臨床リウマチ
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27 巻 , 1 号
臨床リウマチ
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Editor's Eye
誌説
総説
  • 生野 英祐
    2015 年 27 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 2015/03/30
    公開日: 2015/04/30
    ジャーナル フリー
       近年,急速な高齢化の進展や高額な先端医療の増加によって医療費が増大し,世界的に社会保険制度の見直しや改革が求められている.関節リウマチ(RA)の診療においても,治療の進歩と保険制度の改革によって大きな変化が生じている.
       2011年に本邦でもメトトレキサート(MTX)の最大投与量が引き上げられ,より戦略的な治療が可能となった.これまで治療が困難であった高疾患活動性の患者でも,MTXの増量や生物学的製剤の併用で長期的な予後を改善することが期待できるようになった.一方で,高用量のMTXや生物学的製剤の使用は,医療費増大の一因となっている.
       2014年度の診療報酬改訂では,RA診療においても4つの大きな変化があった.身体障害者福祉法による診断書作成時の指数,生物学的製剤の在宅自己注射指導管理料,リハビリテーション加算が変更され,後発医薬品の使用率目標が引き上げられた.今後も医療費の最適化を目指し,様々な改訂が続くことが予想される.RA診療に当たる医師は,社会保険制度について十分な知識を持ち,改訂内容を熟知しておくことが望まれる.また,個々の臨床医が可能な限り医療費を削減し,限りある医療財源を守ることは,今後も社会保障制度を継続する上で必要不可欠である.
原著
  • 福田 亙, 尾本 篤志, 太田 環, 阪下 暁, 井戸 亜希子, 佐々木 暢子, 江川 景子, 田中 亨, 角谷 昌俊, 川人 豊
    2015 年 27 巻 1 号 p. 14-20
    発行日: 2015/03/30
    公開日: 2015/04/30
    ジャーナル フリー
    目的:高齢関節リウマチ(RA)患者,特に70歳超の患者における疾患活動性,身体機能評価上の特性を明らかにする.
    対象・方法:RA患者777名においてDisease Activity Score (DAS) 28,DAS28-CRP,Clinical Disease Activity Index,Simplified Disease Activity Indexを用いた疾患活動性とJapanese Health Assessment Questionnaire (JHAQ)による身体機能の評価を行い,60歳未満(A),60-69歳(B),70歳以上(C)の3群で比較した.
    結果:A,B,C各群の患者数は225,259,293名.全てのcomposite measureは,C群で他の群よりも高く,赤沈では患者全般評価(PGA)やCRPより明瞭な3群間差を認めた.JHAQはC群で有意に悪化しており,JHAQを従属変数とする重回帰分析において年齢は独立した悪化因子であり,その推定値は0.0118であった.
    結論:(1)我が国では高齢,高齢発症RA患者が増加している.(2)RAのおけるcomposite measureによる疾患活動性評価は,高齢者で過大評価される可能性があり,RAによらないPGAや赤沈の悪化が影響しうる.(3)高齢RA患者のHAQ評価において年齢は独立した悪化要因であり,10年に0.12程度の悪化がみられる.
  • 織部 元廣
    2015 年 27 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 2015/03/30
    公開日: 2015/04/30
    ジャーナル フリー
    目的:関節リウマチ(RA)では患者の返答が時に真意と外れることもある.そこで返答とVisual Analog Scaleを用いた患者による全般評価(PGA),医師全般評価(DGA),また実際の活動性の指標(血清CRP値,DAS28CRP値),mHAQ値との関連を当院通院のRA患者で検討した.
    対象・方法:無作為に抽出した当院通院中のRA患者104例(男性17例,女性87例,平均年齢63歳,平均罹病期間13年)を対象とし,5種の返答,どうもない,かなり良い,まあまあ,かなり悪い,とても悪い,から選択,同時にPGA,DGA,DAS28CRP,mHAQとの関係を検討した.
