臨床リウマチ
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25 巻 , 4 号
臨床リウマチ
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Editor's Eye
誌説
総説
原著
  • 平林 泰彦
    2013 年 25 巻 4 号 p. 242-248
    発行日: 2013/12/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    目的:実臨床においてRAの関節破壊に対するトシリズマブ(TCZ)の有効性を検証する事.
    対象・方法:対象は当科でTCZによる治療を1年以上継続しているRA患者で合併症対策を行った非喫煙者86例.平均年齢60.5±11.5歳,平均罹病期間12.3±10.2年(2年未満15例,2年以上10年未満30例,10年以上41例).患者情報非開示下に2名の読影者によりmodified total Sharp score(mTSS)法にて関節病変の評価を行った.
    結果:平均DAS28ESRは投与開始時4.7±0.1であったが,1年後は1.4±0.1まで低下した.DAS28ESR寛解達成までの平均期間は8.1週であった.TCZ投与開始から1年後までの骨びらんスコア/年は-0.2±0.1,関節裂𨻶狭小化スコア/年は0.7±0.1,ΔmTSS/年は0.5±0.2であり,骨破壊の進行停止とされるΔmTSS/年≤0.5の割合は69.8%であった.
    考察:TCZによる1年間の治療で骨びらんスコア/年が負になったことは,骨破壊が抑制されたのみならず修復に転じた例があることを示している.これより,早期例では骨破壊阻止が,進行例でも骨破壊阻止に加えてある程度の骨の修復が期待される.細心の患者管理とTCZの適切な使用による速やかな寛解導入は骨破壊抑制に有力な方法の一つと考えられた.
  • 菊池 啓, 赤木 將男, 井上 康二, 神谷 正人, 木下 浩二, 熊野 文雄, 仲田 公彦, 南平 昭豪, 橋本 英雄, 船内 正憲, 松 ...
    2013 年 25 巻 4 号 p. 249-254
    発行日: 2013/12/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    目的:エタネルセプト長期投与例に対する投与量状況などを調査し,減量状況および減量の可能性を高める背景因子について検討した.
    対象・方法:エタネルセプトを2年間以上投与している関節リウマチ患者を対象として,投与量状況および患者背景などについて南大阪リウマチ研究会参加施設にて調査を実施した.
    結果:調査協力施設は19施設であり,82例が報告された.主な患者背景は平均投与期間47.1±17.1ケ月(最長91ケ月),平均年齢57.3±13.1歳,平均罹病期間10.6±9.0年であった.エタネルセプトの減量は82例のうち27例(32.9%)にて実施され,減量の状況は25mg/週,25mg/10日,25mg/2週,25mg/3週,25mg/4週であった.エタネルセプト減量群と維持群の背景因子の比較では,罹病期間,Class 1+2の割合,および他の生物学的製剤治療歴の有無において有意差が認められた.一方,年齢,Stageおよび投与前疾患活動性については差がなかった.
    結論:罹病期間の早い時期にエタネルセプトを導入すれば,長期投与になった場合に減量できる可能性が高くなると考えられる.
  • 日髙 利彦, 橋場 弥生, 甲斐 泰文, 黒田 宏, 濱砂 重仁
    2013 年 25 巻 4 号 p. 255-262
    発行日: 2013/12/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    目的:当院における薬剤治療抵抗性関節リウマチ(RA)患者に対する白血球除去療法(LCAP)の治療効果について報告する.
    対象・方法:当院にて治療中の治療抵抗性RA患者72例(男10,女性62例)を対象とし,Cellsorba®(旭化成メディカル)を用い,週1回の間隔で5回のLCAPを実施した.毎回治療開始前及び終了1,2ケ月後にACRコアセット,DAS28,SADIおよびCDAIを用いて評価した.
    結果:ACRコアセット各項目,DAS28,SDAI,CDAIはLCAP終了1ケ月後には全て有意に改善し2ケ月後も効果が持続した.投与終了2ケ月後,ACR20以上65%,ACR50以上35%,EULAR判定moderate以上75%,good以上24%と治療効果を認めた.LCAP終了2ケ月後のACR改善判定でのACR20,50,70達成率は,いずれもstageⅠ・Ⅱ群がstageⅢ・Ⅳ群に比し有意に高かった(ACR20(stageⅠ・Ⅱ:79%,stageⅢ・Ⅳ:48%,p<0.01),ACR50(46%,21%,p<0.01),ACR70(28%,6%,p<0.05)).7例(9.7%)に軽微な有害事象を認めたが重篤なものは認めなかった.
