カウンセリング研究
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43 巻, 4 号
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ケース報告
  • 荒木 史代
    2010 年 43 巻 4 号 p. 257-266
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/12/14
    ジャーナル 認証あり
    本論文では,公立定時制単位制高等学校での女子生徒とのスクールカウンセリング過程について報告した。前籍校を中途退学後単位制高校に入学した女子生徒は,「やる気がでない」という主訴により,自傷行為もみられたことから,養護教諭の勧めでスクールカウンセラーのもとに来談した。進路意識も明確であったことから,心理面の不安定さを支えること,また,進路決定と単位取得を目標に,約1年半にわたり計27回のカウンセリングを実施した。その結果,親との自立と依存といった自我発達上の葛藤を抱え,交友関係のトラブルといったライフイベントを経験しながらも,高校卒業,大学合格が決定し,その後女子生徒の心理面が安定した。本事例報告より,単位制高校に配置されたスクールカウンセラーの役割として,教育機関であり健康集団の生活の場である本来の学校の機能を生かしつつ,①高校生が不登校や中途退学といった不適応状態に再び陥らないこと,②進路決定などの青年期の発達課題が達成できることを目的に,青年期の自我発達の葛藤に向き合っていくことが示唆された。
  • 内藤 暢彦, 井上 清子
    2010 年 43 巻 4 号 p. 267-277
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/12/14
    ジャーナル 認証あり
    本研究の目的は、小学校における広汎性発達障害児に対するコラージュ療法の適用の可能性を探ることである。広汎性発達障害と診断されている児童2名に対して、月1回、1回45分、計5回、通級教室において個別にコラージュ療法を施行した。2事例のコラージュ作品とその制作の様子を提示し、各回のコラージュの特徴と制作前後の気分変化とその要因について検討した。広汎性発達障害児も健常者・児と同様に、コラージュ療法の安全性と回避性、分散と統一、心理的退行、自己表現と美意識の満足、ラポール・相互作用・コミュニケーションの媒介などの要因が働き、気分の改善がおこりうることと考えられた。特に自己表現と美意識の満足によって、達成感や自己肯定が得られることは重要であると思われた。さらに、コラージュ作品は、広汎性発達障害児の状態や心理的理解のための、面接での補助的要素やアセスメント材料としての有効性が感じられた。施行が簡便で非言語的な表現を主とするコラージュ療法は、教育現場において教師にも使える広汎性発達障害児のアセスメントの補助的素材として、あるいは情動の安定を促すための支援の方法のひとつとなりうるのではないかと思われた。
  • ―A中学校における実践事例を通して―
    瀬戸 美奈子, 石隈 利紀
    2010 年 43 巻 4 号 p. 278-286
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/12/14
    ジャーナル 認証あり
    本研究は中学校におけるスクールカウンセラーの実践をもとに,システムレベルのコーディネーション行動が援助システム活性化にどのような影響を与えるかについて検討することを目的とした。その結果,コーディネーターのコーディネーション行動によって,①コミュニケーション,②援助資源の活用,③援助サービスの提供,④援助サービスに関する組織運営の改善が促進されることが示唆された。また援助システム活性化のためには,①コーディネーターチームでの役割分担と話し合いの機会の設定,②教育相談担当の職務内容の明確化,③スクールカウンセラーに対する組織へのコンサルテーション研修の実施が必要という提言を行った。
  • 沢宮 容子, 田上 不二夫
    2010 年 43 巻 4 号 p. 287-295
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/12/14
    ジャーナル 認証あり
    本研究は,不眠を訴える33歳の女性に認知行動療法を適用し,その有効性について検討することを目的としている,報告者はカウンセラーとして本事例にかかわった。初回面接によって得られた情報をもとに,睡眠衛生指導,睡眠スケジュール法,リラクゼーション法,認知再構成法の実施など援助方針が立てられた。カウンセリングは,2か月間にわたって5回のセッションにより行われた。その結果,女性の不眠の訴えは解消されたことが確認された。
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