日本調理科学会誌
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45 巻, 3 号
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総説
報文
  • 桒田 寛子, 治部 祐里, 寺本 あい, 渕上 倫子
    2012 年 45 巻 3 号 p. 181-188
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
     ユズをクエン酸溶液(pH 2.7)に24時間浸漬,または加熱処理(100°C,10分),高圧力処理(500 MPa,30分)を行った際の組織の軟化とペクチンの溶出量との関係について検討した.外果皮の硬さは高圧力処理が最も硬く,次いでpH 2.7浸漬>加熱処理の順であった.高圧力処理を行っても細胞壁にゆるみは生じなかった.しかし,加熱処理すると,外果皮では変化がなかったが,中果皮の細胞壁の中層は分離した.ペクチン含量は,中果皮>外果皮>内果皮>果肉の順に多かった.各種処理後の外果皮に残存するペクチン量は,高圧力処理>加熱処理>pH2.7浸漬>ゆでこぼしの順であった.クエン酸浸漬によってCa2+が除去されるため,外果皮の約24%のペクチンが溶出した.外果皮のpHは3~4,ゆで汁は4.02であったため,加熱によるペクチンの分解は β-脱離ではなく,主に加水分解によることが明らかになった.
ノート
  • 井部 奈生子, 肥後 温子
    2012 年 45 巻 3 号 p. 189-196
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
     市販ぬれせんべい17種類の水分量は9.8~28.7 g/100 g,水分活性は0.38~0.81であり,製法,水分含量,テクスチャーを異にする各種の製品があった。そこで,調湿が水分およびテクスチャーに及ぼす影響を含めて製品を分類したところ,揚げせんべいタイプ,半乾きせんべいタイプ,湿せんべいタイプ,湿おかきタイプの4つのタイプに分類できた。なお,3タイプの代表的な製品について官能評価を行ったところ,破断しやすい製品が好まれる傾向がみられ,半乾きせんべいタイプの硬い食感,濃く味付けされたおかきの味が嫌われた。
資料
  • 山口 智子, 原 初代, 西本 登志, 的場 輝佳, 高村 仁知
    2012 年 45 巻 3 号 p. 197-203
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
     大和野菜12品目の水分量,灰分量,アスコルビン酸量,総ポリフェノール量および抗酸化力(DPPHラジカル捕捉活性,ORAC値)の分析を行った。その結果,水分量および灰分量は一般野菜と比較してあまり差がみられなかったが,アスコルビン酸量の低い品目が多くみられた。一方,総ポリフェノール量は,千筋みずなでは一般野菜の1.8倍,花みょうがでは1.5倍であり,その他の大和野菜にも一般野菜に匹敵するものが多かった。
     抗酸化力は一般野菜と比較して,DPPHラジカル捕捉活性が千筋みずなと花みょうがで高く,ORAC値は宇陀金ごぼう,花みょうが,香りごぼう,大和きくなおよび千筋みずなが1.5~2倍高い状態にあった。したがって,大和野菜の抗酸化力は一般野菜よりも概して高い状態にあることがわかった。
  • 三神 彩子, 荒木 葉子, 笹原 麻希, 伊藤 貴英, 長尾 慶子
    2012 年 45 巻 3 号 p. 204-208
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
     本研究では,家庭での使用頻度の高い野菜50種を取り上げ,家庭で通常行われている切り方およびエコ・クッキングの切り方での廃棄率を実測し,食材廃棄率の削減効果を明らかとすることを目的とした。
     野菜50種は旬の時期に栽培された国産のものを試料とした。通常の切り方は,家庭調理を前提とし,大学の調理実習で実施している方法とした。エコ・クッキングでは,可食部分を出来る限り生かし,ヘタや根,種を除き,丸ごと皮ごと使用することとした。これにより,45種の野菜で可食部分が増加し,平均して9.1%の廃棄率削減効果が認められた。中でも,廃棄率の削減効果が高かったものに,カブ(葉つき)33.1%,セロリー32.1%,フキ27.7%,長ネギ26.2%,ブロッコリー23.3%があげられた。ただし,いずれの野菜も料理によっては可食部全てを使うことが望ましいわけではないため,皮や固い部分はみじん切りにしたり,すりおろしたり,もしくは部位ごとに使い分け加熱操作を加える方法などの調理の工夫で上手に活用することが望ましい。
  • 大家 千恵子, 武政 育恵, 船木 絵美子, 津田 淑江
    2012 年 45 巻 3 号 p. 209-214
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
     大学生と高校生に対し,環境に配慮した食生活行動についての質問紙調査を行い,その結果を因子分析した。質問内容は,環境に配慮した食生活における行動を聞いた。第1因子では,生産配慮であった。第2因子は,廃棄配慮であった。第3因子は,調理配慮とした。第4因子は,輸送配慮とした。
     さらに,生産配慮では高校生の方が有意に高い得点を示し,調理配慮では大学生の方が有意に高い得点を示した。環境への負荷を削減するために,学生が食生活におけるCO2排出量の削減に関心を持つことが必要である。食生活からのCO2排出量削減の教育が必要である。
  • 根立 恵子, 石井 幸江, 米田 泰子, 由比 ヨシ子
    2012 年 45 巻 3 号 p. 215-222
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/02/28
    ジャーナル フリー
     食生活管理者を目指している女子大学生224名を対象として,魚類や肉類の利用状況と,食経験や居住環境がその利用状況にどのように影響するかを調べた。
     育った環境が海から離れていても,新鮮な魚類を食べて育つという食経験が,魚類に対する嗜好を高めていた。調理技術の伝承は家庭が多くの役割を担い,魚料理では53.6%,肉料理は62.9%の学生が母・祖母から伝承されていた。学校教育の関与も見られ,魚料理は27.7%,肉料理は18.8%の学生が学校からと答えた。
     魚類や肉類の摂取頻度に居住形態が影響し,1人暮らしの学生は豚肉と鶏肉を多く食べる傾向にあった。自宅生は比較的魚類,牛肉の利用が多かった。居住形態によって使われる調理操作も多少異なり,自宅生は魚類では生,牛肉では焼く,鶏肉では揚げる操作を比較的多く使っていた。1人暮らしの学生は魚類,肉類ともにフライパンがあれば調理が可能なソテーを多く使い,揚げる操作の利用は少なかった。
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