臨床リウマチ
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24 巻 , 4 号
臨床リウマチ
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Editor's Eye
誌説
総説
  • 藤井 隆夫
    2012 年 24 巻 4 号 p. 241-246
    発行日: 2012/12/30
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
       糖尿病などの慢性疾患では,タイトコントロールによって長期アウトカムが改善する.関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)における最適なアウトカム達成のためのリコメンデーションを作成する目的でTreat to Target(T2T:目標達成に向けた治療)Steering Committeeが組織され,4項目の基本的な考え方と10項目のリコメンデーションが策定された.T2Tリコメンデーションでは,総合的活動性指標を用いて適切な間隔で評価を行うとともに定期的に治療を見直し,早期に寛解あるいは低疾患活動性を達成することを推奨している.さらにいったん達成された治療目標は経過を通じて維持し,関節の構造的変化や身体機能障害にも注意をはらうべきであると記載された.また当然ではあるが,RA治療は医師と患者のshared decisionであることが強調された.早期のRAでは骨破壊が急速に進行する症例(rapid radiographic progression)もあるため画像評価にも気を配ること,また合併症の多い患者や罹病期間の長い高齢者では安全性に十分考慮する必要がある.今後本邦においてもエビデンスの集積が望まれるが,日常臨床でも,患者に総合的活動性指標の数値を示し,T2Tリコメンデーションに基づいて今後の治療をディスカッションすることは,すべてのRA患者に対して有意義と考えられる.
原著
  • 宮野 章, 中山 雅弘, 新井 次郎, 山口 晃史, 村島 温子
    2012 年 24 巻 4 号 p. 247-259
    発行日: 2012/12/30
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
       現在,日本国内での抗SS-A抗体及び抗SS-B抗体の測定は,ほとんどが酵素免疫測定法を原理とする検査試薬で行われており,数値データとして報告されている.しかし,その値は試薬メーカーごとに値付け方法が異なり,標準化されていない.抗SS-A抗体と関連するCHB(congenital heart block)のリスクをその抗体価から推測することを目的として,試薬メーカー6社7試薬の測定値の関係を明らかにし,一定の基準を設けることで各試薬の測定値を一致させることができるか検討した.
       Pool血清,CDC標準品,臨床検体を用いて酵素免疫測定法による抗SS-A/B抗体の標準化を試みたが現状では難しいことがわかった.多施設共同研究の症例データベースの解析から,抗SS-A抗体がDID(double immunodiffusion)法で32倍以上であることが,CHBのリスクを推測する因子として抽出されているため,DID法力価32倍に相当する各試薬の測定値を推定した.しかし,この推定値において陰性と判定されるCHB例が認められたこと,また,酵素免疫測定法は主な臨床での使用目的が「定性判定」であるため,各社試薬での測定値が本来の抗体力価として報告されていないことが多い(特に高力価例について)現状を考え,DID法での確認が必要な基準案を作成した.その結果,Bio-Radで100EU以上,INOVAで80units以上,CosmicでIndex値100以上,TFBで300U/ml以上,Phadiaで240U/ml以上,MBL MESACUPでIndex値100以上,MBL STACIAで500U/ml以上を示した検体についてはDID法での確認が必要であることがわかった.
  • 松井 聖, 土田 哲雄, 寺田 信, 有田 幹雄, 佐野 統
    2012 年 24 巻 4 号 p. 260-266
    発行日: 2012/12/30
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
       ミゾリビンは免疫抑制剤として腎移植後の拒絶反応の予防,関節リウマチ,ネフローゼ症候群,IgA腎症や全身性エリテマトーデスに用いられている.今回,47歳の女性が皮膚筋炎に間質性肺炎を合併し,副腎皮質ステロイド剤で加療し,アザチオプリンを併用し副腎皮質ステロイド剤減量するも再燃した.そこで,副腎皮質ステロイド剤増量とミゾリビンの併用で治療効果があり,その後,副腎皮質ステロイド剤の減量が可能であった.ここにミゾリビンの副腎皮質ステロイド剤減量効果が示されたので文献的考察も加えて報告する.
  • 加藤 保宏, 森 佳幸, 小林 久美子, 青山 怜奈, 伏見 博彰, 藤原 弘士
    2012 年 24 巻 4 号 p. 267-272
    発行日: 2012/12/30
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
       結節性多発動脈炎の診断に際して,特徴的な組織所見や血管造影所見が得られない場合は困難なことがある.今回我々は,74歳で発熱,大腸びらん,脳出血,間質性肺炎を呈し臨床診断が困難であった結節性多発動脈炎の一例を経験した.顕微鏡的多発血管炎を疑いステロイド大量療法を施行するも救命できず剖検に至った.剖検組織所見を根拠として結節性多発動脈炎と診断された.
