臨床リウマチ
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25 巻 , 1 号
臨床リウマチ
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Editor's Eye
誌説
総説
  • 伊藤 孝仁
    2013 年 25 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 2013/03/30
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
       関節リウマチ(以下RA)は罹病が長期にわたる慢性炎症性疾患であり,RA自体あるいは治療薬のために腎合併症を生じることがある.加齢や併存する高血圧・糖尿病などの生活習慣病もRA患者における腎障害の原因となる.しかし,既存の教科書では腎臓の機能を包括的かつ直感的に理解することが困難で,RA患者の腎合併症に対する早期発見・早期介入を阻害している面がある.本稿ではA機能とB機能という概念を導入して直感的に理解しやすい説明を行った.また,腎機能検査が意味することを整理した.さらに,代表的な腎合併症であるアミロイドーシスを中心に,RA診療中の腎合併症として注意すべき点を整理した.本稿がよりよいRA診療の一助となることを願う.
  • 蛯名 耕介
    2013 年 25 巻 1 号 p. 14-19
    発行日: 2013/03/30
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
       RA患者では健常者と比較して発症早期より全身の骨量減少を認め,椎体・非椎体共に相対骨折危険率が高値であることが報告されている.加えて全身の骨量減少が関節破壊の進行度と有意に相関することより,RA発症早期からの骨粗鬆症予防・治療が関節破壊抑制と身体機能維持の為に重要と考えられる.骨量減少の原因として,滑膜組織などで産生される炎症性サイトカインが骨芽細胞などのRANKL発現を誘導することで破骨細胞を活性化させることなどが挙げられる.一方,RA患者の骨折発生には関節破壊に伴う身体機能障害,高CRP血症,低BMI,内服ステロイドなどが重要なリスク因子であることが報告されている.RAに伴う骨粗鬆症の治療薬でエビデンスのあるものとしてビスフォスフォネート製剤であるアレンドロネート・リセドロネート・ゾレドロネートや,PTH 製剤であるテリパラチドなどが挙げられる.RA患者においては血中貯蔵型ビタミンD濃度が低値であるとの報告や,ステロイドによるCa吸収障害を考慮すると,ビスフォスフォネート製剤にビタミンD3やCa製剤の併用も考慮する必要がある.またビタミンK2はビスフォスフォネートとの併用による骨量増加効果や,それ自身の抗炎症効果が報告されている.RA診療においては発症早期より骨量減少・骨質低下リスクを評価し,骨粗鬆症治療薬の特性を理解して治療介入することが必要と考えられる.
原著
  • 小熊 麻子, 澤部 琢哉
    2013 年 25 巻 1 号 p. 20-27
    発行日: 2013/03/30
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
    目的:関節リウマチ(RA)に対する生物学的製剤療法において,効果不十分例に対しミゾリビン(MZR)パルス療法を行い,その有効性を検討すること.
    対象・方法:当院にて生物学的製剤導入するも効果不十分であった8例(全例女性)に対して毎週のMTX内服日にMZRを同時に内服する投与法(MZRパルス療法)を併用し,その効果を圧痛関節数,腫脹関節数,ESR,CRP,DAS28-ESR,DAS28-CRP,SDAI,CDAI,患者VAS,mHAQ,RF,MMP-3,ヘモグロビンで評価した.またMZR血中濃度との関連についても検討した.
    結果:投与開始後24週時点において,圧痛関節数,腫脹関節数,ESR,CRP,DAS28-ESR,DAS28-CRP,SDAI,CDAI,患者VAS,RFの有意な改善を認めた.MZR血中濃度は平均1.27±0.58μg/mlであり,血中濃度が0.12~0.49μg/mlと低かった1例については,臨床効果も不十分でありMZRの増量が必要であった.明らかな有害事象は認められなかった.
    結論:生物学的製剤抵抗性のRAに対しMZRパルス療法を行い有意な疾患活動性の低下が見られ,明らかな有害事象は認めなかった.生物学的製剤抵抗性のRA例の治療において,MZRパルス療法の追加は有効な選択肢の一つとなりうる.
