日本調理科学会誌
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48 巻, 3 号
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総説
報文
  • 山内 知子, 山本 淳子, 小出 あつみ, 間宮 貴代子, 阪野 朋子
    2015 年 48 巻 3 号 p. 180-186
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/06
    ジャーナル フリー
     アナアオサは緑藻の一種であり,ビタミン,ミネラル,抗酸化物質を多く含んでいるが,日常食として有効に利用されていない。本研究では,アナアオサの有効な食品利用法として,身近な加工品である食パンに凍結乾燥アオサ粉を置換(強力粉に対して1 wt%・2 wt%・3 wt%)したパンを作成し,アオサ粉置換量がパンの抗酸化性,力学的物性および嗜好性に与える影響について検討した。DPPHラジカル捕捉活性能は1%以上のアオサ粉置換で有意(p<0.05)に増加した。比容積は2%以上のアオサ粉置換で有意に低下し,膨化が阻害された。テクスチャーは,置換量の増加に伴いかたさ荷重が大きくなり,凝集性は低下した。走査電子顕微鏡による観察では,アオサ粉置換量の増加に伴い,網目構造の形成が阻害され,気孔が不均一になっていた。官能評価は採点法,順位法共に,1%パンが最も総合評価が良く,2%以上の置換は嗜好的に有意に好まれなかった。日常的に食すパンにアオサを置換することで,抗酸化成分が摂取でき,アナアオサは機能性パンを作成する有効な食素材であることが示唆された。
ノート
  • 中嶋 名菜, 坂田 春菜, 北野 直子, 松添 直隆, 白土 英樹
    2015 年 48 巻 3 号 p. 187-192
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/06
    ジャーナル フリー
     本研究では調味液添加時の真空調理の特性をとらえるために,1%の調味液を添加したときのテクスチャーおよびビタミンCについて,ジャガイモを用いて検討した。調理法は通常調理(水煮)または真空調理で行い,調味液は無添加(水のみ),1%食塩水,1%砂糖水で比較した。
     その結果,硬さについては通常調理では調味液間の差が認められなかった。一方,真空調理では1%食塩水が最も硬く,次いで無添加,1%砂糖水の順であり,1%食塩水,1%砂糖水間で有意な差が認められた(p<0.05)。付着性は食塩添加により,通常調理に比べ真空調理において有意に高値を示した(p<0.01)。
     ビタミンC量は無添加,1%食塩水,1%砂糖水の40分間加熱において真空調理が通常調理よりも有意に高かった(p<0.05)。
     これらのことから,40分間加熱において真空調理は通常調理に比べ1%調味液添加(食塩,砂糖)の有無に関わらずビタミンCを食品中に保持すること,真空調理では長時間の加熱(40分間)において1%食塩水が1%砂糖水に比し有意に硬くなることが確認された。
資料
  • 坂本 薫, 森井 沙衣子, 上田 眞理子
    2015 年 48 巻 3 号 p. 193-199
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/06
    ジャーナル フリー
     温水浸漬と低温浸漬が米の吸水率に与える影響について,浸漬水中の固形分を考慮して経時的に検討した。5~50°Cの温度で5~240分間米を浸漬し,米の吸水率を測定したところ,温水浸漬と低温浸漬では,吸水曲線が交差する現象が観察され,平衡状態まで吸水させた場合では,温水浸漬よりも低温浸漬の米の吸水率が高かった。浸漬水中の固形分の量を経時的に測定したところ,40°C,50°Cの温水浸漬では固形分は多く浸漬液中に懸濁していた。そこで固形分を加えた補正吸水率を算出したが,吸水曲線が交差する現象が同様に観察され,平衡状態では温水浸漬よりも低温浸漬の米の吸水率が高かった。
  • 木村 安美, 寺本 あい, 治部 祐里, 田淵 真愉美, 桒田 寛子, 渕上 倫子
    2015 年 48 巻 3 号 p. 200-206
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/06
    ジャーナル フリー
     日本人の魚介類摂取量は大きく減少し,魚介類の食文化や郷土料理は今後失われていく可能性があると考えられる。本研究では,岡山県における魚介類や郷土料理の喫食状況を把握と,南部・北部における魚介類の喫食状況の比較を行った。日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学―魚介類の調理―」により得られたデータを全国,中国・四国,岡山県の3つに分類して比較を行った。岡山県での特色のある魚介類として,サワラ,シタビラメ,アミ,イイダコ,サッパが挙げられる。1人当たりのサワラ料理の数は全国0.45,中国・四国0.60に比較し,岡山県が1.57と圧倒的に高い割合を示した。サワラの調理法では,全国,中国・四国ではほとんどが焼き物で食べられているが,岡山県では生ものや煮物が多く,地域間に有意差が認められた(P<0.01)。岡山県の特色ある郷土料理を次の世代に継承することが必要と考えられる。
  • 平島 円, 磯部 由香, 堀 光代
    2015 年 48 巻 3 号 p. 207-215
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/06
    ジャーナル フリー
     2007年から2012年の4月に大学,短大および専門学校の新入生に対して調理に対する意識について調べるためにアンケート調査を行った。対象者は合計1,611名で,18~20歳だった。性別は男性18.5%,女性81.5%だった。アンケート調査の結果より,彼らの調理頻度は低かったが,調理することが好きで,調理する機会を増やしたいと思っていることがわかった。また,対象者をアンケート項目により分類し,分析を行ったところ,毎日調理をする学生は,下宿生では55%以上だったが,自宅生ではわずか5%だった。さらに,毎日調理をする多くの学生は,ほとんど調理をしない学生と比べて調理をすることが好きだった。また,調理頻度が高く,調理経験の多い学生はほとんど調理をしない学生よりも得意料理を持っている割合の高いことがわかった。したがって,日常的に調理することは,調理をすることが好きになり,得意料理を持つことにつながるとわかった。
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