    結論:LCAPはRA治療において有用で,進行する前に使用することが有効と考えられた.
  • 吉原 良祐, 塩澤 和子, 田中 泰史, 村田 美紀, 田中 千尋, 山根 隆志, 中川 夏子, 香山 幸造, 寺島 康浩, 松田 茂, 横 ...
    2013 年 25 巻 4 号 p. 263-268
    発行日: 2013/12/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
       生物学的製剤使用中のB型肝炎ウイルス(HBV)感染既往関節リウマチ(RA)患者からのHBV再活性化2症例を報告する.症例1は70歳男性.輸血歴あるも,当初HBs抗原は陰性.メトトレキサート(MTX)及びエタネルセプト(ETN)で治療中にde novoB型肝炎を発症したが,ラミブジンで軽快.症例2は51歳女性.HBs抗体陽性.MTXとETN で加療中に,HBV-DNAが検出感度未満ながらシグナル陽性化.肝炎は発症せず,半年後自然に再陰性化.当院でのカルテ調査からはその再活性化率は6.3/1000人・年と計算された.
  • 今 高之, 松下 雅和, 加藤 友美, 岩下 紋子, 高橋 敬子, 李 鍾碩, 野澤 和久, 山路 健, 田村 直人, 髙崎 芳成
    2013 年 25 巻 4 号 p. 269-275
    発行日: 2013/12/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    症例1:49歳男性.関節痛を主訴に初診,関節リウマチと診断されメソトレキセート(MTX),ミゾリビンにて加療されるも効果不十分のため,アダリムマブ(ADA)を投与.ADA投与後よりCK高値を認め,労作時呼吸苦が出現,胸部CTにて肺間質影の増悪を認めたため,入院精査となった.肺間質影は薬剤中止で自然軽快したが,CK高値が持続.抗EJ抗体陽性より抗ARS抗体症候群と診断され,プレドニゾロン(PSL)ならびにタクロリムスの併用治療を行い,改善を認め退院となった.
    症例2:47歳女性.関節痛に対しMTXを投与されるも効果不十分であり,インフリキシマブを投与.その後CK12150IU/Lと高値を来し,間質性肺炎の発症を認めたため,精査加療目的に当院へ紹介となった.入院精査にて多発性筋炎の診断となり,PSL,シクロスポリンによる加療を行われ,改善を認めた.経過中,抗PL-7抗体陽性を認め,抗ARS抗体症候群と診断された.
    考察:TNFα阻害剤投与により,抗ARS抗体症候群の発症,増悪を来す可能性があることが示唆された.投与の際は肺病変,筋病変などの発症・増悪に注意する必要がある.
誌上ワークショップ ゴリムマブの真価 ~長期投与結果について~
誌上ワークショップ 膠原病の発症病因
  • 澁谷 美穂子, 藤尾 圭志, 山本 一彦
    2013 年 25 巻 4 号 p. 281-285
    発行日: 2013/12/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
    目的:自己免疫疾患における自己免疫寛容破綻のメカニズムを解析する.
    方法:コラーゲン誘発性関節炎を用いて,所属リンパ節で増殖するCD4陽性T細胞を単一細胞レベルで解析した.また,抗原特異性の判明している2種類のT細胞受容体(T cell receptor: TCR)トランスジェニックマウスのCD4陽性T細胞とその特異抗原を用いた実験系(拡張抗原刺激モデル)を構築し,抗原濃度を種々に変化させてT細胞の解析を行った.
    結果:Ⅱ型コラーゲン存在下に増殖するクローンを複数認め,分化した表現型を示したクローンのTCRを再構築したが,再構築したTCRをもつT細胞にはⅡ型コラーゲン特異性は認められなかった.しかしⅡ型コラーゲン特異的なT細胞存在下に共培養すると,増殖反応を認めた.拡張抗原刺激モデルを用いた実験では抗原Xが大量に存在しそのXに特異的なT細胞が十分に増殖する条件下で,ごく少量しか存在しない抗原Yに依存してY特異的なT細胞が活性化する現象を観察した.抗原X以外の抗原Yによる刺激に依存性が高い点で,従来のbystander activationとは異なる新しい活性化様式と考えた.3種類のT細胞を共培養する実験系でも,特異抗原の存在しないT細胞はまったく分裂せず,抗原特異的な刺激が重要であることが示された.
    結論:免疫反応を惹起した抗原Xとは異なる抗原Yに対する免疫反応が確認され,自己免疫病態において観察されるエピトープスプレディングの基盤現象である可能性が考えられた.
