日本調理科学会誌
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50 巻, 5 号
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総説
報文
  • 郡山 貴子, 飯島 久美子, 小西 史子, 佐藤 瑶子, 香西 みどり
    2017 年 50 巻 5 号 p. 174-181
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー
     多収穫を特徴とするムクナ属マメは,L-DOPAを乾燥種子中に3-9%と多く含有するため,食品としての利用は限られている。ムクナ豆の利用として味噌に着目し,種々の条件の組み合わせによる4種類:米麹辛口,米麹甘口,麦麹甘口,および米麹甘味噌を調製し,発酵中の外観及び成分変化を測定した。比較のため同じく4種類の大豆味噌を調製した。pH,酸度Ⅰ・Ⅱ,たんぱく質溶解度,および色測の値より,ムクナ豆味噌はいずれの種類においても大豆味噌と同様な熟成過程を経て味噌になった。ムクナ豆味噌のL-DOPA量は仕込み直後には味噌湿重量 100 g中 0.14-0.26 g残存していたが,発酵開始後は直線的に低下し,味噌完成時には検出されなくなった。官能評価の結果,ムクナ豆味噌の総合評価は大豆味噌に比べて高い傾向を示し,中でも米麹を用いた甘口味噌の評価が高い傾向がみられた。ムクナ豆米麹甘口味噌の抗酸化能は大豆米麹甘口味噌よりも有意に高く,DPPH法では1.7倍,ORAC法では4.5倍高値を示した。これらのことより,ムクナ豆を主原料とした味噌は発酵過程でL-DOPAが消失し,嗜好性が良好で,抗酸化能にも優れることが示された。
ノート
  • 堀江 秀樹, 江間 かおり, 角川 修
    2017 年 50 巻 5 号 p. 182-188
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー
     茶道用の抹茶以外に,「抹茶」と表示された粉末状の茶が食品産業や料理用に流通しており,本報ではこれらを業務用抹茶と記載する。さらには,抹茶とは表示されていない粉末緑茶も市販されている。しかしながら,これら粉末状の茶については品質に関する情報が乏しい。
     そこで,本研究においては,これらの粉末状の緑茶について化学成分を比較した。まず,抹茶原料であるてん茶について,品質の異なるものを10 種類収集し化学分析した。分析結果に基づき,市販の抹茶や粉末緑茶のテアニン,クロロフィルa(Chl-a)の含量,エピガロカテキンガレート/エピガロカテキン(EGCG/EGC)の重量比について比較した。茶道用抹茶のテアニン含量およびEGCG/EGC比は,それぞれ乾物100 g当たり1.8 gおよび3.2以上であった。業務用抹茶と粉末緑茶の大部分ではより低い値を示した。しかしながら,これらのパラメータだけでは加工用抹茶と粉末緑茶の判別はできなかった。茶道用抹茶のChl-a含量は250 mg/100 g乾物重以上であった。玉露粉以外の粉末緑茶試料では,茶道用や業務用の抹茶よりもChl-a含量が低かった。
資料
  • 田中 紀子, 片寄 眞木子, 坂本 薫, 升井 洋至, 原 知子, 本多 佐知子, 富永 しのぶ
    2017 年 50 巻 5 号 p. 189-197
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/20
    ジャーナル フリー
     日本調理科学会の特別研究の全国調査(平成21~23年)において実施した17の年中行事の調査から兵庫県のデータを抽出し,行事の認知と経験に有効回答した対象者が一致するようデータを整備した。行事の認知・経験及び行事食の喫食経験について学生・親・祖父母の3世代の比較を通して伝承の様子を調べた。その結果,3世代とも100%に近い人が認知し経験しているのは雑煮やそば,ケーキ,巻きずしなど決まった行事食がある正月,大晦日,クリスマス,節分の4行事であり,行事食の喫食経験が高い場合,行事の経験は高いことがわかった。一方,認知されても経験が低くなる行事のうち学生世代で差が大きくなるのは,お月見,人日,端午,春分,冬至,秋分であり,特に仏事の春分,秋分は今後学生に伝承されなくなる可能性がある。認知も経験も低いのは秋祭り,春祭り,重陽である。重陽はすでに学生世代に伝承されていないが,秋祭り,春祭りの経験は学生でも1割程度であり廃れるのも時間の問題かもしれない。
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