日本調理科学会誌
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48 巻, 5 号
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総説
報文
  • 高橋 智子, 河村 彩乃, 大越 ひろ
    2015 年 48 巻 5 号 p. 342-350
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/05
    ジャーナル フリー
     本研究では,食パン,およびミルク溶液の一部をサラダ油に置換した液状食品を材料としたゲル状パン粥を基本パン粥とし,加えて,基本パン粥試料の表面にとろみ(粘稠液状食品)を付加した試料を用い,ゲル状パン粥にとろみを付加することがヒトの嚥下状態にどのように影響するかを検討した。テクスチャー特性の硬さは品温20℃パン粥試料が45℃試料に比べ,有意に硬いことが認められた。官能評価より,品温20℃でとろみを付加したパン粥試料は,とろみを付加しないものに比べ,口中でべたつかず食べやすいと評価された。試料品温20℃の嚥下直前の食塊の硬さは,口中で食塊形成中に顕著に軟らかくなることが示され,嚥下直前の食塊のテクスチャー特性の試料間の差は小さいものとなった。表面にとろみを付加した45℃試料は20℃基本パン粥試料に比べ,嚥下時筋活動時間が短くなることが示された。
ノート
  • 伊藤 有紀, 福留 奈美, 香西 みどり
    2015 年 48 巻 5 号 p. 351-358
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/05
    ジャーナル フリー
     一汁三菜の食事に適した食器や盛り付けの要点を調理初心者に示すことを想定し,好ましい食器の組み合わせの数値的な指標を明らかにすることを目的とした。まず,もっとも影響が大きいと考えられる飯碗・汁椀以外の食器の大きさについて調べた。飯碗・汁椀の面積(=大きさ)を1.0としたときの三菜(主菜,副菜,副副菜)の大きさ比を種々に変化させて組み合わせた10通りの写真を作成した。料理を盛り付けた状態で女子大学生に好ましさを評価させたところ,主菜2.5:副菜1.5:副副菜1.0の食器の大きさ比がもっとも評価が高く,これを食器の大きさの基準とした。次に,大きさが同一のときの形の影響を調べるためコンジョイント分析を行なった。基準の大きさ比で三菜の食器の形の組み合わせを変えた8通りの写真の好ましさを調理実習指導経験者に評価させたところ,主菜の食器が縦1:横1.6(楕円や長方形)で,副菜の食器が縦1:横1(正円形や正方形)の組み合わせが好まれた。
資料
  • 上野山 あつこ, 畦西 克己, 吉村 美紀
    2015 年 48 巻 5 号 p. 359-366
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/05
    ジャーナル フリー
     大豆のテクスチャーに及ぼす加熱方法の違いと市販酵素の影響を検討した。普通鍋で酵素未処理の試料(NA),酵素処理試料(NB)を60分間加熱した試料,圧力鍋で酵素未処理試料(PA),酵素処理試料(PB)を3分間加圧した試料を準備した。重量測定,物性測定,タンパク質測定によって大豆の物理的・生化学的特性を評価した。咀嚼性は筋電位測定によって測定し,嗜好性においては官能評価を行った。
     結果から,重量と凝集性は,NA,NBと比較し,PAとPBの大豆で高い割合で増加した。また,PA,PBは貫入応力が低く,咀嚼時間が低値を示し,官能評価において好まれた。さらにNB,PBは,咀嚼時間,咀嚼回数が低値を示し,官能評価において軟らかく,かみやすいと評価された。これらの結果から,大豆を酵素液に浸漬し,圧力鍋で調理することで,短時間で軟らかく,まとまりやすく,食べやすい大豆となることが示唆された。
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