  • 樋野 尚一, 井上 明日圭, 田崎 知江美, 李 進海, 岩永 智陽, 湯本 妙子, 朝戸 佳世, 志賀 俊彦, 矢野 智洋, 永禮 靖章, ...
    2012 年 24 巻 4 号 p. 273-278
    発行日: 2012/12/30
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
       近年,関節炎,レイノー現象や抗核抗体など,膠原病を示唆する症状や検査所見を認めるものの,特定の膠原病の診断基準を満たさない症例があり,undifferentiated connective tissue diseases(UCTD)と呼ばれている.これらの多くの症例は軽症であり,少量のステロイドで活動性が抑えられている.症例は55歳女性.急速に進行した足趾の皮膚潰瘍は壊死に至った.病理組織では血管炎を認めたが,特定の膠原病の診断基準を満たさず,UCTDと診断した.ステロイド治療が有効であったが,足趾先端の壊死は自然離断した.進行性の血管炎をきたす場合には,病理学的診断を得て早期の鑑別診断と治療方針の決定が重要と考えた.
誌上ワークショップ RA上肢障害に対するリハビリテーション
  • 林 正春
    2012 年 24 巻 4 号 p. 279-289
    発行日: 2012/12/30
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
       本稿では,関節リウマチ(以下RA)の上肢病変に対し,作業療法(以下OT)で実施するスプリント(治療用仮装具・簡易装具)療法について述べる.各関節の病変に適応するスプリントにはどのようなものがあるのか? 効果はあるのか? 患者,治療者,医療関係者の多くが疑問や不安を感じていると思われる.古くから治療法として確立している分野であるにもかかわらず,知名度が低く,効果を述べる論文も現在は少ない.教科書的には,各関節の変形に適応するスプリントの紹介はあるが,そのスプリントを装着することでどのような効果が得られるのか,具体的に表現されている文献や論文は少ない.RA治療を語る際,必ず装具やスプリント療法が紹介されるが,多くが出来上がった変形に対する進行予防のものが多く,紹介されているほとんどが昔から紹介されているものと変わらないスプリントであり,古い時代のものが引用されているように思われる.文化や風習,人の価値観,生活環境,社会環境の変化,そして目覚ましい医療の進歩などが起こっているにも関わらず,スプリント療法には大きな進歩が感じられないことに,作業療法士として責任を感じる.生物学的製剤(以下Bio)の効果で,臨床的寛解,構造的寛解,機能的寛解が望める時代に対応するスプリントやまだまだ機能的寛解,構造的寛解までに至らない症例に対するスプリントなど,幅広く考えなければならない.筆者の経験より,スプリントによって,骨・関節のアライメントの改善や弱化した軟部組織の代用により関節の支持性向上や安定感を取りもどし,筋・関節運動を促進し,身体活動を効率よく発揮でき,生活動作や社会参加などを可能にし,QOL向上に効果をもたらすスプリント療法の事例を報告する.
  • 後藤 喜代美, 五十嵐 啓子, 小林 尚子, 土田 由佳, 平城 申子, 遠山 幸宏, 石川 肇
    2012 年 24 巻 4 号 p. 290-296
    発行日: 2012/12/30
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
       近年,関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)の薬物療法は大変進歩してきている.生物学的製剤の導入により,寛解導入が容易になったが,これが患者の日常生活動作(activities of daily living:ADL)の改善につながっているかは不明である.そこで当センター作業療法室作成のADL評価表を用いてRA患者の日常生活動作における特徴を調査した.この調査は10年前にも行っており,前回調査と今回調査の結果を比較検討した.結果,項目としては下肢機能が関与する「床からの立ち上がり」の自立度が増した一方で,両側の手指の把持機能と筋力を必要とする「タオル絞り」「フタの開閉」では,ほとんど変化がみられなかった.このことから,RA患者における生活指導では今まで以上に,疾患活動性を把握しながら小関節である手関節や手指へのオーバーユースへの配慮が必要である.
  • 蓬莱谷 耕士, 長尾 佳奈, 谷村 浩子, 田中 一成, 仲野 春樹, 佐浦 隆一
    2012 年 24 巻 4 号 p. 297-302
    発行日: 2012/12/30
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
       RA患者の上肢障害に対する運動療法は上肢機能の維持,改善による日常生活動作(ADL),日常生活関連動作(APDL)や生活の質(QOL)の維持,向上を目的に行われる.運動療法の実施にあたっては,全般的な疾患活動性や骨・関節の所見の評価,生活様式や環境の問診により,疼痛や機能障害の原因を可及的に特定し運動方法や負荷量を決定することが重要である.運動療法には関節可動域練習,筋力増強練習などがあり,装具療法や物理療法を併用しながら関節の状態に応じて負荷量を調節しながら治療を行う.疾患活動性が高い時期には,装具療法やポジショニング指導による安静を中心としながらも廃用予防に努める.疾患活動性が改善,あるいは低い時期には,上肢機能の改善およびADL,APDLの拡大を目的に温熱療法を併用しながら積極的な運動療法とADL練習を行う.
