日本調理科学会誌
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44 巻, 4 号
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総説
報文
  • 柘植 光代, 高橋 智子, 岩崎 裕子, 大越 ひろ
    2011 年 44 巻 4 号 p. 263-271
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    とろみ調整食品を添加した無調整豆乳を起泡して,マイクロバブル(MB)泡沫とバーミックス(ba)泡沫を得た。泡沫の起泡力,排液率,テクスチャー特性と気泡径,気泡数,泡膜厚などの諸因子の関連性を検討した。
    起泡時間が長いMB泡沫はba泡沫より硬さ,付着性,凝集性が高く,付着性が上昇すると起泡力が増加し,排液率が低下した。MB泡沫はba泡沫より気泡数が少なく,気泡数減少速度定数は低値で,安定していた。MB泡沫の気泡径は大きいが泡膜厚は薄く,泡膜厚が薄いほど起泡力が高く,排液率が低かった。重回帰分析の結果から,MB泡沫とba泡沫の起泡力と排液率は泡沫の泡膜厚と気泡径により,貯蔵弾性率と付着性は気泡径,気泡数,泡膜厚により説明できた。これらの結果から求めた推定値は測定値との適合性が良好であった。さらに豆乳粘性率と起泡時間を設定すればMB泡沫の起泡力と排液率を求める関係式を得た。
  • 武田 珠美, 長島 万弓, 福田 靖子
    2011 年 44 巻 4 号 p. 272-276
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    ゴマは健康機能成分としてリグナン類が特定され,多様なゴマ入り製品が開発されているが,ゴマ量の情報なく消費者は購入している。本研究では,ゴマに特異的なリグナン類を定量することにより,ゴマ入り製品中のゴマ量を算出するとともに,そのゴマ量に関する消費者の見積もりおよび購買動機を質問紙調査した。質問紙調査の結果,ゴマ製品の購買動機は味がよい,健康によいが多かった。食べる頻度が高かったドレッシングやゴマだれにおいてゴマ量の推測値は20%から50%以上が半数以上を占めた。しかしゴマドレッシングのセサミン含量は平均0.16 mg/gでゴマ量に換算すると5.2%,ゴマだれ中のセサミンでも0.79 mg/gであり,ゴマ量に換算すると26.4%であった。消費者のゴマ推測量とゴマ量は合致しにくいことが認められ,健康によいというゴマ入り製品のイメージに反しないようなルールづくりや充実した製品の開発が必要と考えられた。
  • 日本調理科学会加熱調理研究委員会 余熱研究グループ
    2011 年 44 巻 4 号 p. 277-285
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    オーブン加熱終了後の肉の温度変化(余熱)に及ぼす加熱条件ならびに放置媒体の種類と覆いの有無等の影響を実測により検討した。さらに,簡略化した伝熱モデルを用いた数値計算により余熱を含めたオーブン加熱における肉中心部の75°C保持時間の予測を試みた。
    熱物性の異なる3種類の放置媒体(ステンレス,木,ごとく)を用いたところ,放置中の肉中心部の温度変化に顕著な差は認められなかった。これは,放置媒体とオーブン角皿の接触面積が小さいことに起因すると推察される。覆いによる余熱の効果は大きいことが実証できた。簡略化した計算モデルを用いて肉中心部における75°C保持時間を予測した結果,実測結果と同様の傾向が得られ,モデルの有効性を明らかにすることができた。
資料
  • 三宅 紀子, 酒井 清子, 久木野 睦子
    2011 年 44 巻 4 号 p. 286-290
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    カステラは16世紀にポルトガル人により伝えられたとされ,現在では様々な特徴を持つカステラが製造されている。本研究では市販の長崎カステラから特徴の異なる製品3種(A,B,C)を選び,製品の理化学的測定および嗜好型の官能評価を実施し,製品の特徴と嗜好性の関連について検討した。「香り」以外の「外観」,「味」,「食感」,「総合」の嗜好に関して有意差が認められた。全パネルでは糖含量,黄色味ともに中程度であるBが最も好まれた。クラスター分析を行ったところ,全パネルは4つのクラスターに分かれた。最も大きなクラスター(38%)は糖含量が高く黄色の濃くもろさのないAをBと同程度に好むことが特徴的であった。また,糖含量が低く黄色の薄くもろいCを好むクラスター(21%)も認められた。従ってカステラに対する嗜好性には多様性があることが示された。
  • 菅原 晃美, 根岸 由紀子, 甲斐 由美, 石黒 浩二, 沖 智之, 須田 郁夫
    2011 年 44 巻 4 号 p. 291-298
    発行日: 2011年
    公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    「すいおう」は,葉を食用とする新しいサツマイモ品種である。本研究では「すいおう」葉の機能性成分に及ぼす加熱調理法の影響を検討した。
    「すいおう」の葉身と葉柄を4種類の方法(蒸す,炒める,煮る,茹でる)で加熱調理し,加熱試料のルテイン含量,カフェ酸誘導体総量,3, 4, 5-triCQA含量,総ポリフェノール含量および抗酸化活性を測定した。
    その結果,ルテインは,加熱調理しても試料中に含まれており,その含量は炒め調理で高かった。3, 4, 5-triCQAも加熱調理試料中に含まれていることが確認された。総ポリフェノール量については,蒸し,煮調理で,高く保持されていた。カフェ酸誘導体と総ポリフェノール量は抗酸化活性と相関が高かった。
    得られた知見は,「すいおう」葉の機能性を活かした調理レシピ開発に役立つものである。
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