日本都市計画学会中部支部研究発表会論文集
Online ISSN : 2435-7316
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  • 2024 年 35 巻 p. 0-
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/02
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
  • 風力タービン設置の際に策定されるローカルプランの分析
    後藤 優太, 小塚 遥仁, 鶴田 佳子
    2024 年 35 巻 p. 1-6
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/02
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では、風力発電が再生可能エネルギーの発電量の7割弱を占めるデンマークを取り上げ、デンマーク空間計画の根拠法となる計画法§3第1項に基づく、「風力タービン設置と土地利用許可に関する規則」とその前身となる通達の改定の変遷に伴う制度運用実態の調査を行った。  個々の風力タービン設置の際に具体の計画を定めるローカルプランを各改定段階で取り上げ分析した結果、通達・規則の定量基準および一義的基準は過去のローカルプランの計画内容を反映していることが窺えた。一方、策定過程で取り上げられた定性的な課題やパブコメに対する市の回答を明文化した定量基準が『自然庁ガイドライン』に示され、実際に市が風力タービンの計画を行う際には、通達・規則に加え、定性的な課題等をガイドラインで示すことで、エネルギー政策の目標達成に必要となる風力タービン設置にあたり、住民協働による立地コントロール制度を運用しているとみることができる。
  • 鶴田 佳子, 竹中 愛翔
    2024 年 35 巻 p. 7-12
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/02
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    都市計画区域外を含む線引き都市計画区域および複数の都市計画区域を有する全国市町村対象のアンケート調査により、自然環境や景観の保全に加え、都市計画区域内外共通の土地利用課題として挙げられた洪水や土砂災害等の災害リスクや都市計画法開発許可対象外の開発行為の規制を背景とした土地利用に関わる自主条例が48市町村計56条例制定されていることを把握した。 自主条例制定の市町村は概ね都市計画区域外面積が行政区域の2割以上を占め、8割の条例が対象エリアを都市計画区域外も含めた市町村全域とし、特定の用途や行為に限定しない開発行為全般を対象とする条例は18条例であった。その他の38条例は特定の用途に限定した開発行為や建築行為を対象とし、中でも太陽光発電施設等の再生可能エネルギー発電施設対象の条例が21条例で最も多かった。また、市町村全域を対象とし、開発行為全般を対象とする自主条例も11市町村12条例制定されており、都市計画区域内外を含めた包括的土地利用制度として注目される。
  • 山﨑 翔史, 中島 伸
    2024 年 35 巻 p. 13-16
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/02
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は、戦前期における京福電気鉄道の4路線(越前電気鉄道・丸岡鉄道・永平寺鉄道・三国芦原電気鉄道)の沿線地域の空間形成過程を把握することに向けて、上記路線が描かれた吉田初三郎式鳥瞰図を対象に、沿線地域の名所の形態要素の抽出と分析から、空間形成過程の一端を明らかにすることを目的とする。調査方法は、吉田初三郎式鳥瞰図データベースより、作品を抽出する。次に、先行研究を参照して、鳥瞰図(表面)及び解説文(裏面)を通じて、名所の形態要素の分析を行い、名所の特徴について考察する。結果、鳥瞰図は、名所の自然物(三国周辺)、人工物(福井周辺)のように、エリア毎の特色が見られ、自社線内の路線、名所は強調して描かれていた。解説文では、自社線を中心に複数の名所を巡る旅程候補や名所を一方向に巡るだけではなく、福井より三国方面に向かい、引返して永平寺方面に向かうルートも提案されていた。また、旅行者に自社線内以外に、他社線内の名所を巡ることを企図していたと推察され、沿線地域内の回遊が意識されていたものと考えられる。
  • 福井鉄道を事例として
    プラムーン パニタン, 三寺 潤, 吉村 朋矩
    2024 年 35 巻 p. 17-22
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/02
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
     本研究は、福井鉄道沿線の景観変化を1961年、1987年、2024年の画像データを用いて、線形景観図の作成を行った。福井鉄道沿線に焦点をあて、都市と農村の関係がどのように変化してきたかを示し、その変化を定量的に評価を行う。線形景観図は、都市開発が地域景観に与える影響を考察し、持続可能な都市景観や修景に寄与するもり、これらは将来の都市計画と景観保全において重要な指針を提供する。  分析の結果、建物面積が39.6%増加し、農地面積が37.6%減少したことが明らかになった。特に、建物面積の変化率は1961年から1974年の間で年間0.44km²となり、1974年から2024年の間では年間0.22km²に減少している。地形や土地利用の変化については、都市化と農地の縮小による沿線地域の景観の変化を視覚的に明示することができた。線形景観図を活用することにより、自然環境の保全を考慮した計画的な沿線開発が可能となる。
  • 駅併設図書館と駅から離れた図書館の比較を通じて
    鈴木 猛史, 本田 豊
    2024 年 35 巻 p. 23-26
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/02
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究は,コンパクトシティ形成の重要な要素である「施設集約」と「公共交通の利用拡大」という観点から,駅併設図書館に着目し駅から離れた図書館と比較することにより,図書館の立地と利用実態の関係を利用交通手段の観点から明らかにすること,さらに駅併設図書館のまちづくりへの効果を考察し,今後の図書館整備に資する知見を得ることを目的とした. 利用者へのアンケート調査の結果,駅併設図書館の利用者は自動車の利用率が低いこと,図書館へのアクセスには公共交通を重視する割合が高いことが示された.さらに,利用者の増加や周辺施設の利用増加についても示された.本研究によって,駅併設図書館は「施設集約」だけでなく,「公共交通の利用拡大」についても効果があること,図書館を公共交通でアクセスしやすい駅に併設することで,利用者の増加や公共性の確保といった駅併設図書館の特徴のほか,図書館周辺施設の利用機会増加といったまちづくりへの効果があることが明らかとなった.