    結果:「どうもない」10例,「かなり良い」30例,「まあまあ」49例,「かなり悪い及びとても悪い」15例の4群にて年齢,罹病期間,stage,class,CRP値,PGA,DGA,DAS28CRP,mHAQについて4群を比較した.PGA,DGA,DAS28CRP,mHAQは言葉の悪化に従い,悪化していた.しかし個々の症例では想定以上のバラツキが見られた.患者の返答と最も相関が高かったのはPGAついでmHAQであった.返答「どうもない」,「まあまあ」の2群で性差を見ると,「どうもない」群では男性が,「まあまあ」群では女性でやや病勢の悪い傾向が認められた.
    結論:患者の返答とPGAには解離を示す例もあり,また返答内容により性差が存在する可能性もあり,それらを考慮した返答の解釈が必要である.
  • 和田 孝彦, 冨田 哲也 , 安田 稔人, 西坂 文章, 多田 昌弘, 中島 幹雄, 宮島 茂夫, 野中 藤吾, 乾 健太郎, 史 賢林, ...
    2015 年 27 巻 1 号 p. 28-36
    発行日: 2015/03/30
    公開日: 2015/04/30
    ジャーナル フリー
    目的:大阪府下の整形外科開業医における,関節リウマチ(RA)診療の10年間の変遷をアンケート調査した.
    対象・方法:2003年・2008年・2013年の3回,大阪臨床整形外科医会会員を対象として,薬物治療を中心にRA診療に関して,無記名方式のアンケート調査を行った.アンケートは郵送により実施し,返信された回答を集計した.
    結果:各回の回収率は,2003年は34.7%(139/401件),2008年は31.7%(145/459件),2013年は24.5%(115/469件)であった.
       治療薬剤は,第1選択薬としてメトトレキサート(MTX)が増加し,第2選択薬としてサラゾスルファピリジン(SASP)が増える傾向にあった.逆に,ステロイドの使用は減少していた.
       また,生物学的製剤(Bio)導入率やDisease Modifying Antirheumatic Drugs(DMARDs)併用療法も増加していた.
    結論:この10年間に,Bioが相次いで上市され,Bioを積極的に処方する医院も散見された.特に皮下注製剤の使用率が高く,こうした治療の変化を受け,基幹病院や膠原病専門医との病診連携が進んでいた.DMARDsは,そのほとんどが,MTX・SASP・ブシラミン(BUC)・タクロリムス(TAC)に集約され,治療費の高騰もあり,各DMARDsの併用率の増加につながったと考えられた.
  • 岩下 輝美, 吉田 寿雄, 岡田 研也
    2015 年 27 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 2015/03/30
    公開日: 2015/04/30
    ジャーナル フリー
       ミゾリビンの関節リウマチ患者に対する使用実態の把握,使用実態下における安全性・有効性に関する情報を収集し,本剤の適正使用に資することを目的として,2008年10月~2010年10月の間に本剤が投与開始された関節リウマチ患者を対象に市販後調査を実施した.安全性解析対象症例3,325例の平均年齢は66.2±12.5歳で,65歳以上が61.1%,75歳以上が28.4%であった.合併症は59.3%に認められた.副作用は330例に392件発現し,副作用発現症例率は9.92%,重篤副作用発現症例率は1.32%であった.EULAR改善基準で有効性を評価した結果,24週後の治療反応性はgood response13.4%,moderate response32.6%,no response54.0%であった.65歳以上と未満で,副作用発現症例率と有効性には差は認められなかったが,重篤副作用発現症例率は65歳以上が未満と比較して有意に高かった.本調査において,ミゾリビンは高齢者や合併症のあるリスクの高い症例に多く投与されていたが,比較的有効で安全な投与が可能であったことから,このような症例に対してはミゾリビンが選択肢の一つになり得ると考えられた.
  • 元村 拓, 松下 功, 下条 竜一, 木村 友厚
    2015 年 27 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2015/03/30
    公開日: 2015/04/30
    ジャーナル フリー
    目的:関節エコー所見と滑膜病理所見を比較して,その関連を明らかにすること.