       近年,RA治療の標準治療は大きく変化してきており,リハビリテーションでも,RAによる廃用症候群や関節変形などの発症予防や改善を目的に運動療法を行うことが重要になってきている.一方で,薬物治療が奏功し炎症が沈静化すると日常生活での活動量が大幅に増え,RA患者の関節構造を超えた負荷が過用や誤用を生じる危険性もあるため,運動機能障害の維持,改善を目的に運動療法を行う場合には,関節の状態と日常の活動量を評価し,患者に応じた適切な運動療法と生活指導の実施が非常に重要である.
誌上ワークショップ 生物学的製剤による寛解の現状
  • 亀田 秀人
    2012 年 24 巻 4 号 p. 303-306
    発行日: 2012/12/30
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
       臨床的寛解とは,長い眼で見てもその状態を維持している間は臨床的に問題がないと予測される状態,換言すれば疾患自体のリスクが事実上消失した状態のことである.従って,臨床的寛解は(X線)画像的寛解や機能的寛解と無関係ではなく,それらの評価指標を用いて定義されることになる.治療薬や治療戦略の進歩により,関節リウマチにおいては多くの患者にとって臨床的寛解は現実的な治療目標となっている.関節の腫脹が診察で認められず,炎症反応が検出されないことが臨床的寛解に相当すると考えられるが,わずかな関節腫脹や炎症反応を許容するか,そして患者の自覚症状をどの程度考慮すべきかに関しては,なおも議論の余地がある.従って,DAS(disease activity score)28やSDAI(simplified disease activity index),あるいは筆者が考案したHRAS38(handy rheumatoid activity score with 38 joints)などの包括的(複合的)活動性指標を用いて臨床的寛解の基準を決定する場合にも,個々の患者における妥当性や地域性による違いなど,グローバルスタンダードの確立には解決すべき課題が山積している.
  • 齋藤 和義, 田中 良哉
    2012 年 24 巻 4 号 p. 307-313
    発行日: 2012/12/30
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
       関節リウマチ(RA)の治療において,生物学的製剤の登場は臨床的,構造的,機能的寛解を現実的なものとした.次なる目標は,寛解あるいは低疾患活動性(LDA)まで改善した症例において生物学的製剤を中止しえるいわゆるバイオフリー寛解である.海外からのBeStスタディや本邦で行われたRRR(Remission induction by Remicade in RA)スタディでは,インフリキシマブにてLDAとなった場合,約半数でその後バイオフリーとしてもLDAが維持されることが示された.また,アダリムマブにおいての当科におけるHONOR試験,欧米のOPTIMA試験などでバイオフリー寛解が可能であることが示された.さらに,エタネルセプトにおけるPRESERVE試験,トシリズマブにおけるDREAM 試験でもバイオフリーは現実的に可能であることが報告されている.
       このように,バイオフリーは現実的に可能である目標と考えられるが,T2T(treat to target)では,疾病の全経過を通じて寛解維持すべきであると推奨しており,バイオフリー寛解の妥当性に関してはさらなる症例の蓄積が必要と考えられる.
  • 池田 啓
    2012 年 24 巻 4 号 p. 314-319
    発行日: 2012/12/30
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
       関節リウマチ患者における関節破壊は疾患活動性と密接に関わることがよく知られているが,古典的抗リウマチ薬(DMARD)治療により臨床的寛解にある症例では,関節破壊が緩徐に進行する例が少なからず存在することが報告されている.これは関節の診察所見に基づいた臨床的寛解基準の精度の限界を示すものであり,正確に構造的寛解を達成するためには超音波やMRI等の高感度画像診断による滑膜評価が有効である.
       一方高感度画像診断による画像的寛解の必要性は,患者および関節レベルの様々な要因により影響を受ける.抗TNFα製剤とMTXを併用投与された比較的早期のRA患者では,臨床効果が不十分であった症例においても関節破壊が非常に低く抑えられることが示されており,治療目標は臨床的寛解で充分であることが示唆される.またリウマチ因子や抗CCP抗体陽性等の既知の関節破壊リスク因子を有する症例では潜在性滑膜炎により関節破壊が進行しやすく,画像的寛解の達成が望ましい.関節レベルでは,荷重関節および既存の構造破壊を有する関節では関節破壊が容易に進行しやすく,潜在性滑膜炎までターゲットとした治療戦略が考慮される.
臨床リウマチ医のための基礎講座
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