目的:高齢関節リウマチ(RA)患者の認知機能障害と身体機能の関連を明らかにすること.
対象・方法:対象は当院でフレイル教育入院(3泊4日)が行われ,6か月後,12か月後に臨床評価が可能であった65歳以上のRA患者52名である.入院時に身体機能および認知機能評価,個別の運動指導と栄養指導などの介入が行われ,退院後に握力,歩行速度,骨格筋指数などの再評価を行った.入院時のmini mental state examination(MMSE)27点以下を軽度認知機能障害(mild cognitive impairment; MCI)ありとし,MCI群と非MCI群に分けて比較を行った.2元配置分散分析で握力,歩行速度,骨格筋指数(SMI)などの両群の経時的変化を比較した.
結果:MCI群(27名)と非MCI群(25名)の入院時の比較ではMCI群の方が握力は弱く,歩行速度が遅く,歩幅は小さく,timed up and go test(TUG)で時間を要した.フレイル入院後12か月間で歩行速度は改善し,MCI群,非MCI群はどちらも有意な身体機能の低下およびRA疾患活動性の悪化は認めなかった.
結論:高齢RA患者において認知機能障害を認める場合には身体機能低下も進んでいることが多く,認知機能障害がみられる患者に対しては早期から治療介入を行い,認知および身体機能の低下を防ぐことが重要と考える.
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