臨床リウマチ
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最新号
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総説
  • 伊藤 聡
    2025 年37 巻3 号 p. 131-138
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/23
    ジャーナル フリー

     オゾラリズマブ(OZR)は新たな腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬であり,本邦において既存治療で効果不十分な関節リウマチ(RA)を適応症として承認された低分子抗体である.OZRは抗ヒトTNFα NANOBODY®分子2つと抗ヒト血清アルブミンNANOBODY®分子1つからなる特殊な3量体構造をとり,フラグメント結晶化可能(Fc)領域を持たないことが特徴である.半減期が長いことから4週間毎の皮下注射が可能である.これまでに実施された国内の臨床試験では,既存治療で効果不十分なRA症例においてメトトレキサート併用の有無によらず有効性が示された.コラーゲン誘導関節炎マウスへの皮下投与実験において,炎症部位への移行が早く,抗炎症効果が速やかであることから,実臨床での治療アドヒアランスの改善が期待される.既存のTNF阻害薬と同等の安全性に加えて,低い細胞障害性を示すことから,忍容性の観点で既存治療を中止したRA患者においても使いやすい可能性がある.本稿にてOZRの自験例を報告するが,高齢者における安全性,間隔延長や寛解導入後のバイオフリーの可能性等については,実臨床でのさらなる症例集積が必要である.

特集
  • 横内 幸, 髙橋 啓
    2025 年37 巻3 号 p. 139-145
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/23
    ジャーナル フリー

     川崎病の本態は系統的血管炎であり,中型動脈が最も高頻度に侵襲される.川崎病は,遺伝的素因を有する小児に何らかの感染因子が作用して自然免疫系が活性化することで発症すると考えられている.病理組織学的に,血管病変は中膜の水腫性疎開性変化,内膜および外膜の炎症細胞浸潤として始まり,やがて血管壁全層に炎症が及ぶ.炎症局所に浸潤する細胞はマクロファージと好中球が主体である.マクロファージを主とした炎症細胞浸潤は血管だけでなく,心筋,心外膜,弁膜,皮膚,リンパ節など全身諸臓器の結合組織内にも認められ,高度の滲出性炎症を示す.病理組織学的特徴は病態仮説を反映している可能性がある.

  • 小林 一博
    2025 年37 巻3 号 p. 146-153
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/23
    ジャーナル フリー

     血管炎症候群は血管壁を標的とする自己免疫性あるいは自己炎症性疾患であり,その病態解明は近年大きく進展している.本稿では,代表的疾患であるANCA関連血管炎(AAV),好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA),大型血管炎に加え,新たな疾患概念として注目されるVEXAS症候群および免疫チェックポイント阻害薬(ICI)関連血管炎を取り上げる.AAVでは,補体C5a–C5aR経路が病態増幅因子として確立され,補体阻害薬アバコパンが新たな治療選択肢となった.MPO-ANCA陽性間質性肺疾患(ILD)は肺優位のサブセットとして注目され,日本からの大規模報告を含め予後不良群であることが示されている.EGPAではIL-5を中心とする2型炎症が病態の基盤をなし,抗IL-5抗体による治療が導入された.大型血管炎では樹状細胞とT細胞の相互作用に加え,PD-L1低下による免疫制御破綻の関与が報告されている.さらにVEXAS症候群やICI関連血管炎は,体細胞変異や免疫修飾により血管炎が惹起されうることを示す疾患概念として注目される.これらの知見は,血管炎の病態理解を拡張するとともに,層別化医療と分子標的治療の開発を加速させることが期待される.

  • 益田 紗季子
    2025 年37 巻3 号 p. 154-159
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/23
    ジャーナル フリー

     好中球は従来,均一な細胞集団であると考えられてきたが,近年では成熟度や表面分子の違いにより多様なサブセットが存在することが明らかとなっている.特に,低密度顆粒球(Low-density granulocytes: LDGs)は自己免疫疾患や感染症,がんなどで増加し,疾患ごとに炎症促進や免疫抑制など異なる機能を示す.好中球が形成するneutrophil extracellular traps(NETs)は病原体の排除に寄与する一方で,過剰形成や分解障害により組織傷害,血栓形成,自己抗体産生を誘導する.ANCA関連血管炎,IgA血管炎,全身性エリテマトーデスでは,NETsが病態形成に重要な役割を果たす.本稿では,好中球およびNETsの多様性と,それらが関与する自己免疫疾患の病態について概説する.

  • 西端 友香
    2025 年37 巻3 号 p. 160-167
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/23
    ジャーナル フリー

     ANCA関連血管炎のモデルには受動免疫モデルや能動免疫モデル,自然発症モデルなどがあり,ANCAの病原性や病態メカニズムの解明,新規薬剤候補の評価に利用されてきた.受動免疫モデルではANCAによる好中球活性化と組織障害を直接的に検証でき,能動免疫モデルでは自己抗原に対する免疫応答の誘導過程を追うことが可能である.モデル動物を用いた基礎研究と臨床研究の進展によりANCA関連血管炎の病態理解は大きく前進しており,好中球のプライミングやNETs形成に関与する分子機構の解明は,新たな治療標的の探索につながっている.現在,B細胞,補体,好中球活性化因子などを標的とした分子標的薬の開発が進められており,前臨床あるいは臨床試験段階にある.今後は,病態のフェーズに応じた治療選択や再燃予測の精度向上が求められ,個別化医療の実現に向けた基礎と臨床の連携が重要となる.

