日本調理科学会誌
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46 巻, 6 号
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総説
報文
  • 大石 恭子, 河東 ちひろ, 香西 みどり
    2013 年 46 巻 6 号 p. 363-371
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/14
    ジャーナル フリー
     65°C以上で4時間以上の温水浸漬が,米澱粉の糊化特性に与える影響について調べた。浸漬米における糊化度は浸漬温度の上昇に伴い増加したが,浸漬炊飯米では,いずれの温度においても違いは認められなかった。X線回折図においても,浸漬処理に因る澱粉の特異的な変化は認められなかった。一方で,65°C浸漬においては米から浸漬液に低分子の糖が溶出することが示された。そして20°C浸漬に比べると65°C浸漬の米粉糊液の粘度が低下し,このような糊液の違いは,澱粉浸漬では認められなかった。
     これらのことから,温水浸漬米を再炊飯した飯の粘りや付着性の低下は,長時間の浸漬中に酵素が活性化し,澱粉が低分子化したことが一因であると考えられた。
  • 古都 丞美, 米蔵 碧, 鈴木 麻希, 淺井 智子, 杉山 寿美
    2013 年 46 巻 6 号 p. 372-380
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/14
    ジャーナル フリー
     食肉の結合組織を構成するコラーゲンの量とその構造は食肉のテクスチャーを決定する最も大きな要因である。しかし,実際の調理過程におけるコラーゲンの構造変化とテクスチャーの関係についての報告は少なく,食肉の加熱過程におけるコラーゲンの構造変化とテクスチャーの関係は明らかではない。本研究では,鶏手羽元を試料とし,ホテルパンあるいは真空パックを用いたクックチルシステムにおいて,一次加熱および二次加熱過程でのコラーゲンの量と構造変化を把握し,テクスチャー等に及ぼす影響を評価した。
     その結果, 真空パックを用いて加熱した鶏手羽元の肉部分は,ホテルパンを用いて加熱した場合と比較して,二次加熱後の試料でも総コラーゲン量,ISC量が多く,脂肪量,水分量も多かった。官能評価の結果においても,真空パックを用いた鶏手羽元は多汁性,弾力性があるとされ,一次加熱よりも二次加熱を行った試料で総合評価が高かった。 これは,真空パックでの加熱は調味液が少ないために,収縮したコラーゲンの構造弛緩が抑制され,コラーゲン量が高く維持されたためと推察された。
ノート
  • 柴田 圭子, 小林 泰行, 渡辺 毅彦, 安原 安代
    2013 年 46 巻 6 号 p. 381-388
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/14
    ジャーナル フリー
     本研究は,乳酸カリウム(PL)の官能特性を評価し,グルタミン酸ナトリウム(MSG)および食塩(NaCl)と組み合わせたすまし汁モデルにおいてPLの添加効果を検討した。PLの呈味の特性描写は,熟練パネル(13~15人)によりSD法を用いて行った。また,すまし汁モデルの呈味特性に対するPL添加の影響は, Scehfféの一対比較を用い,同じパネルにより行った。
     0.4~0.8%のPL溶液は乳酸ナトリウムと比べて若干苦味をもつが,塩味が弱わく穏やかな味であった。1%未満の比較的低濃度域において,それら乳酸塩の呈味特性は,温度によって影響を受けることが認められた。五基本味との組み合わせでは,酢酸溶液の酸味を除き,PLは基本味固有の味を抑制する効果を持っていた。0.6%の食塩を含むすまし汁モデルの実験では,PLの濃度が増加するに従い,塩味や酸味が弱まり,味のバランスが良くなり,味の質が快く受容性が向上した。これらの結果より,PLは味のバランスを取り,快い味にする役割をもつ傾向が認められた。
資料
  • 後藤 月江, 松下 純子, 金丸 芳, 遠藤 千鶴, 長尾 久美子, 有内 尚子, 高橋 啓子
    2013 年 46 巻 6 号 p. 389-394
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/14
    ジャーナル フリー
     日本調理科学会特別研究として,平成21年~22年に「行事食・儀礼食」について調査を行った。その結果より徳島県に10年以上在住の人を対象に,通過儀礼について,年代を30歳未満,30歳~50歳未満,50歳以上の3区分に分けて,現状を比較検討した。
     通過儀礼の「誕生日」と「七五三」は認知と経験共にどの年代区分においても高く,定着している。「誕生日」にケーキを食す割合はどの年代区分もかなり高く,一般化している。「長寿」の認知は高いが,30歳未満の経験率は低かった。「厄払い」の認知と経験,それに伴う料理の喫食率はどの年代においても低かった。
     30歳未満の経験率は全ての儀礼で低く,経験していても覚えていない場合や未経験の儀礼が多いことが考えられた。
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