カウンセリング研究
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47 巻 , 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著
  • 千島 雄太
    2014 年 47 巻 4 号 p. 185-195
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/10/04
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,第1に,大学生が自己変容をどのように捉えているかを明らかにすること,第2に,自己変容の捉え方と自己変容の実現や心理的適応との関連を明らかにすることであった。大学生71名(男性23名,女性47名,不明1名;平均年齢19.30歳,SD=0.82)を対象に,自己変容の捉え方に関して自由記述形式の予備調査を行った。記述を分類した結果,4カテゴリーが得られ,先行研究で指摘されていた内容を含めて項目を作成した。続いて,大学生400名(男性156名,女性242名,不明2名;平均年齢20.35歳,SD=2.12)を対象に本調査を行った。その結果,自己変容の捉え方は因子分析によって,[不安・葛藤][期待][困難][両価的評価][他力]に実証的に分類された。次に,独立変数を自己変容の捉え方,従属変数を自己変容の実現,自尊感情,時間的展望とした重回帰分析を行った。その結果,[不安・葛藤]と[困難]が,自己変容の実現や自尊感情,希望,現在の充実感と負の関連が示された。これらの結果を踏まえて,変われずに悩む大学生への支援の方向性が議論された。
  • 藤原 和政, 河村 茂雄
    2014 年 47 巻 4 号 p. 196-203
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/10/04
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,高校生の学校適応とスクール・モラールの関連について,学校タイプごとに生徒の学校適応の促進を目的とした援助について検討することであった。高校生2,519名を対象に,調査対象校を「進学校」「進路多様校」「非進学校」に分類した上で分析を行った。まず,多変量分散分析の結果から,「進学校」では学習意欲が,「進路多様校」では学級との関係が,「非進学校」では教師との関係が,他の学校タイプよりも有意に得点が高いことが明らかになった。そして,学校生活満足度尺度と学校生活意欲尺度との偏相関分析の結果,「進学校」では友人との関係,学習意欲,進路意識が,「進路多様校」では学級との関係が,「非進学校」では教師との関係が,承認感と最も関連していた。被侵害・不適応感とは,すべての学校タイプにおいて,友人との関係と学級との関係が関連していることが明らかになった。これらの結果から,「進学校」「進路多様校」「非進学校」ごとに,学校適応の促進を目的とした援助方針は異なることが示された。
  • 大塚 明子, 佐藤 有佳, 米山 淑子, 志岐 奈央子, 楠木 麻衣子
    2014 年 47 巻 4 号 p. 204-213
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/10/04
    ジャーナル フリー
    本研究では,東日本大震災後の2011年4月末~5月末にかけて,一民間病院が結成したチームに参加し,一般ボランティアとして岩手県大船渡市で支援活動(おもに避難所におけるこころのケア,炊き出しなど)を行った人(n=101)を対象に,支援活動が支援者に及ぼした心理的影響を明らかにすることを目的として質問紙調査を行った。結果,「共感性満足・バーンアウト・共感性疲労/二次的トラウマ」を評価するProQOLではハイリスク者はおらず,心的外傷後ストレス障害の主要な症状である「再体験・回避・覚醒亢進」を測定するIES-Rでハイリスク者として評価されたのは8名で,ほとんどの参加者に二次的トラウマ反応は認められなかった。一方,外傷後の成長の程度を測定するPTGI-Jでは,人間的な成長を遂げるというポジティブな心理的特長が認められることが示された。これらの結果をもたらした要因としては,チーム体制で臨んだことのほか,事前の心理教育がネガティブな影響を緩和するとともに,「チームの連携」「家族からの応援」および「個別対応」や「レクリエーション」などの活動内容がポジティブな変化をもたらすことに寄与したのではないかと推察された。
資料
  • 新藤 永実子, 佐野 秀樹
    2014 年 47 巻 4 号 p. 214-220
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/10/04
    ジャーナル フリー
    本研究は,臨床美術アートプログラムが与える心理的影響に,描画への苦手意識をもつ者とそうでない者の間で違いがみられるかどうかを検討したものである。臨床美術とはもともと認知症予防や改善のために開発されたアートプログラムであり,そこで用いられる抽象的対象を表現するアナログ表現というものは,作品にうまい・下手といった技術的評価は存在しない。そのため描画に対する抵抗が少なく,誰にも受け入れやすい表現活動であると考えられる。実験参加者は23名(描画得意群13名,描画苦手群10名)で,アートプログラム実施前後で心理尺度に回答してもらった。本研究では心理状態の変化を“二次元気分尺度”,アートプログラム制作における体験過程の深まりを“芸術療法における体験過程尺度”を用いて測定した。その結果,描画に対して苦手意識がある者でもそうでない者でも,アートプログラムの実施前より実施後のほうが,ポジティブで活力がありリラックスした心理状態へと変化し,アートプログラムにおいて同程度に充実した体験ができることがわかった。
  • 藤枝 静暁
    2014 年 47 巻 4 号 p. 221-231
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/10/04
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,幼児期から思春期までの発達段階ごとに,子どもが学習する必要性が高いソーシャルスキルを明らかにすることであった。また,ソーシャルスキル教育(SSE)がもっとも必要とされる発達段階についても調査した。被験者は幼児保育者と小学校,中学校の担任教師および副担任教師,計300名であった。調査の結果,「相手の気持ちを考えて接する」「上手に相手の話を聞く」「自分の意見や考えをはっきりと伝える」の3つのスキルは,どの発達段階の子どもにも学習させる必要があることがわかった。「遊びなどの仲間に入れてもらう」「遊びなどの仲間に誘う」「誤解や意見のくいちがいなどのトラブルを上手に解決する」の3つのスキルに対する必要性は,子どもの発達段階によって差があった。SSEが最も必要な時期については,保育者は小学校3,4年生から高校まで,小・中学校の教師は小学校の6年間と考えていることが明らかになった。自由記述による感想から,被験者が子どものソーシャルスキルの不足とSSEの必要性を感じていることが明らかになった。
ケース報告
  • 松田 英子, 木村 富美子
    2014 年 47 巻 4 号 p. 232-239
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/10/04
    ジャーナル 認証あり
    本事例のクライエント(17歳女子)は,対人スキルの乏しさから,小学校高学年より他者との間にコミュニケーション不全が生じた結果,強い不安や自己嫌悪の念に苛まれ,薬の大量服用を繰り返すなどの自傷行為を伴う重度の気分障害を発症していた。さらに過換気症候群や不眠も併発するなど,早急な精神医学的治療が望まれた。十分な信頼関係,協働的治療関係を築いた後,各症状に対する心理教育を行い,身体症状の安定化を図るためにブリーフ・リラクセーション法を導入し,次に否定的自動思考と衝動的な不適応行動の制御に焦点にあてた認知療法を,さらに対人スキルの形成から適応的対処行動が可能になった結果,自傷行為と過喚起症候群不眠は消失し,抑うつと不安,自責感の症状の軽減が得られ,薬物療法なしでも症状の安定が維持された。この経過をふまえ,自傷行為を伴う青年期のうつ病においては対人スキルの向上が重要であること,認知行動療法の各種技法の適用により短期間で症状の軽減が認められることを確認した
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