原著
  • 吉井 一郎, 澤田 直哉, 千々和 龍美
    2025 年37 巻3 号 p. 168-173
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/23
    ジャーナル フリー

    【目的】

    当院のunidentified arthritis(UA)の症例を後ろ向きに検討した.

    【対象】

    2010年8月より2023年7月までに来院した初診時(@BL)発症後6か月以内・ACR/EULARclassification criteria(C.C.)≤ 5点の症例を1年間追跡し,1年後(@1Y)のC.C.点数とRAの症例数,最終診断数,simplified disease activity index(SDAI)スコア,Flare(SDAI@1Y - @BL≥5.7)症例数,BLにおけるmethotrexate(MTX)投与量などを検討した.

    【結果】

    総数115例,最終診断はUA24例,RA63例,乾癬性関節炎(PsA)12例,強直性脊椎炎(AS)4例,他12例あった.C.C.≥6はRAのみであった.当院ではUAに対して全例MTXを処方し,RAでは7.8mg/週,その他は6~8mg/週処方していた.平均SDAI@BLはRA 10.4,UA 8.8,PsA 8.3,AS 9.5,他で4.7~13.3であった.FlareはRAで2例あった.

    【結論】

    UAに対しBL時点でMTX処方は成功していると思われる.以後は疾患活動性をモニタリングしながら柔軟に対処する必要がある.

  • 中垣 孝規, 伊藤 遼介, 須藤 真則, 高村 紗由里, 和田 紘幸, 阿部 麻美, 大谷 博, 石川 肇, 中園 清, 村澤 章, 伊藤 ...
    2025 年37 巻3 号 p. 174-183
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/23
    ジャーナル フリー

    【目的】

    メトトレキサート(MTX)を使用する関節リウマチ(RA)患者における葉酸連日投与が患者(疾患活動性・副作用・検査データ)に与える影響を明らかにする.

    【方法】

    MTXで治療中に葉酸連日1mg投与を行った81例のうち,他院からの継続処方7名と葉酸投与歴のない8名を除いた66名を解析し,副作用を検討した.次に66例の中から週1回5mg葉酸投与から連日1mg葉酸投与に変更した以外に治療変更のなかった11人の患者を6ヶ月間追跡し,Disease Activity Score(DAS)-28 erythrocyte sedimentation rate(ESR),Simplified Disease Activity Index(SDAI),ESR,C-reactive protein(CRP),aspartate aminotransferase(AST),alanine aminotransferase(ALT),white blood cell(WBC),platelet(PLT),その他の副作用の変化を観察した.

    【結果】

    66例の解析結果では消化器症状は有意な差を持って改善を認め,倦怠感も改善の傾向を認めた.葉酸連日投与の継続率は92.4%と良好であった.

    治療内容の変更のなかった11例の解析結果ではDAS-28(ESR),SDAI,ESR,CRP,ALT,WBC,PLTには有意な差は認められなかった.ASTでは有意な差を持って改善を認めた.その他の副作用として消化器症状の改善の傾向を認めた.

    【結論】

    66名の解析では葉酸連日投与で副作用が軽減されていた.少数例の検討ではあるが11名の解析では葉酸連日投与は疾患活動性を上昇させない可能性が示された.また消化器症状や肝障害などの副作用が軽減されることでMTX増量が可能となり,疾患可動性の低下につながる可能性があると考えられた.

誌上ワークショップ
  • 高窪 祐弥, 高木 理彰, 大木 弘治, 高橋 健大, 和根崎 禎大
    2025 年37 巻3 号 p. 184-191
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/23
    ジャーナル フリー

     超高齢社会に突入しているわが国において,変形性股関節症(股関節OA)の増悪はADL,QOLの低下に直結する.今後も増加し続ける股関節OA患者に対する治療法として,手術に至る患者数を減少させることが可能な疾患修飾性変形性関節症薬(Disease-Modifying Osteoarthritis Drugs, DMOADs)の確立と実用化が喫緊の課題と考える.

     しかし,OAに対するDMOADsは膝関節を中心に臨床試験が行われ,股関節に対するものは少ないのが現状である.DMOADsの候補として,MMP阻害剤やADAMTS阻害剤などの酵素阻害剤,lorecivivintやverapamilなどのWntシグナル経路抑制剤,LNA043やsprifermin,kartogeninなどの軟骨修復促進剤,metforminやTPCA-1,tofacitinibなどの炎症反応抑制剤,zoledronic acidやMIV-711などの軟骨下骨の異常リモデリング抑制剤などが候補として挙げられている.

     本誌上シンポジウムでは,股関節OAを中心にOAに対するDMOADsの可能性と多血小板血漿療法の現状と課題をあわせて概説する.

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