  • 山下 文治, 小林 雅彦, 船越 登, 森 大祐, 伊藤 秀夫, 仲村 智, 糸井 恵, 山下 琢
    2013 年 25 巻 1 号 p. 28-33
    発行日: 2013/03/30
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
       生物学的製剤投与中の関節リウマチ患者における人工関節手術に際しては,手術の時期,感染,創治癒,関節炎の再燃などの問題点が指摘されている.生物学的製剤を開始後に人工膝関節全置換術(TKA)を施行して1年以上経過した15例,17関節を対象として,TKAの経過,周術期の変化,RA活動性の経過について検討した.手術時平均年齢は59.4歳であった.(結果)平均4.5年後のTKAの治療成績は良好で,感染や緩みなどの合併症を生じた例はなかった.周術期においても合併症はなく,関節炎の再燃もなかった.DAS28-ESRは生物学的製剤投与前,TKA術前そして術後1年と段階的に改善した.そして,平均約5年後も改善状態が維持されていた.生物学的製剤有効例では,変性が軽度であればTKAを遅らせることが可能であった.変性の進行している例では,RA炎症とADLの更なる改善が期待できるため,積極的にTKAを施行すべきであると考える.
  • 鈴木 知佐子, 清水 悠以, 田邉谷 徹也, 松井 美琴子, 山本 元久, 高橋 裕樹, 齊藤 正樹, 篠村 恭久
    2013 年 25 巻 1 号 p. 34-39
    発行日: 2013/03/30
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
       全身性強皮症の33歳女性.発熱,頭痛,錯乱が出現,無菌性髄膜炎の診断にて抗ウイルス薬と抗生剤投与を開始した.頭痛,意識状態は改善したが,発熱,CK高値が持続しステロイド大量療法を行ったところ,頭痛,意識障害が再出現した.頭部MRIで後頭葉にT2強調画像,fluidattenuated inversion recovery画像で高信号病変を認め,reversible posterior leukoencephalopathy syndromeと診断した.血圧・脳圧管理にて臨床症状,画像所見ともに速やかに改善した.
  • 岡元 昌樹, 長末 隆寛, 桑水流 朋美, 時任 高章, 中村 雅之, 一木 昌郎, 川山 智隆, 星野 友昭
    2013 年 25 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 2013/03/30
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
       症例は気管支喘息を治療中の43歳の男性.四肢のしびれおよび呼吸困難で入院した.血痰はなかった.末梢血好酸球増多および多発単神経炎を伴っていた.胸部画像検査上,両側肺野にびまん性スリガラス陰影を認めた.気管支肺胞洗浄液は肉眼的血性であり,Churg-Strauss症候群に伴うびまん性肺胞出血と診断した.DAHに対してステロイドパルス,シクロフォスファミド,多発単神経炎に対してガンマグロブリン併用療法を行ったところ,胸部異常陰影および神経症状は改善した.
誌上ワークショップ 実地医家からみた2010RA分類基準の現状
  • 織部 元廣
    2013 年 25 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 2013/03/30
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
       ACR/EULAR.2010年関節リウマチ分類基準の問題点をクリニックの立場から考察する.典型的な骨ビランがあれば関節リウマチ(RA)とする点で,典型的な骨ビランの定義が明確でない.骨萎縮を背景に辺縁ビランや打ち抜き像があれば可能性が高い.ただ,既にRAと診断され生物学的製剤(BIO)を投与されている例でも約1/3の例で典型的と言える骨ビランは存在しなかった(自験例).DIPや1stMCP,1stMTPは基準から除外するとされているがこれらの部位でも明らかなRA病変は存在する.これらの部位を無視して良い訳ではない.関節の腫れの定義が明確でない.基本的にはOAは冷たく固い腫れ,RAは柔らかく熱い腫れと考える.新分類基準では関節の腫脹と圧痛の数が問題になっているが,旧基準(1987年)では関節炎の数となっており,微妙な関節所見の表現の差が治療対象のRA患者群の差にもつながる可能性がある.
  • 川人 豊
    2013 年 25 巻 1 号 p. 52-57
    発行日: 2013/03/30
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
       関節リウマチの治療の目標は,ACR/EULARの新寛解基準にもあるように,機能的,構造的な寛解を見込める臨床的寛解であるが,この目標を達成することは現時点ではまだ難しく達成率は低い.目標達成のためには,早期診断,早期治療につきる.早期の関節リウマチを識別する基準の作成は難しく,完全なものは作成不可能とされていたが,ACR/EULARが何重もの統計解析を行い,新分類基準を示した.この基準は,旧基準や他の基準と比較すると感度は良いが特異度が低くなるため,スコアリングに目を奪われると正確な診断ができない.大切なのは,スコアリングに至るまでの臨床的な思考過程である.すなわち,除外診断は最も大切で,完全な除外診断ができれば分類基準は不要であるが,誤った診断をしないためには,ある程度の除外診断が必要である.除外すべき疾患は,各国により異なるとして,ACR/EULARは鑑別リストを作成しなかったが,日本リウマチ学会新基準検証委員会が示した鑑別すべき疾患の難易度別リストを参考に鑑別していくことが,現時点での最良方法であると考える.本総説では,ACR/EULARの新分類基準をどのように活用するかについて概説する.
