【目的】関節リウマチ(RA)患者の関節炎に対する低強度筋力増強運動の効果について検討した.
【対象】圧痛関節と腫脹関節がそれぞれ1個以上あるRA患者で,生物学的製剤,JAK阻害剤および従来型合成抗リウマチ薬の用法用量が3か月間以上,経口副腎皮質ステロイド薬と非ステロイド性抗炎症剤の用法用量が4週間以上一定である者.
【方法】上記薬剤は変更せず,低強度かつ下肢のみの筋力増強運動プログラムを2ヶ月間実施した.運動種類は6,運動強度は1repitition maximum(RM)の50%以下,8から12回の繰り返し,週3回実施した.
【結果】全員女性で15名であった.平均年齢が69.9歳,平均罹病期間が204.5カ月,平均疾患活動性は中等度であった.生物学的製剤9名60%,メトトレキサート3名20%,内服ステロイド剤4名27%の使用率であった.有害事象でプログラムを中止した者はいなかった.Disease Activity Score in 28(DAS28)-ESR; 開始時3.86(2か月後3.47),以下同様に,DAS28-CRP; 3.46(3.03),Simplified Disease Activity Index; 15.01(11.45),Clinical Disease Activity Index; 14.21(10.88),圧痛関節数; 11.0(5.8),腫脹関節数; 5.5(3.7)といずれも有意に改善していた.しかし,ESR(mm/hr)は19.2から19.0と不変で,CRP(mg/dl)は0.807から0.573と数値上の減少はあったが有意の改善はなかった.
【結論】低強度の筋力増強運動はRA患者の関節炎に有効であることが示唆された.
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