  • 中西 立己, 松本 幸正
    2024 年 35 巻 p. 27-32
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/02
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    高齢者や交通弱者の足として近年DRT(Demand Responsive Transport)が注目されている.DRT導入により,徒歩時間の短縮や交通空白地帯の解消,予約による希望時間での乗車などのメリットが生ずる.一方で,DRTはこのような利便性を提供しつつも少量輸送であるが故の非効率な部分もあり,公的資金を投じた継続的な運行のためにはその導入効果を捉えておくことが求められる.そこで本研究では,異なる形態のDRTが導入されている複数の地域を対象として,利用登録者にアンケートを行い,各地域のDRT導入による多様な効果を,個人属性並びに地域特性との関係から捉えた.その結果,DRT導入により非高齢者に消費機会や充実感,独居の人に外出や人と話す機会,最寄りの乗り場までの徒歩時間が長い人に外出や充実感を増加させる効果があることなどが明らかになった.お出かけの仕掛けを組み込んだDRTは,外出促進効果や充実感を提供できることや,利用者のDRTのニーズを把握したうえで運行ルールを設けることで既存の公共交通との共存も図れることなども分かった.
  • 福井都市圏の事例
    近藤 智士, 数井 航平, 三寺 潤
    2024 年 35 巻 p. 33-36
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/02
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    全国的にバスの減便が相次ぐなかで福井市周辺においても路線バス運行事業者が2024年6月及び10月にダイヤ改正を行い多くの路線において減便を実施した.GTFSデータで集計可能な554ヶ所のバス停留所を運行頻度ごとに区分し,ダイヤ改正前後の本数変化を集計したところ,10本/日未満の運行頻度が極端に低い停留所については代替交通への転換により廃止するとともに,50本/日以上の運行頻度の高い停留所についても多くの本数を削減したことを示した.一方,30~50本/日の運行頻度の低い停留所においては減少率が小さい傾向にあり,ネットワーク維持への一定の配慮がうかがえた.また,人口密度の高い地域での運行本数の削減率が高いことが示された.各公共交通機関別の沿線人口について同規模の人口を持つ前橋都市圏と比較したところ,福井都市圏は鉄道により包摂される地域が多いことから路線バスのダイヤ改正による影響が抑制された可能性がある.
  • 平成27年(2015年)産業連関表を用いて
    金子 宏之
    2024 年 35 巻 p. 37-40
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/02
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    本研究では、平成27年(2015年)の福井県産業連関表を用いて、県内の各部門における地域外との取引構造、すなわち移輸出率および移輸入率から見た福井県の産業類型を明らかにした。その中で、福井県では4つの産業類型のうち、域内自給型と相互交流型の部門数が比較的多く、農林水産業部門は移輸出特化型であることがわかった。次に、福井県の産業類型を特徴づけるため、全国の都道府県を産業類型の分布にもとづいてグループ化するクラスター分析を行った。そのさい、各都道府県の産業連関表は、大分類のものを用いたが、その部門数が最大で45、最小で35と地域間でばらつきがあったため、各産業類型の分布は部門数ではなく、比率を用いた。分析の結果、全国の都道府県は5つのグループに分類されたことから、各グループの特徴を考察し、福井県は、域内自給型の比率が相互交流型より相対的に高く、移輸入依存型の比率も比較的高い1都6県のグループに入ることがわかった。
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