日本調理科学会誌
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46 巻, 2 号
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平成24年度日本調理科学会学会賞受賞記念論文
平成24年度日本調理科学会奨励賞受賞記念論文
報文
  • 近堂 知子, 平尾 和子, 高橋 節子
    2013 年 46 巻 2 号 p. 93-99
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/18
    ジャーナル フリー
     サゴ澱粉の加工食品への利用拡大を図る目的で,中華麺への利用効果について小麦粉の一部をサゴ澱粉に置換した場合,またサゴ澱粉を麺の打ち粉にした場合の効果について検討した。その結果,茹でた中華麺の生地は澱粉の置換量を増すとともに軟らかく,伸びやすい生地となる傾向を示した。またサゴ澱粉置換生地は馬鈴薯澱粉置換に比べて硬さがあり,よく伸びる生地であった。サゴ澱粉を小麦粉に置換することにより,茹で汁中への溶出固形物量の低下が明らかに認められた。打ち粉としてのサゴ澱粉の効果を溶出固形物量からみたところ,馬鈴薯澱粉との差は認められず,その効果は確認できなかった。官能評価から,小麦粉に対してサゴ澱粉を10%および20%置換した中華麺はコントロール(澱粉置換率0%)と比較して透明度があり,べたつきが少なく,嗜好においては有意に好まれ中華麺としての利用が可能と考えられた。
ノート
  • 高橋 節子, 近堂 知子, 平尾 和子
    2013 年 46 巻 2 号 p. 100-106
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/18
    ジャーナル フリー
     生米粉および α化もち米粉の和菓子用米粉7種の特性は,ラピッドビスコアナライザーによる加熱・冷却時の粘度および糊液のテクスチャー測定より求め,ショ糖添加の場合と比較した。また練りきり,ういろう生地の調製法の違いが物性に及ぼす影響についても検討した。その結果,白玉粉ともち粉,上新粉と上用粉はそれぞれ近似の粘度および糊液のテクスチャーを示した。白玉粉の粘度は上新粉に比べて低いが,最高粘度を示す温度は75℃と上新粉よりも低く,低温で糊化しやすいことを示した。α化もち米粉の上南粉は白玉粉,もち粉に近似のテクスチャーを示し,寒梅粉は粘度が低く,軟らかい糊液であった。練りきりは練りあんにぎゅうひを加えることにより,硬さ,凝集性が大となり成形性を増し,保型性を高める効果を示した。ういろう生地は,熱いうちに混捏したものが,また副材料は小麦澱粉に比べてくず澱粉を使用したものが,破断応力,破断エネルギーはともに大きい値を示し,こしのある生地が得られた。
  • 岸本 律子, 長谷川 悦子, 中嶋 加代子, 森 光寿, 地上 博子
    2013 年 46 巻 2 号 p. 107-113
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/18
    ジャーナル フリー
     紫黒米混合飯(混合飯)の色調と物性に及ぼす有機酸の影響について検討した。白米ヒノヒカリ(H-rice)と紫黒米むらさきの舞(M-rice,搗精歩留まり90%,同95%,玄米)を重量比9:1の割合で混合し,炊飯溶液に0.2M有機酸(酢酸,乳酸,コハク酸,リンゴ酸またはクエン酸)を添加して混合飯を調製した。混合飯のL*値は低下し,むらさきの舞の搗精歩留まりが高いものほど低下した。a*値は添加した有機酸のpHが低くなるに従い,同じ有機酸ではM-riceの搗精歩留まりが高くなるに従い上昇した。H-riceおよびM-riceの飯粒の破断応力は,すべての有機酸において,蒸留水よりも顕著に低下した。白飯(H-riceのみ)および混合飯のかたさ応力はリンゴ酸およびクエン酸添加で,蒸留水よりも顕著に低下し,凝集性および付着性はすべての有機酸で上昇した。以上の結果から,0.2M有機酸添加は混合飯の色調および物性を改善する効果があると考えられる。
  • 島田 玲子, 山口 真希, 木村 靖子, 川嶋 かほる
    2013 年 46 巻 2 号 p. 114-120
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/18
    ジャーナル フリー
     家庭内における味覚嗜好の伝承の実態を把握するため,4種に味付けしたひじき煮を用いて家族の嗜好の類似性を調査すると同時に,調査票による食生活調査を行った。69家族,277名の回答を検討した結果,おいしいと感じるひじき煮の親子間の一致率は,他人同士よりも高かったが,約半数の家庭では味覚嗜好が伝承していないことが判明した。嗜好の一致は,父子間,母子間ともに認められたが,母子間により強く認められた。三世帯同居家族内の親子の一致率は核家族内の一致率より低く,三世代同居家族の方が味覚嗜好が伝承しやすいとはいえないことが分かった。また,味覚嗜好が一致している親子と一致してない親子の食生活調査の結果を比較したところ,一致していない親子の方が市販の惣菜類への評価が高く,家庭外の味への慣れが,嗜好の伝承に負の影響を与えている可能性が示唆された。その他,味覚嗜好の自己評価や好きな食品などには,一致親子と不一致親子に差は見られなかった。
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