  • 塩沢 俊一
    2013 年 25 巻 4 号 p. 286-291
    発行日: 2013/12/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
       Burnet博士のクローン選択説では,自己応答性クローンは胎児期に禁止forbiddenされているため,自己抗体の検出イコール自己を攻撃する自己免疫疾患と看做された.確かにSLEには自己を攻撃する抗核抗体,抗二本鎖DNA抗体などが見出され,自己への攻撃性がSLEの病態の基盤をなす(現象)が,現象イコール真実(原因)なのかがこの50年間問われず自己抗原や自己を攻撃する理由のみが研究されて今なお発症病因は不明のままである. 
       私達は自己臨界点説を提唱し,SLEが自己免疫に因らず,外来抗原の繰返し刺激に対する正常(通常)の免疫応答に因り生じることを示した.自己応答性T細胞は,胸腺の選択を逃れた一部のT細胞でなく,胸腺を通過して一旦は自己非応答性を獲得した大部分を占めるT細胞集団の中からV(D)J遺伝子再構成を経て新たに生成するのであり,抗原による自己臨界点を超えた過剰刺激の結果,自己応答性のautoantibody-inducing CD4T cell(ai CD4T cell)が誕生し,このai CD4T細胞が一方で多彩な自己抗体を誘導し他方でCD8T細胞を刺激して組織傷害を生起させてSLEに至る. 
       これに対して自己免疫疾患説は,SLEにみられる140種類を超える広範な自己抗体レパトワが,⑴胸腺の選択を逃れた一部のT細胞あるいは⑵胸腺を通過して自己非応答性となったT細胞集団の中から免疫寛容が破綻して生じた一部のT細胞から生じると説明するが,限定されたT細胞から広範なレパトワは生じ得ない.SLEにみられる広範な自己抗体レパトワは,末梢免疫組織でV(D)J遺伝子再構成によって新たなTCRが獲得されて生じるとする方が自然である. 
       そもそも私達のからだに生じた炎症は治りにくく,身体に致死的でない病原体が繰り返して侵入しやすい素地がある.すなわち一般に,病原体が侵入するとpathogen-induced tissue injuryが生じるが,これに対する防御応答によってもdefense-induced tissue injuryが生じて,両者とも進化上不利である.したがって,進化上の必然性をもって,現代に生きる生命体は病原体を発症しないレベルに抑え込むがこれを徹底的には殲滅しない防御機構を備えるに至ったと考えられる.
       自己臨界点説によれば,たまたまある病原体がHLA上にうまく抗原提示されて当該個人のリンパ球が過剰刺激されるならばSLEが発症する.この際,原因となる抗原は違ってよいが,個人の免疫システムが自己臨界点を超える過剰刺激を受けるか否かが発症の分かれ目になる.
  • 吉村 昭彦, 近藤 泰介, 高橋 令子
    2013 年 25 巻 4 号 p. 292-297
    発行日: 2013/12/30
    公開日: 2015/06/30
    ジャーナル フリー
       最近胸腺由来抑制性T細胞(nTreg)の可塑性が問題となっている.nTregのT細胞受容体(TCR)は自己タンパクに対し高い親和性を有していることから,nTregがFoxp3を失ってエフェクターT細胞となりIFNγなどのサイトカインを産生した場合(exFoxp3とも呼ばれる),自己免疫疾患の原因となったり増悪化に寄与することが予想される.SOCS1はnTregで高い発現を保っており,サイトカインシグナルをブロックすることからnTregを炎症性サイトカインの影響から守っている可能性が考えられる.そこでnTregにおけるSOCS1の機能解明を行った.Rag2欠損マウスへnTregを移入して,nTregの運命を検討したところSOCS1欠損nTregは急速にFoxp3陽性率が低下した.SOCS1欠損nTregはサイトカインの刺激によりIFNγやIL-17を産生した.これらの結果から,SOCS1がnTregにおいてFoxp3の安定性およびサイトカイン産生抑制に寄与することが明らかとなった.さらにSOCS1が欠損することでnTregにおいてSTAT1とSTAT3の過剰な活性化が認められた.この場合少なくともIFNγの欠損によってSTAT1の活性化は正常に戻った.これらのことよりSOCS1はSTAT1を抑制してnTregが安定に存在するために必須の機能を有しており,SOCS1の低下はnTregがエフェクターへ変換し自己免疫疾患の発症に寄与する可能性を示唆する.
臨床リウマチ医のための基礎講座
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