    対象・方法:対象は人工膝関節置換術を施行した23例(23関節)である.術前該当する膝関節のエコー検査を行い,グレイスケール(GS)とパワードップラー(PD)法により滑膜炎を評価した.その膝関節から術中採取した滑膜組織から組織標本を作製し,HE染色および第VIII因子の免疫染色により病理組織学的に評価し,関節エコー所見との関連を調べた.
    結果:関節エコーによるPD信号は,病理組織による滑膜炎所見と相関していた.また,免疫染色で評価した血管増生に対するPD信号の感度は91%(10/11),特異度は58%(7/12)であった.
    結論:関節エコーのPD所見陽性は,病理組織所見でみられる活動性の高い滑膜炎と関連していたが,PD所見陰性であっても中等度以上の組織学的な血管増生を認める関節が存在していた.
  • 原田 真理, 宇月 美和, 石黒 直樹, 岩館 克治, 澤井 高志
    2015 年 27 巻 1 号 p. 51-63
    発行日: 2015/03/30
    公開日: 2015/04/30
    ジャーナル フリー
    目的:ヒト変形性膝関節症(OA)患者の軟骨組織に対するヒアルロン酸(HA)製剤の影響を検討するために,OAモデル動物に対して2種類の高分子HA製剤を投与し,病理組織学的に非投与群と比較検討した.
    対象・方法:OAモデルはウサギで石黒らの方法に従って作製した.検討対象としたHA製剤は平均分子量270万DaのHA製剤SUVENYL(SVE)と鶏冠由来のHAを架橋化して混合した分子量600万DaのSynvisc(SYN)である.対照として生食を用いた.これらの製剤を反復投与した後,関節部の組織を採取してホルマリン固定し,パラフィン切片を作製して種々の組織学的検討を行った.
    組織の評価方法:軟骨に与える影響の評価項目は,① 軟骨のプロテオグリカン,HA,TypeⅡcollagenなど保全状態を反映する基質成分,② aggrecan 分解産物や軟骨細胞のアポトーシスなど軟骨組織,細胞の変性,分解過程を反映する因子,③ Ki67, HAS2, HAS3など軟骨の再生,合成を反映する因子である.
    結果:OAの傷害度をOA cartilage histopathology grade assessment-grading methodologyに基づいて分類したGradeは,大腿骨では,対照群4.69±0.25,SVE投与群4.35±0.43,SYN投与群4.38±0.30であり,HA投与群が対照群に対して有意に低値であった(p <0.05).脛骨では同順に4.81±0.25,4.69±0.25,4.77±0.26であった.大腿骨では,対照群に比較してHA投与群のプロテオグリカン,TypeⅡcollagen,HAの残量が多かった.アポトーシス細胞の陽性率,aggrecanの分解物は低下傾向を示した.またKi67陽性細胞数やHAS2や3のmRNA発現量は増加していた.脛骨についても大腿骨と同様の傾向を示したが,3群間の差は小さかった.
    結論:HA製剤は,基質の保護作用を有し,軟骨の傷害を示すパラメータを抑える一方,再生を示すパラメータを上昇させており,OA軟骨に対する有効な影響をもたらしている可能性が組織学的にも示唆された.
  • 角田 陽平, 岡邨 興一, 須藤 貴仁, 米本 由木夫, 大倉 千幸, 高岸 憲二
    2015 年 27 巻 1 号 p. 64-70
    発行日: 2015/03/30
    公開日: 2015/04/30
    ジャーナル フリー
       64歳女性.関節リウマチ(RA)に対してメトトレキサート8mg/週およびタクロリムス3mg/週を投与中にニューモシスチス肺炎(Pneumocystis pneumonia; PCP)を発症した.プレドニゾロンおよび Sulfamethoxazole/trimethoprim (ST)合剤,ペンタミジンの投与で改善を認めた.RA治療中にPCPを発症することもあり,呼吸器症状の出現時にはPCPの可能性を念頭に置き診療にあたる必要があると考えられる.
臨床リウマチ医のための基礎講座
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