日本調理科学会誌
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44 巻, 3 号
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総説
報文
  • 佐藤 久美, 小川 友理江, 長尾 慶子
    2011 年 44 巻 3 号 p. 200-205
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/06/20
    ジャーナル フリー
    豆腐の凝固剤である‘にがり’を用いてプディングを調製し,その製品の色差測定により外観の評価,テクスチャー測定および動的粘弾性の測定により物性の評価,抗酸化性の評価,官能評価による嗜好性を評価し,総合的にプディングの品質を検討した。
    その結果,無添加に比べて,‘にがり’添加により黄度が弱く,明度が高い製品となった。テクスチャー測定では付着性が低く,軟らかいプディングとなった。抗酸化性においても‘にがり’添加で増強されることがわかった。動的粘弾性測定では‘にがり’添加濃度0.5 wt%の製品が高周波領域では他の試料に比べ貯蔵弾性率ならびに損失弾性率が周波数に大きく依存し,ゲル構造が柔らかくしなやかなプディングであると考えられた。嗜好意欲尺度法による官能検査では0.5 wt%添加が最も嗜好意欲が大であり,プディングへの‘にがり’添加の有用性が認められた。
  • 花﨑 憲子, 上中 登紀子, 大喜多 祥子, 倉賀野 妙子, 和田 淑子
    2011 年 44 巻 3 号 p. 206-213
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/06/20
    ジャーナル フリー
    MCTを用いたビスケットとLCTを用いたビスケット間で,生地と焼成品の物性,焼成中の形状の変化,および,電子顕微鏡による組織構造を比較した。MCTはLCTに比べ粘度が低いにも関わらず,MCTビスケット生地は最大圧縮応力と最大圧縮エネルギーが大であった。焼成初期では,MCTビスケットの垂直方向への膨張はLCTビスケットほど大きくはなかった。MCTビスケットの焼成品は小さく破断特性値が高かった。垂直方向への膨張は主にグルテンに支えられていると考えられる。したがって,両油脂で形成されたグルテン間には性質に差異があると推察された。LCTビスケット内部には,気泡の周囲にグルテンのような膜状組織が観察された。MCTビスケット内部は空隙の少ない密な構造であった。以上のことから,MCTは生地調製時においてグルテンの性質に影響を及ぼし,そのグルテンは焼成時に伸展し難いものとなることにより,MCTはビスケットをより小さく,より硬くしたと考えられた。
  • 長澤 幸一, 田引 正, 西尾 善太, 伊藤 美環子, 中村 和弘, 谷口 義則, 山内 宏昭
    2011 年 44 巻 3 号 p. 214-222
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/06/20
    ジャーナル フリー
    国産もち小麦粉「もち姫」の有効利用を目的とし,国産のパン用小麦「ゆめちから」の小麦粉および外国産小麦を原料とした強力粉「カメリヤ」とのブレンド粉を用いた食パン,ベーグルの焼成を試み,製パン性の評価と物性の解析を行った。食パンの比容積は「もち姫」添加量が増すほど低下した。物性測定によるクラムの硬さは「もち姫」の添加の影響をあまり受けず,「ゆめちから」ブレンド粉の方がより柔らかく,老化しにくかった。凝集性は「もち姫」添加量の増加に伴い低下し,もちもち感が増したと考えられた。ベーグルでは,「もち姫」を添加すると比容積が増加し,「ゆめちから」ブレンド粉では「もち姫」添加量30%,40%で,「カメリヤ」ブレンド粉では40%で最も増加した。クラムの物性は「ゆめちから」ブレンド粉の方が「カメリヤ」より柔らかく,老化も抑制された。また,「もち姫」添加によりもちもち感が付与され,「ゆめちから」に対し40%添加以内が柔らかく,もちもち感があり,老化しにくいベーグルが焼成できると考えられた。
ノート
  • 下坂 智惠
    2011 年 44 巻 3 号 p. 223-230
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/06/20
    ジャーナル フリー
    国産小麦粉に砂糖,塩,水,白神こだま酵母を加えてパンを調製し,調製方法と膨化に関する研究を行った。生地を捏ねる回数が多くなると,パンの比容積は高くなり,最大荷重値は減少した。パンを調製中に,生地を 5分間ねかすことは,労力の減少と嗜好性の向上に有効であった。そのパンは,比容積が高く,官能評価の結果,総合的に好まれた。白神こだま酵母を用いたパンの調製において,外国産小麦粉使用時は,水の量を多くすることで比容積が高くなった。白神こだま酵母を用いることで,基本的な材料だけでパンを調製することができ,タンパク質含有量の少ない国産小麦粉でも嗜好性の高いパンとなることが明らかになった。
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