日本調理科学会誌
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46 巻, 4 号
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総説
報文
  • 伊藤 聖子, 木川 梨沙, 新井 映子
    2013 年 46 巻 4 号 p. 254-261
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/18
    ジャーナル フリー
     澱粉を主成分とするジャガイモ,サツマイモ,サトイモ及びナガイモは,米粉パンの米粉と容易に置換が可能である。本研究では,これらイモ類の粉末置換が米粉パンの老化に及ぼす影響について検討した。サツマイモ,サトイモ及びナガイモ粉末で置換した米粉パンの比容積は,いずれもコントロール(100%米粉)と差は認められなかった。しかし,ジャガイモ粉末は置換率の増加とともにパンの比容積が顕著に減少した。サツマイモ粉末で置換した場合,焼成3日後のクラムの硬さは,コントロールと比較して顕著にやわらかいことが明らかとなった。サツマイモ粉末中には耐熱性のβ-アミラーゼが含まれ,パンの焼成中に米澱粉を分解し,大量のマルトースを生成することが示された。また,サツマイモ粉末で置換したパンのクラムには,マルトースが顕著に検出された。これより,サツマイモ粉末中のβ-アミラーゼによって生成したマルトースが澱粉の再結晶を阻害し,米粉パンの老化を抑制したと考えられた。
  • 河東 ちひろ, 大石 恭子, 香西 みどり
    2013 年 46 巻 4 号 p. 262-270
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/18
    ジャーナル フリー
     炊飯途中で加熱が中断されたり,保温キーを押して炊飯した場合などに「めっこ飯」と呼ばれる炊き損じ飯ができる。本研究では米の浸漬処理と飯の物性との関係について明らかすることを目的とした。
     日本晴の精白米を,20°C~90°Cで0~12時間浸漬処理を行った。65°Cで4時間浸漬した米は,粒の腹割れが生じた。粒内での水分の分布を見ると,米粒表層の水分が少なく,内部に水が入り込んでいることが確認された。65°Cから90°Cで浸漬後に炊飯した飯は,対照飯に比べると表層の粘りや付着性が低かった。官能評価においては粒内の不均一性が挙げられ,食味が劣った。同様の傾向は古米,インディカ米でも認められた。
ノート
  • 山内 彩子, 大久 長範
    2013 年 46 巻 4 号 p. 271-274
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/18
    ジャーナル フリー
     一般的な方法で作られた餅や団子は,米粉ゲル中のデンプンの老化のため硬化が起こり,食べられる期間が2,3日に制限される。そのため,この老化作用を遅延する方法を研究した。通常の米粉40%(w/w)ゲルは2日程度で硬くなる。しかし,低アミロース米である「淡雪こまち」の米粉ゲルにトレハロースやマルトース等の糖類を添加したものは硬化が遅延される傾向があった。「淡雪こまち」や「ゆきむすび」の米粉(25%, w/w),マルトース(25%,w/w),水(50%,w/w)の配合で調製した米粉ゲルは,従来の方法で調製した米粉24%(w/w)ゲルにマルトース28.6%(w/w)を添加したものと比較して9日後でも軟らかさを維持した。米粉ゲルの新しい調製法は賞味期限を延長するという点で餅の製造に使用できる可能性がある。
  • 土屋 京子, 島村 綾, 成田 亮子, 加藤 和子, 峯木 眞知子, 長尾 慶子
    2013 年 46 巻 4 号 p. 275-280
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/18
    ジャーナル フリー
     揚げもののおいしさは軽く揚がった衣の食感にある。通常,揚げ衣は小麦粉,卵,パン粉が使われる。そこで,小麦粉と水の基準衣に重曹,乾燥卵白,マヨネーズ,酒,卵殻粉を添加し,揚げ衣の食感にどのような影響を及ぼすかを検討した。また,揚げ油(サラダ油)にラードを混合した場合,揚げ衣にどのような影響を及ぼすかも検討した。出来上がった試料は,加熱後重量比,離液率,官能評価,色差,圧縮試験で測定した。すべての試料について,基準の試料より同程度あるいはそれ以上の良い評価が得られた。
資料
  • 内山 裕美子, 築舘 香澄, 加藤 みゆき, 山口 優一, 陳 栄剛, 大森 正司
    2013 年 46 巻 4 号 p. 281-286
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/18
    ジャーナル フリー
     茶の淹れ方による味の変化については,今までにも多数報告されている。今回は,味覚センサーを用いて茶の味を測定し,淹れ方の違いによる茶の味の評価を行った。
     茶の淹れ方において煎じ回数,浸出時間,茶葉量の違いにおいては,それらの変動とともにアミノ酸,カテキン含量も変化し,また,味覚センサーによる測定値である味強度も同様に変化した。
     浸出温度の違いによるうま味強度と渋味強度の変化については,渋味強度は同じ茶葉を5°C,40°C,100°Cと順次温度を変えて反復浸出しても,また,5°C,40°C,100°Cで浸出する際に新しい茶葉を用いて浸出しても,温度とともに増加傾向として示された。しかしながらうま味強度においては,同一茶葉を用いて反復浸出した場合には,5°Cで浸出した場合に比べ,40°Cで浸出した場合には減少し,以後,熱湯で浸出しても,うま味強度に変動は認められなかった。
  • 大久 長範, 鈴木 直樹, 斎藤 毅, 畑中 和成, 佐々木 準哉, 西川 正純
    2013 年 46 巻 4 号 p. 287-291
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/18
    ジャーナル フリー
     高電圧マイナスイオン発生器を油フライヤーに使用したときの油の酸化劣化を評価した。500nmにおける吸光度,トランス脂肪酸の生成は高電圧マイナスイオン発生器を作動させると進行が抑制された。食パンの揚げ試験において,対照に比べ高電圧マイナスイオン発生器の使用では有意に水分含量の低下が認められた。高電圧マイナスイオン発生器の使用により14種の油臭成分が半減することが示された。高電圧マイナスイオン発生器を作動させると槽内の温度が速やかに低下する傾向があり,槽内の油の流動が高まっていると考えられた。
  • 金 一玲, 吉居 尚美, 岩城 啓子
    2013 年 46 巻 4 号 p. 292-298
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/18
    ジャーナル フリー
     奈良県大淀町で独特な製法で作られてきた日干番茶の嗜好特性と抗酸化活性について,官能評価および機器測定を行い,煎茶とほうじ茶と比べた。日干番茶のかおりは,機器測定では硫化水素,有機酸とアルデヒド系との類似性が高く,臭気指数も煎茶とほうじ茶に比べて有意に高かった(p<0.01)。官能評価では,おだやかでパンチがないと評価された。日干番茶の味は,機器測定では旨味と渋味は低く,苦味は高かったが,官能評価では旨味と甘味が強く,渋味が弱いと評価された。茶浸出液の官能評価では渋味の強さが,甘味と旨味を弱め苦味を強めることが示唆された。日干番茶の抗酸化活性は,煎茶のおよそ1/2であった。
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