  • 松野 博明
    2013 年 25 巻 1 号 p. 58-62
    発行日: 2013/03/30
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
       アメリカリウマチ学会とヨーロッパリウマチ学会が合同で,2010年に公表した新しい関節リウマチ(RA)の分類基準の整形外科クリニックにおける妥当性を検討した.2011年1月初めから2011年10月末までの10カ月間に,患者自身がRAを懸念して当院を初診した372名を対象に,2010新分類基準と1987旧分類基準を用いて診察した.結果:初診時でRAと診断した例は,179例(RF陽性:154例,86%,CRP陽性:149例,83%)であり,RA以外の関節炎または関節症状を有する患者と診断した例は193例であった.臨床的にRA以外と診断された193例の中で,2010分類基準を満たした症例は12例,1987分類で基準を満たした症例は3例であった.1987分類でRA基準を満たした症例は,高齢の多発性変形性関節症,診断未確定関節炎,薬剤誘発性関節炎であった.しかし,2010分類ではこの他にもMCTD,シェーグレン症候群もRA基準を満たしていた.結論:2010分類は,RAの早期発見に寄与するものの鑑別診断をしっかりしないとRA以外の疾患も取り込んでしまう可能性がある.特に,整形外科外来では全身性変形性関節症の来院頻度が多く鑑別が必要である.
誌上ワークショップ RA診療におけるPitfall:治療薬の選び方・使い方・リスクマネジメント =患者さん個々に治療ゴールは異なる 実地医として考えるテーラメイド医療の方向性=
  • 佐川 昭
    2013 年 25 巻 1 号 p. 63-69
    発行日: 2013/03/30
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
       近年RAの早期診断,治療薬の進歩により軽症化が進んできている.治療においては,寛解をGoalにおき早期からTightcontrolすることが強く提唱され,RA治療は画期的に進歩し疾患予後を改善している.抗リウマチ薬においては,生物学的製剤(BiologicDMARDs)の登場で強力な治療手段を手に入れることができ,Drasticに治療戦略も変化してきおり,本邦においては,TNFα阻害薬,IL-6レセプター阻害薬,T細胞活性化阻害薬と計7剤が,現在使用可能となっている.しかし,治療コスト・長期安全性,特に感染症(肝炎,結核,皮膚など)などの課題も依然として残っている.RA治療においては,従来からの薬剤をいかに使いこなすかが重要であり,Non-Biologic DMARDs治療でも駆使すれば,臨床的寛解が十分に可能である.昨今,RA治療において新薬も登場しているが,当院では厚労省研究班EBM に基づく治療ガイドライン(2004)をベースに治療をしており,比較的活動性が弱ければ,ブシラミン,サラゾスルファピリジン,活動性が強ければ,メトトレキサ―ト(MTX)を用いている.2011年に,MTXが週16mgまで処方可能となり,第一選択としても処方できるようになったため,予後不良の例には,積極的にMTXを選択している.以上の点を踏まえ,自験例をもとに,RA治療において患者からよく聞かれる質問,特にNon-Biologic DMARDsについて,実際の診察でのやり取り風にしてわかりやすくまとめてみた.RA実地診療において一助になれば,幸いである.
  • 松野 博明, 牧村 奈実, 中村 理恵, 寺垣 真子, 村田 真由美
    2013 年 25 巻 1 号 p. 70-74
    発行日: 2013/03/30
    公開日: 2015/08/31
    ジャーナル フリー
       関節リウマチ(RA)の治療成績は生物学的製剤(バイオ)の登場により飛躍的に向上した.RA治療の最前線に立つ実地医においてもRA患者の苦痛を解放し,生活の質(QOL)を改善するためにバイオ治療はなくてはならないものになってきている.しかし,機関病院と異なり人員や機材に制限のある実地医ならではの工夫も必要である.取り分けバイオにより引き起こされるかもしれない重篤な副作用は自院だけで対応することは困難で,機関病院との病診連携が必須となる.また常日頃から副作用については,発現しないよう十分注意を払うべきである.また我が国ではバイオ治療の診療報酬が世界最低水準に抑えられており,加えて2010年から施行された新薬創出加算により薬価差が減少したことからバイオ治療における個人診療所の利益は大幅に抑制された.このような厳しい環境下の中に実地医がどのように適正にバイオ治療を継続すべきかにつき概説する.
臨床リウマチ医のための基礎講座
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