),C:120°C(91.5wt%),D:130°C(92.7wt%)とした。イタリアンメレンゲは,シロップの砂糖濃度の上昇とともに分離液が少なくなり,Bより濃度の高いシロップを加えた場合において安定性が高くなった。CおよびDのシロップを加えたメレンゲは,24時間後もきわめて高い安定性を示していた。
    イタリアンメレンゲの圧縮応力,凝集性は,シロップの砂糖濃度の上昇とともに高い値を示していた。イタリアンメレンゲの官能評価では,CとDのシロップを加えたメレンゲが総合評価において最も好まれていた。また,焼成メレンゲの場合では,Bのシロップを加えたメレンゲが総合的に高い評価を得ていた。
  • 大石 恭子, 渡邊 暦, 渋川 祥子
    2010 年 43 巻 3 号 p. 184-191
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    調理済み冷凍食品の揚げ上がりは表面の色で判断されることが多く,中心温度は調べられていない。そこで,冷凍コロッケとミートボールを用いて揚げ調理中の中心温度の変化を調べ,適度な揚げ色と中心温度を満たす揚げ条件について検討した。
    一般的に用いられる油温で揚げると,適度な揚げ色になった時点では中心温度の上昇は十分ではなかった。この傾向はコロッケよりもミートボールのような揚げ衣のない揚げ種の方が著しかった。ミートボールを揚げるには,加熱初期に低温の油で揚げ,中心温度が0°Cに達した時点で火力を上げるのが最も良い方法であり,加熱終了時の中心温度は十分に上昇し,かつ揚げ色も適度であった。この条件で揚げたミートボールは,表層はより硬く,もろくなり,揚げ物として好まれるテクスチャーであった。
  • 杉山 寿美, 原田 良子, 平岡 美紀, 大重 友佳
    2010 年 43 巻 3 号 p. 192-200
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/11/21
    ジャーナル フリー
    コラーゲンに対する生姜プロテアーゼの作用は,酸性条件下でのテロペプタイドに対するものであり,三重らせん部位に対しては作用しない。一方,生姜プロテアーゼはコラーゲンの熱分解物であるゼラチンには作用する。我々は,コラーゲンに対する生姜プロテアーゼの作用に基づき,加熱・温蔵過程における鶏肉のコラーゲンの変化と軟化を検討した。
    その結果,加熱により,鶏肉の酸可溶性コラーゲン(ASC),ペプシン可溶化コラーゲン(PSC)は減少したが,不溶性コラーゲン量(ISC)は増加した。加熱調理した鶏肉の温蔵は,ゼラチン化を促し,コラーゲン総量を減少させた。生姜搾汁の添加ではコラーゲン総量が減少し,加熱後に生姜搾汁を添加した場合に著しいものだった。これは,加熱調理および温蔵過程で不均一な構造となったコラーゲンの熱変性部位に生姜プロテアーゼが作用したためと考えられた。また,生姜搾汁を添加し温蔵した鶏肉は,生姜搾汁を添加していない鶏肉と比較して剪断強度が低かった。
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